アバウトなつぶやき

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ルノワールの時代展

2016年08月06日 | かんしょう
昨日のこと。次男の中学では夏休みの宿題に美術館レポートがあります。どこでもいいから美術館へ足を運び、指定の用紙に感想を書き込むというモノ。
そこで部活で一緒の同級生たちを連れて、名古屋ボストン美術館へ行ってきました。
 素直なメンバーなのでちゃんと私の相手をしてくれて楽しい♪


平日の午前中にしては観覧客は多めです。でも、決して混雑と言うほどではありません。なのにうちの次男は「人が多くて観づらい」ってこぼしてました。一体どんだけ人混みに不慣れなんだ。


「ブージヴァルのダンス」は11年ぶりの名古屋ということ。
今回、日本にダンス3部作が揃っている、と賑わっている割にはこの絵の前に人だかりが無いってのは名古屋って感じです。この辺の人には「あ、また観れた」って感じなのかな。

印象派の作品が多いかと思いきや、18世紀の産業革命以降から20世紀初頭までのヨーロッパの都会と田舎の関係を紹介していくため様々な表現があってバリエーションに富んでいます。
たくさん気に入った作品があったのですが、まずはパリにきたアメリカ人画家の作品がとても気に入りました。

▲《カキ漁、カンカルにて》ジョン・シンガー・サージェント1878年
光の表現が素晴らしい。

私は先日のルノワール展の続きという気持ちで足を運んだのですが、この展覧会は「ルノワール」の名前が入っているものの主題はその「時代」にありました。名画を通して歴史を知るという構成です。
そのため、この頃に発達した写真も何点か出展されています。時代をそのまま切り取っている視点が大切な写真もあれば、写真技術を駆使して芸術性を求める写真もありました。
また、風刺画もありました。日刊新聞「シャリヴァリ」に掲載されたオノレ・ドーミエの風刺画はユーモラスなタッチで時代を表現しています。
大きく膨らんだスカートの流行を風刺する《冬の歳時記 第1図 雪空のクリノリン・スカート「お嬢さん、お払いしましょうか?」》は、傘からはみ出したスカートに雪が積もっている様子を切り取っていて、流行を追う滑稽さは女性目線でも同感です。
そんな風で、絵画として鑑賞するだけでなく描かれている内容が気になる作品も多いのです。
《橋のたもとの洗濯女》(ウジェーヌ・ルイ・ブーダン 1833年)を見て「ああ、こんな文化が発達してきててもまだ水道が無いから川で洗濯するんだ」、とか同じ《スケートをする人々》というタイトルのエッチングを見て1889年作のジェームズ・アンソールの作品は人がバタバタと転倒しまくりなのに対しマックス・リーバーマンの作品は1923年以降作だからみんな余裕が出来て遊び上手になってきたのかしらなんて思ったり。

▲《カフェ・ブリュ、サン=クルー》ロバート・アール・ヘンライ1895-99年頃
↑の作品はポニャド(粗描画)と呼ばれる、その場でさっと描いてしまう作品とか。
両手で隠れそうな大きさの作品のため、近くで見ると本当に粗く描かれています。でも、こうやって縮小で見るとちゃんと奥行きまで表現されててさすが。
あと、エドワード・ダーリー・ボイトの《凱旋門、パリ》(1883年)は、当時の雰囲気も迫力も伝わる印象的な絵でした。これが水彩なんだからすごい。



いろんな画家の視点のため表現も着眼点も幅広く、正直言ってルノワールのオンパレードだった「ルノワール展」よりこっちの方が断然面白かったです。。。

 
会場入り口に展示してあったダンスの衣装、係の人に「このスカートの中って見れるんですか?」って尋ねたらいそいそと外して見せてくれました。
想像してたとおりだけど、通りすがりの女性が「この頃は針金とかじゃなくて鯨の骨とかじゃないかしら。赤毛のアンで書いてあったわよ」って教えてくれました。なるほど、勉強になります。

土木展

2016年08月05日 | かんしょう
「ルノワール展のついでに森美術館でも行く?気になる展覧会とかあったら行くけど?」とワダちゃんに言われ、それなら…と冗談のつもりで言った「土木展」。
興味はあったけど展覧会って感じの催しじゃないし、と思ったのに想像以上の食いつきをワダちゃんてば見せてくれました。「アタシ、なんならルノワールより楽しみかも」とまで。

と、いうわけで21_21 DESIGN SIGHTで開催中の土木展にも行ってきました!





会場は動画や音声録音でなければ撮影可能。
40代の女二人がはしゃいで撮りまくってきました。



まずはこんな感じの大きな投影図たちがお出迎え。これは東京駅。


アニメーションで土木技術をかわいく紹介。

 
体験型をしっかり体験する、もう数年で50才を迎える女…(涙) ちなみに右の写真は台形の風船でアーチの仕組みを説明する展示。

 
土木写真家の西山芳一氏の写真が壁面を飾り、渋谷駅の模型が展示されています。

 
楽しかったのがこれらで、砂で作った地形にキネクトを使って等高線や標高差のカラーを表示します。測量の事を思えば難しい仕組みじゃないのかもしれないけど、自分で作った造形の高さがすぐに平面表示で見れるのは面白い。


ダム好きにおなじみのダムカレーの食品サンプル。

他にも土木的構造物のある風景を動画で見せる試みがいくつかあったのですが、そちらは残念ながら撮影不可だったので無いんですよね。
モノクロのイラストや写真にプロジェクターで投影するのとか、インスタレーションもなかなか良しでした。

展示数としては決して多くないのですが、専門的過ぎず、土木をデザインとして「楽しむ」ように構成されているのがこちら「21_21 DESIGN SIGHT」のコンセプトと合致していてとても良かったと思います。
ああ面白かった~。

-オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵- ルノワール展

2016年08月05日 | かんしょう
一昨日、ワダちゃんの休みだったので誘われるがままに国立新美術館で開催中のルノワール展を観に行ってきました。

ただいま日本では東京と名古屋でルノワールを企画していて、両方観れば「ダンス3部作」をコンプリートできます。
教科書でおなじみの「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」が日本初公開なのも気になっていたので、いきなりだったけどなんとか都合つけました。





ルノワールの絵は人物がとても美しく、観ていて安心するしうっとりします。
モネと同時代なので印象派の画家であり、その頃の光を浴びた肌の表現は本当に美しいと思いました。
特に「読書する少女」はブルーの使い方が息をのむほどで、バラ色の肌に落ちた影の表現はもちろんのこと伏せたまつげに置かれたブルーの絵の具は瞳のブルーを思わせて透明感を感じずにはいられませんでした。

もちろん、目玉であり大作である「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」は素晴らしかった!
あの木漏れ日は光であり空気であり音楽であり愛でもある。そんな感じ。
私は技法の説明は出来ないので自分の感覚しか語れないんだけど、美しさの中に臨場感があり、絵の中の世界が生きているのを感じました。







印象派の表現が素晴らしいのはもちろんですが、その全盛期を過ぎ写実的な表現と融合させる頃の作品がやはり私には好ましいです。
話題の「田舎のダンス」と「都会のダンス」は観に来れると思って無くて、さんざん本やテレビで予習しちゃってたので「ああ!これが本物なんだ~」ってのがまず先に来ちゃいました。
もちろん実物は美しく素晴らしいです。実物を観るまでは洗練された「都会のダンス」の方が好きだったのですが、いざ絵を前にすると「田舎のダンス」のアリーヌ(モデルでありルノワール夫人となった女性)の笑顔が語りかけてきて強く印象に残りました。

ルノワールは身の回りの人物や生活を描くことが多く、息子さんの絵が多くあります。
今回の展覧会でルノワールの画家としての人生を順を追って観ていくことが出来たのでしみじみと思ったのが「ジャン(息子)、アリーヌ(奥さん)そっくり」でした。ワダちゃんと「うわ、この口、このほっぺ、お母さんと一緒やん(笑)」って盛り上がってしまったわ。

同時期に生き、同じモチーフを描いた画家の作品も展示されていましたが、やはりメインはルノワール。
終始、美しく穏やかな作品を楽しんできました。

さて、ついでに、、、と近くで開催中の別の展覧会にも足を運んでます。
そちらは次の記事で。

- 丸沼芸術の森所蔵 -  ベン・シャーン展

2016年08月01日 | かんしょう
先週、時間ができたので三重県立美術館で開催中の「ベン・シャーン展」を観てきました。今回もシロウタ親子と一緒。

ベン・シャーンは1898年にロシア領生まれのユダヤ系家庭に生まれ、移民としてアメリカに渡りました。ヒトラーの台頭してきた時代なので背景が分かりやすいのでは。





初期の作品はセザンヌ、マティス、ルオーなどの影響を受けたのがよく分かります。特に油彩はジョルジュ・ルオーっぽいと感じました。
どこかで見たことのあるような作品たち。
ところが社会批判的性格の強い作品で注目を浴びた、というだけあって、ポスターのくだりになると迫力が違ってきます。
その後、表現もだんだん個性的になり、人物がギリシャ彫刻っぽい目鼻の強調された顔になり、やがて彼独自の表現へ変わっていきます。
晩年になると主義主張の強い作品より慈愛の表現が多くなり、優しい気持ちにさせてくれます。
こういう生き方、とても良いですね。。。
シンプルな線でも力強い表現で、観るものの心に残るような作品は近代芸術に影響を与えたと言われるのがわかる気がしました。

美術館に作品リストがなかったので作品名を漫然と見てしまい、感想書こうと思ったら作品名がHPと一致しなかった(汗)トシとると物覚えが悪くって。
うちの地域の中学生、夏休みの宿題に美術館レポートがあるので三重県立美術館へ行く子が結構いると思うんですよね。
できれば作品リスト、用意しておいて欲しかったな。