神戸に因みのある人の本を読んでいる読書会の課題図書に選びました。小説内に登場する「竹部庸太郎」は日本随一の桜研究家の笹部新太郎さんで神戸は岡本に住んでました。彼は大阪の大地主の次男で東大法学部の出身ながら、桜の研究家として京都向日町や武田尾に桜山や苗圃(びょうほ)を持ち、桜の苗を育て、また、日本国中の桜を見学する人物でした。彼の名を有名にしたのは岐阜県の荘川桜。御母衣ダム湖の底に沈む樹齢400年の桜2本を移植したことです。その事情は
荘川桜物語 | 荘川桜 | J-POWER 電源開発株式会社 (jpower.co.jp)
に詳しい。
竹部の下で働く北弥吉を通して、桜、また、日本の自然について、そして、人間そのものにも語らせています。
「日本の山は、放っておくと、つるだらけになる」から、鉈(なた)を持って深山に入り、蔓を伐採しなければならないから、「人間は腰に鉈をつるす動物や。世の中の乱れを、心を乱れを直すのンには、鉈しかないねんや。わかるか。人間は木ィと同じや。世の中は山と同じや。わかるか。」
「たまには鉈で心の蔓を伐ってやらんと、横着な人間になる。」
人間は自然から学べというメッセージとして受けました。そのためには自然をよく観察しなければなりません。
『櫻守』(水上 勉著、新潮文庫、本体価格629円、税込価格691円)
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