クリムトの没後100年を記念して日本で開催されるクリムト展としては過去最大級というこの展覧会。会期終盤では混み合うのが目に見えています。
8月の早いうち、と言うことで先週、シロウタ親子と一緒に観に行ってきました。
トリエンナーレの会期と重なっているからかどうかはわかりませんが、まず、入場チケットの購入で並びます。私は前売り購入していたので、シロウタの促すままに先に会場内へ入ったのですが、シロウタが追いついてきたのは会場の3分の1を見終えた頃でした。結構な待ち時間のようなので、これから行く方はコンビニかどこかでチケットを入手していくのをオススメします。
クリムトと言えばバブルをご存じの世代なら一時、相当なブームがあったのを覚えておられるのでは。複製画が多く出回っていたのはもちろん、うちにあった引き出物で頂いた小物にまで、クリムトの「接吻」がプリントされていたのを覚えています。
その頃のクリムトのイメージは暗い表情、派手な金彩、個性の強いデザインパターン、というもの。お金持ち、、、というか成金の好みそうな絵だなぁという印象で、あまり良いイメージを持っていませんでした。
しかし、印象に残る作品であることは否定のしようもありません。
気になる展覧会は行っておかなければ!という気持ちで足を運んだわけですが、自発的に絵に向き合うと、これが良いんだなぁ、まったく。昔抱いていた印象は何だったんだと思うくらい印象が変わりました。
まず、暗いと思っていた表情。
もちろん病的な雰囲気のものもそれなりにあるのですが、それ以上に美しく「幻想的」という表現がぴったりのものが多いのです。肖像画に関していえば心情に思いを馳せてしまう、内面が現れるような表情を描いています。
パトロンの奥さまを描いた《オイゲニア・プリマフェージの肖像》は美しさと意志の強さを感じる作品だと思いましたが、それ以上に息をのんだのは姪を描いた《ヘレーネ・クリムトの肖像》でした。
▲《ヘレーネ・クリムトの肖像》グスタフ・クリムト 1898年 油彩、厚紙 59.7×49.9 cm 個人蔵(ベルン美術館寄託)
なんてかわいいの。見た瞬間、遠くからでもその存在感と透明感がすごくて光を放っているかのようでした。(もちろん、スポット照明なんだけど、そういう理由でもなく)
アール・デコの印象はそのままに、意外にもミュシャのようなアール・ヌーボーを思わせるデザインが多いと感じました。
和を意識した装飾の多い図案は私の好むところではなかったのに、ちゃんと向き合って見るとレタリングや全体的な構成、簡素化されていても伝わる個性の強い絵柄など、デザインセンスは抜群だと思い知らされました。結局、好きになって帰ってきちゃうのよね。特に《ベートーヴェン・フリーズ》は素敵でした。
あと、今回の目玉だった《ユディトⅠ》と《女の三世代》はまさに名作でした。さすがリーフレットの表紙になるだけのことはあります。
クリムトのデザイン要素に気を取られていた私ですが、画家としてのクリムトに感動しました。本当に行った甲斐があったと思いました
迷ってるなら、絶対行くべき展覧会だと思います。公式サイトはコチラ→https://klimt2019.jp/