アバウトなつぶやき

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有元利夫 早逝の天才画家 10年の絵と譜

2017年04月24日 | かんしょう
先週、知人が菰野町の穂鈷里(ほっこり)でランチタイムに二胡の演奏をするというので、近所の友人であるMさんと一緒に聞きに行ってきました。
自然派志向のスローフードのランチと民家の落ち着いた雰囲気に二胡の演奏はピッタリ。
 なかなか豊かな時間を過ごさせていただきました。

その帰り道、Mさんも気になってたというパラミタミュージアムで開催中の「有元利夫 早逝の天才画家 10年の絵と譜」展を観てきました。


ぎこちない体に小さくて無表情の頭を乗っけた人物画。
無表情でありながら圧倒的な存在感で、その突出した個性は一度見たら忘れられません。



有元氏はアルルカン(某喜劇の下男役であり道化役、転じてピエロの意味あり)が題材として気に入っていたという記述があったのですが、確かにそういう姿をした人物を描いた絵や彫刻が何点かありました。
しかし、視覚的なモチーフのみにとどまらず、虚構の世界と現実の世界が入り混じったような世界観こそが真骨頂なのではないかと思います。
イタリアの宗教画を思わせるような画面構成(ヨーロッパのフレスコ画、というのが正統な評価のようですが)、それからわざと古い感じを出した装丁など、徹底したこだわりを感じさせる作品たちでした。

私、高校生の頃はイラスト関係の雑誌なんかを数冊購読してまして、そこでこの有元氏の作品を見かけたのを覚えています。
その頃の私は有元氏のお名前を記憶しようとしなかったので作家名を聞いてもピンときませんでしたが、絵を見たらその時の記憶がよみがえってきました。
有元氏の亡くなったのは1985年。ちょうど私が雑誌を買っていた頃と重なります。もしかしたら画業を振り返る特集記事を読んだのかもしれません。
「早逝の天才画家」という副題の通り享年38歳は若すぎます。この強烈な個性は、生きていればもっと素晴らしく印象的な作品を世に送り出していたに間違いありません。
この時間が止まった様な作風は現代の作家やイラストレーターに垣間見ることがありますが、氏が生み出した表現であることを思うとやはり天才であり、後世に与えた影響が大きい画家だと思うのです。
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「清宮質文と版画の魅力」と群馬県立館林美術館

2017年04月01日 | かんしょう
テレビで見て気になっていた「清宮質文(せいみやなおぶみ)と版画の魅力」展。開催地が遠いので諦めていたのですが、春休みのお出かけとして日光・鬼怒川を選んだので群馬県立館林美術館に寄れました。

 
広大な敷地に広がる広々とした美しい建物。周囲には多々良池のある緑地や公園が広がっています。
このロケーションだけでも来た価値あり!





今年、生誕100年を迎える清宮氏の展覧会です。私はテレビで紹介されるまで知らなかった作家ですが、作品の静かさと叙情的な感じが気になってもっと知りたくなってしまったのです。
同じ版画でも少し前に見た吉田博とは対照的に、シンプルな画面構成で版の数も決して多くありません。全ての工程を自分で行っていたらしく技巧的に複雑とは言えませんが、その分、作品の持つ雰囲気や心の動きが伝わる作品たちです。
「静謐で詩的な心象世界」と表現されているとおり、寂しげで静か。画面に空間があるからこそ表現できる空気感があるのだと思わされます。そしてデザイン的にちょっとかわいい。
出来ることなら手元において毎日眺めたくなるような作品が多くありました。
また、清宮氏以外の作品も紹介されていて、漫画家のつげ義春や抽象版画家の恩地孝四郎に影響を受けたという山中現という版画家さんが気になりました。
同時展示として「植物、樹木そして風景」で紹介されていた作品の中に日高理恵子《空との距離》(2004)がありました。白と黒の岩絵の具で描かれた彼女の作品は他所でも見た覚えのある作品でしたが、静かな気持ちで見たせいかこの美術館のコンセプトである「自然と人間」が影響したのか、立体的な奥行きを感じてとても印象に残りました。

それと、もう一つの目当てはフランスの彫刻家フランソワ・ポンポンの作品です。
こちらの美術館はポンポンの作品を多く収蔵しており、彫刻家のアトリエと名付けた氏のアトリエを模した別館まであります。

ポンポンの作る動物はとても良い。すっきりとしたラインながら動物をよく表しています。
白の大理石で出来た小さなサイズの《シロクマ》は(大きいのはオルセー美術館)、その形態や表現の素晴らしさが語られるのですが、真っ白な石の中に入るうっすらとグレーのマーブル具合がちょうど生きているシロクマのよごれにも見えるのが映像でなく本物をみた醍醐味だなぁと思いました。

これだけ楽しめて入館料が410円。あまりのお得感にびっくりです。
それと平日なのに入場者もそれなりにいて、しかも老夫婦の多いことにとても感心しました。きっと地元で愛されている施設なんでしょうね。


---おまけ---
今回の旅行は日光東照宮が目当てだったのですが、泊まった鬼怒川の温泉よりも世界遺産の建物よりも宇都宮餃子よりも、一番テンションが上がったのが大谷資料館でした。


大谷石を採掘していた地下坑内を見学できるのですが、それが圧巻でめちゃくちゃ面白い。

映画やテレビ、PVなどの映像に使われたり、各種レセプションの会場になったりもしているそうです。
幻想的だし広いし寒いし(笑)、とにかく非現実的な世界が広がっていました。
海底火山の噴火による軽石凝灰岩という特殊な素材にはもともと興味があったのですが、この見学ですっかりファンになってしまいました。
加工が容易なだけあって、町に広がる風景も特殊です。大きな岩山が垂直に削り取られて橋桁のような形状の岩がそびえ立っているのをたくさん見かけました。
文化施設に興味のない息子たちも「今日イチでテンションあがったわ~」という盛り上がり。
併設のショップもおしゃれで食事も美味しく、かなりお勧めのスポットでした。
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