アバウトなつぶやき

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萬古焼(ばんこやき)~桑名・朝日~

2005年11月11日 | じもと
 10/25~11/27にかけて、三重県桑名市では開館20周年記念として特別企画展を開催中。
 これを機に、桑名市博物館朝日町歴史博物館四日市市立博物館の3ヶ所で、萬古焼を紹介しています。

 萬古焼は三重県北勢部に発達した焼き物。発祥地は三重郡朝日町で、18世紀の半ば、桑名城下の沼波弄山(ぬなみろうざん)が、焼き物に「万古不易」の印を押したのが始まりとされています。
 現在は四日市市の窯が主流で、全国の土鍋の90%は萬古焼が占めると言われ、また蚊遣り豚(蚊取り線香のブタさん)も、かなりの割合で生産されているそうです。
 そのため、ワタクシにとっては萬古焼=安価な大量生産というイメージしかなく、時折、美術館で美しい作品を目にしても「キレイな萬古焼もあるんだな~」程度に思っていたのです。
 しかし、今回の展覧会で多くの美しい萬古焼を目にする事ができ、認識を新たにすることとなりました。

 まず、桑名市博物館の【伊勢の陶器 沼波弄山から桑名萬古へ】で目を引いたのは「古萬古」です。
 「古萬古」は、最も古い時代の萬古焼を指すのですが、その時代のものとは思えない釉薬の美しい色使いと、そのデザインの斬新さが目を引きます。絵付けの美しい作品にも驚きましたが、ワタクシ個人が興味を持ったのは青釉の皿に水玉の縁取りのあった作品です。水色の四角い皿に青い水玉なんて、なんだかポップ。
 同じ「古萬古」でも、斬新どころかとても落ち着いた作品があり、その中でも知人の学芸員がイチオシだった茶碗はその説明に聞き入ってしまいました。
 その作品、色はとても落ち着いているのですが形が少しいびつです。ところがその茶碗は持ってみると飲み口の部分は非常に薄くて、左手を添えると手に吸い付くようにしっくりくるのだそうです(学芸員の役得ですね!)。つまり、使う人の気持ちを充分に考えて作られてあると言う事です。
 うーん、これって現代に通じるものがありますね。
 萬古焼は現在でも家庭用品が多く作られています。前述の土鍋然り、食器や茶器…。
 伊万里焼の美しいけど置き場所を選ぶような壷でもなく、信楽焼の甕のように素朴さの伺える大物と言うわけでもない、生活の中の小さな潤い、というようなスタイルが萬古焼の特徴なんではないか、と思ってしまうのはワタクシだけでしょうか。

 また、朝日町歴史博物館では【有節の桜色と萬古窯】を観て来ました。
 こちらは、町出身で古萬古以降に新しい技法を生み出した「森有節・千秋」兄弟の作品が取り上げられていました。
 恥ずかしながら、地元の芸術家といえる森有節を知らなかったワタクシ。もちろん、その作品を知るはずもありません。
 「有節萬古」には腥臙脂釉(しょうえんじゆう)というピンク色の釉薬を施した作品があります。その中でも桜色の釉に桃色の絵付けを施した作品はとても美しく、今までこの美しい焼き物を知らなかった事を後悔せざるを得ませんでした。
 あ、良いサイト見つけました→http://www.yakimono.net/monthly/akae/akae12.html

 駆け足で2館を観ましたが、その辺は子連れの宿命。ツライとこです。 
 もう少し萬古焼を知りたい…。
 四日市市博物館も観に行こう♪と思っています。