『まいまいつぶろ』の感動冷めやらぬ間に、続編を読みました。本作では、徳川吉宗が紀州から江戸へ連れてきた青名半四郎、又の名を万里に焦点を当てて、吉宗、家重に仕えた隠密からみた幕府の内側を読み進めます。
嫡男・家重を将軍にするかどうかについて、それに関係した人々はさまざまな意見を持ち、どちらかと言えば、家重を廃嫡にする方向へ導こうとします。そんな環境下、通詞の忠光の存在が聡明なる家重の将軍への道を開き、さらには、家重に長男が産まれたことから、吉宗の心は定まります。障がいを持つ家重には弱者を労わる思いが強く、享保の改革を推し進めるには大きな礎となります。家重将軍を支える人々のその強い気持ちが感動を生みます。最後はその情感に皆が行動を起こします。
9月には、田沼意次を主人公にして、『まいまいつぶろ』をより深く知れる『またうど』が発売されます。これも楽しみです。
『まいまいつぶろ 御庭番耳目抄』(村木嵐著、幻冬舎、本体価格1,600円、税込価格1,760円)