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ローマ法王に米を食べさせた男

2016-08-06 16:49:37 | 

  昨年にTBS系でドラマ化された原作です。「限界集落を救う」という大命題をたった60万円の予算で取り組んだ、実に面白い内容でした。

 石川県羽咋市神子原(みこはら)地区は約1000ヘクタールの中山間地域、住民の多くは農家、耕作地は110ヘクタールでほぼ棚田です。人口減少と高齢化の好サンプルのような地域に何も施していなかった行政に憤りを感じ、市役所職員・高野誠鮮氏は

 ①過疎高齢化集落の活性化 ②農作物を1年以内にブランド化

の2つの案件に対し、「脚本を書いて、ドラマを作ることができれば村は動くと考え、ドラマを演じてくれるのは、村の人」として、創造的なシナリオを書き上げました。「犯罪以外は、全部責任を取る」という上司の下、わずか60万円の小予算で、都会の若者を呼び込み、定住してもらい、神子原(みこはら)地区で起きた出来事やニュースを内外のマスコミに積極的に取り上げてもらい、棚田オーナー制度の契約者の第1号はイギリス領事館員というおまけも付きました。人が注目し、動き始めました。

 神子原(みこはら)とは英訳すると、「the highlands where the son of God dwells」 となり、神の子からキリスト教を連想し、ローマ法王に米を献上することを思い付き、実際にローマ法王へお手紙を書きました。運よく、ローマ法王に献上した初めてのお米としてお墨付きを得て、マスコミにガンガンと登場。ブランド化は大成功でした。

 高野誠鮮氏の考え方は

「可能性の無視は、最大の悪策」「強い信念があればゴーイング(強引)マイウェイ」

という徹底主義、チャレンジあるのみですね。すぐに先を見通して、無理だと感じるのでなく、失敗してから次に移ることの大切さを学びました。勇気づけられる1冊です。

『ローマ法王に米を食べさせた男』(高野誠鮮著、講談社+α新書、本体価格890円)

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