関東大震災前日から阪神淡路大震災を経て、現代まで百有余年のジーンズの物語。関東大震災の被災者救援物資としてアメリカからのブルージーンズが岡山の児島の、足袋を生産する繊維会社の息子・鶴来恭蔵の手に渡りました。彼は会社を継ぐことは避け、絵描き志望で、竹久夢二に私淑しようと東京にやってきてました。この出来事がドリームを呼び込みます。被災後、児島に戻り、ジーンズを作ろうと試みますが、いくつもの壁が立ちはだかります。その後、恭蔵が追い求めたジーンズへの夢はいかになったか?
「自分の道を信じて生きとる人間が、一番幸せなんじゃ。」「自分たちの人生は、自分たちで決めたらえんじゃ。」
静の祖母が語る言葉は読む者を勇気づけてくれます。先行き不安な本屋のオヤジにも強力なベクトルを与えてくれました。この祖母・りょうは鶴来の会社を離れ、神戸にやってきて、元町の海会堂書店に引き寄せられ、働きたいと願うと、ギャラリー担当での採用になり、その後はギャラリー杣田で杣田さんと一緒に美術家のたまごを育てる仕事をします。こんなところに海文堂書店や島田さんが登場するとは、神戸の書店人にとって嬉しいことです。
『百年の藍』(増山実著、小学館、本体価格2,000円、税込価格2,200円)6月28日に刊行予定です。
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