アバウトなつぶやき

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アミガサタケを食べてみた

2015年05月31日 | しぜん
4月の下旬(4/23)の事ですが、職場の裏口に生えてるキノコを見つけたSさんが「これ、いったい何!?」と大騒ぎ。


あー!これってアミガサタケ!!

キノコは素人判断は危ないというので滅多に採りには行かないのですが、食べられる野草が好きな私にとって「見た目は食べられそうにないのに実は美味しい」らしいこのアミガサタケは本物を見たことも食べたこともない憧れのキノコでした。
桜の近くによく生えるらしいのですが、今まで生えてるのを見たことはありませんでした。こんな近くに生えてくるなんて。。

周囲をよく探したらこれだけ生えていました。

一本だけ細長いので、仲間だけど種類が違うかもしれません。
アミガサタケは生食は出来ません。生は中毒症状が出るらしいけど、野生のキノコを生で食べる強者ってそんなにいないのでは。

アミガサタケは仲間がたくさんありますが、シャグマアミガサタケという種類だけは本当に危険なようです。
北欧の方では毒抜きして食べるようですが、ふぐ食べるのと同じで調理法を間違えると死に至るケースもあるようです。

さて、このアミガサタケはフランスではモリーユと呼ばれる食材です。
フランスのは親指程度の小さいもののようですが、私の取ったのは12cmほどありました。
小さい方が香りがよいらしいのですが、とにかく食べれるってものは食べないと始まらない。
色んなサイトで勉強して、やはり和食より洋食の方が良かろうという結論に至りました。
生より干した方が美味しいという意見が強いのでとりあえず干す。


乾燥自体は数日でしたが、食べるなら同僚の揃ったときにって思ってたら一月近く経ってしまいました。
ちょっと香りがとんだ気もするけど、職場の休み時間を使って調理だ~!

  
本来、キノコは旨味を逃がさないために洗わずに干して後からゴミを除いた方が良いようですが、土に生えてたものなのでいしづき取って軽く洗い流してから干してます。
乾燥したのを戻そうと水に漬けたら、なんか和風な匂いがしました。椎茸でもマッシュルームでもなく、、、なんか田舎料理みたいな。
サイズがそれなりの大きさなので、本場のように丸ごとはどうかと思いとりあえず切りました。

クリームによく合うキノコって事で、シチューっぽい仕立てにすることにします。
        
1.戻し汁とブイヨンでキノコを煮込みます。水かさを減らすのですが、その時結構アクが出ます。
2.別で炒めたタマネギと鶏肉を加えます。
3.生クリームを入れます。
4.シチューっぽくなりました。塩こしょうで味をととのえます。


できあがりはこんな感じ~♪

食べた感想ですが、ちゃんと美味しいキノコです!
食べると水で戻しているときのような匂いではなく、強いて言うならシメジのような…?香ばしい感じの匂いがします。
ブイヨンは薄い目にしたのですが、肉の薄いキノコなので味が良くしみこむらしく軽く調理しただけなのに味がしっかり付いていました。

というわけで、Sさんが気持ち悪いって言ったこのアミガサタケは職場のみんなで美味しく頂きました。
来年も生えてきたら、今度は乾燥せずに調理しようって盛り上がっています。美味しかったモンね。

春キノコのアミガサタケ、特徴あるのでおそらく間違えません。
公園でも見かけるキノコのようですので、見つけたらちょっと気にとめてみて下さい。
ただしおきまりですけど、食べるときは自己責任でお願いしますヨ。

「真昼の夢、夜の寝覚め ―昼夜逆転の想像力―」展

2015年05月30日 | かんしょう
ただいま三重県立美術館では「真昼の夢、夜の寝覚め ―昼夜逆転の想像力―」展を開催中。
いつものようにシロウタと観に行ってきました。





光や時間のうつろいを感じさせる作品を中心に紹介する所蔵展です。
今までに観たことのある作品もありましたが初めて観る作品も多く、どの作品を紹介するかの指標がテーマで絞られている印象を受けました。
逆に、新規の所蔵品の紹介をしやすいようにテーマを決めたのかも?
展覧会全体に調和を持たせていて、作品紹介も分かりやすい解説が入っていたりします。
若い人の企画というのを小耳にはさんでいたので、学芸員さん、このためにたくさん勉強したんだろうなぁ…と、おばさんは思っちゃう。

ものすごい目玉商品ってのはないけど、全体的に落ち着いて観られる企画で良かったと思います。
6月28日まで開催中!

この企画展の隣では「受贈記念 魚住誠一写真」展が開催中で、この写真展がなかなか良いです。
松阪の写真家らしいですが、私は存じ上げなかったので初めて見る写真でした。
この時代の写真技術と写真家のセンスとが見事に調和していて、絵画のような美しい写真になっています。

今まで紹介自体、あんまりされてなかったみたい。
写真に対する郷愁をそそられる作品です。今後は美術館で観られそう。


そういえば、平日に行ったのに人の入りがかなり良かったんです。
意外と所蔵品展って人気のある展覧会なのかしら、と思ったらどうやらその日から近所の総合文化センターで「県展」が始まったらしい。
なるほど、人が流れてきたのか。
県展を観た人が県の所蔵品を観るって、地元愛が溢れてて良いんじゃない?

ってことで、その後そっちにも寄って「みえ県展」を観てきました。

今回は知人の作品は出てないんだなぁ。

でも、何度か観てると「あ、この作家さん」ってのがある。
今回はスマホ片手にその方の活動とかググってみました。
県展は個人の趣味として出品してる人が多い印象だけど、やっぱりその道で活動してる方も相当数いらっしゃる。
気に入った人はどうやら個展も開催しているようなので、機会があったらそっちも観てみたいモンです。

MIHO MUSEUM バーネット・ニューマン 他

2015年05月14日 | かんしょう
 今週の半ばにMIHO MUSEUMに行ってきました。
 ここはいつ行っても施設のすばらしさに感心します。
 雨だったので傘が必要かと思ったのですが、ここはいたるところに傘が設置してあるし、電気自動車も走っているので困ることはありませんでした。傘も係の人が拭きあげているので気持ちよく使わせていただけます。

 今回は バーネット・ニューマン―十字架の道行き― が目当てです。
 シロウタが見つけてきた展覧会だったのでなんの下調べもなく行ったのですが、想像以上にすばらしい作品でした。

 
 抽象絵画は、嫌いではないけれど私には意味を読み取るのが難しい作品が多く、色彩やバランスを楽しむ事しかできない場合も多いと感じています。(それは個人の感性の問題なので、抽象表現に責任がないのは明白)
 しかし、この作品は14作品でひとつの作品をなしているためストーリー性が強く、また訴える力もかなり強い。そのため意味を読み取るどころかどのような意味にも解釈できて、すぐに感想をまとめることができませんでした。
 主題が何であるかを取り違えていてもそれぞれのストーリーを見つける事ができるし、心と向き合う自問自答の作業に引き込まれてしまいます。「十字架の道行き」が何であるかを後で知り、「あぁ、そういう風に描かれていても成立するようになっているんだ。いや、そっちが本質の作品なのか。」と作品研究の目線で見るとまた違った見え方をします。



 本来の「十字架の道行き」がどういうものなのか。
 カトリック教会を理解している人、キリスト教絵画に精通している人ならば言うべきもない主題のようですが、なじみのない私にとってはまずこれを理解するところから始まります。
 イエス・キリストの裁判と処刑における苦しみにかかる言葉として「受難」がありますが、カトリック教会ではその裁判から処刑までの過程を14場面にわたって描いた絵画やレリーフが聖堂内に飾られるそうです。それは「十字架の道行き」と呼ばれ、イエスの苦しみを預かり祈りをささげるためのモチーフとなり得ているようです。
参考HP→Laudate祈りのひととき「十字架の道行(3)聖地をたどりながら

 この作品を場面として描かれていると受け止めるのが素直な解釈なのかもしれません。
 しかし、私は作品にある背景を知らなかったのでそのようには受け止めずに、まずは神の世界(または霊的な世界)と人間の世界の狭間にある問いと、その答えを見つけ出すまでのプロセスとして受け止めました。
 それはつまり、宗教を持たないが無神論者というわけではない私にとっては「なぜ世界は在るのか」という問いにも似ています。
 自分自身が若い頃に考えていた「存在」への疑問のようなものと、その答えの出ない考えを自分が生きていきやすいように解釈(または放棄)するにたどり着くまでの悩み。俗っぽい人間として生きていく事が喜びとして受け止められるようになった自分への賛歌。モラトリアムとの決別。
 私にとっては、そんなものを思い出させる作品でした。
 とりあえず、作品の受け止め方は人それぞれだと思うので、間違いと言わないでいてもらえるとありがたいです。
 また、そうやって観る人それぞれの考えを想起させる事が名作と呼ばれる所以ではないかと思うのでした。

 企画展はバーネット・ニューマンだけでなく、曽我蕭白を目玉とする「富士三保図屏風と日本美術の愉悦」展も開催されていました。
こちらは所蔵品がメインの展覧会です。




 この企画展も観たことのない美しいものが多く良かったのですが、ここの美術館、もともと所蔵品がすごいから…。
 メソポタミア文明の部屋なんて紀元前6世紀のピッカピカの金細工とかあるから、それを観た後だと「日本の歴史ってホント最近なんだなぁ」と思っちゃいますね。この企画展観てから常設展を観た方が良かったかも^_^;

 とにかく、企画展も常設展も美術館の佇まいもぜーんぶひっくるめて楽しませていただきました。

 次はなんにも考えずに楽しむ展覧会が良いな。
 国立新美術館で「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム」やるからそれが観てぇ。

「北斎とリヴィエール」展

2015年05月11日 | かんしょう
 GWが終わってしまいました。
今回は遠出もせずに近場か家の草むしり。
近場と言えど伊賀の窯出し市はすごく楽しかったし、お天気が良かったので草むしりが進んでほっとしたしで、それなりに良いお休みでした。(草が生い茂ってると義母がため息つきながら眉をしかめて庭に出るので…^^;)

 近場の一つが四日市市立博物館。四日市市立博物館はこの春にリニューアルオープンをしたばかりなんですが、中に公害資料館が新設されたので時間が出来たら観に行こうと決めていました。

 かつて四日市市は大気汚染でぜんそく患者をたくさん出した事はみなさんご存知の通り。四大公害と言われて全国に悪名を馳せました。
 しかし、裁判を経て工場側は非を認めましたし、新たな基準を元に規制したことでかつてのきれいな空気を取り戻しました。そういう意味で四日市市は公害を克服したモデルケースだと思います。
 ケーススタディを担うべき市でありながら、今までは公害の資料が利用者が限られてしまう環境センターの一室に追いやられていたのでもどかしく思っていました。
 博物館に入ったことで、過去の過ちを振り返る機会が増えたり資料を利用する人が増えるよう期待しています。

 前置きが長くなりましたが、せっかく博物館に行くなら企画展が良い時にって思うのが人情ってものでしょう。
 現在の企画展は、その点バッチリ。
「北斎とリヴィエール」展はかなり見応えがあります。




  隣町のパラミタミュージアムでも北斎やってたんだけど、タイアップなのか、かぶっちゃっただけなのかは不明。
 うちは博物館の方にしか行ってないけど、富嶽三十六景が観れたので満足です。
 特に、一緒に行った次男はこの春に入部した美術部で富嶽三十六景の模写というかアレンジ作品を作っているので、実物を観れたのは良かったと思います。
 また、北斎漫画もじっくり観たのは初めてでとても面白かったです。
「北斎漫画」って言うと、昔観た映画が芸術的ってーか官能的ってーか、という作品だったので「春画っぽいのとか混じってたら親と一緒じゃじっくり観れないから気の毒じゃ」と思ったものの、まぁそんなもんはもちろんのこと一切なくて。
 北斎漫画はスケッチ画集、映画に出てきた「蛸と海女」が載ってるのは艶本なのでジャンルが違うんですね。北斎のこと漠然としか知らなかったから一応は調べて行った(^◇^;)

 リヴィエールは北斎の影響を受けて、ほぼ100年後のパリ「エッフェル塔三十六景」という版画作品を手がけた方。
 この企画展を観るまで知らなかったけど、日本の浮世絵の世界的な影響力を改めて感じました。

 北斎はメジャーどころなので、どんな作品か目にする機会が多くて今さらって思う人も多いかもしれません。
 でも、実際に刷り上がったものを観たり版木を観たりするのはCDとライブの違いみたいなもんで、やっぱり力強さがありますよ。
 行くなら今月いっぱいです。