アバウトなつぶやき

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デンマーク・デザイン展と中谷ミチコ展

2019年07月15日 | かんしょう

三重県立美術館で開催中の「デンマーク・デザイン」展を観てきました。

 



北欧の中でも小さめの国、デンマークが今回の舞台です。

このところ北欧の展覧会を立て続けに見ていた気がしますが、前回のフィンランド展を経て見比べると、やはりお国の違いが出るものですね。北欧は原色を上手に使うイメージがあって、その点からひと括りで考えていましたが、そこからしてずいぶん違っていたように思います。

色鮮やかで華やかな印象のフィンランド。ロシアからの独立を果たし、自国のアイデンティティを追い求めるように花開いたデザインは自由であり、シンプルな中にも柔軟さを感じさせました。

それを踏まえてデンマーク・デザインを見ると、かなり「機能性」という部分の比率が大きいです。ドイツと接しているからか、ちょっとドイツのような重厚さも感じるのは私だけでしょうか。

自然を上手に取り入れるという点で日本との共通点がある、という解説でしたが、それ以上に、特に家具のデザインにおいて中国の要素を取り入れているため東洋的であると強く感じました。

もちろん、デンマークの家具デザインも変遷があり非常に特徴的で斬新なモダンデザインも見受けられます。

曲木で背板から座板をもつ椅子を作り出したアルネ・ヤコブセン。私にとってデンマーク・デザインはアルネ・ヤコブセン(本展では「アーネ・ヤコブスン」と表記)なのです。彼のデザインした椅子ではセブンチェアが代表作であると紹介されていましたが、私はやっぱりアントチェアの丸っこい感じと3本足の繊細な感じが好きです。

アルネ・ヤコブセンといえば建築家なので立体デザインをする人だと思っていましたが、今回彼のデザインしたテキスタイルが何点も紹介されていました。このテキスタイルがすごく良かった!イラストのようでいて飽きの来ない連続性が、広い面を覆いつくせるテキスタイルとして秀逸だと思いました。あの生地、ファブリックボードにしたいわぁ。どこかで売ってないだろうか。

私はインテリアの中に北欧を取り入れているわけではないけれど、見て楽しいのはフィンランド、自分が取り入れやすいのはデンマークのデザインかなぁと感じたのでした。

▲エントランスではデンマークの代表玩具LEGOがお出迎えしてくれます。展示の椅子は触らせてもらえませんが、展覧会の最後には座ることのできる椅子が何点か用意されています。

企画展の後、柳原義達記念館に寄ったら「中谷ミチコ その小さな宇宙に立つ人」を開催していました。

 

この展覧会は「作家遺族の援助により、次世代を担う美術家を発信する『Y2project』として開催」されているのだそうです。この「作家」は開催場所と「Y」からして柳原義達氏のことでしょうね。

中谷さんは柳原氏の作品に強く影響を受けたとのことで、今回は氏の作品とコラボするかのように空間を演出しています。

写真撮影がOKだったのでかなり近寄って撮影してみました。

中谷さんの作品は石膏型の凹部に樹脂を流し、表面をフラットに仕上げたレリーフ作品です。

たとえば↓の作品。

着色が凹面のため、角度が変わっても隠れる部分がないのでどんどん表情が変わって見えます。正面から撮影すると右側の少女の右頬が見えていますが、鑑賞者が左へ移動するとだんだんと右頬は隠れてほぼ横顔に見えるようになります。(本当は動画でアップしたかったのですがブログの性質上うまくあげることが出来ませんでした。)

壁面に飾られた一見平面的なものが、実は奥行きのある彫刻であることに気づかされるという非常に面白い感覚を味わうことが出来ます。表情が変わっていくため、そこに息遣い、、、というか命を感じるのです。

2室に分かれていて、柳原氏の《道標・鴉》とコラボした部屋と、《犬の唄》とコラボした広くて明るい部屋があります。両方ともがそれぞれに個性的でした。私は好きです!

中谷さんは現在三重県で活動しておられるようなので、今後も作品を観る機会があるのかと思うととても楽しみです。私にとって追いかけてみたい作家さんがまた一人増えました。


トルコ至宝展

2019年07月07日 | かんしょう

このところ平日に仕事を休む日数が減ったため、美術展に行くのは週末の時間をやりくりする必要が出てきました。これって簡単なようでいて、今まで混雑を避けて平日に遊んでいた人間にとってはなかなか受け入れがたいものです。遠方だとなんだか億劫になってしまって「もう観に行くのはやめとこうかな」と思ってしまいがち。。。

そんな風で行くのを断念しかけていたこの「トルコ至宝展」。

数か月前に友人に「うちの団体の研修旅行に参加する人が足りなくて困ってるの。参加してくれない?」と頼まれて申し込んだのが7月上旬の京都旅行でした。団体行動で時間配分のタイトなバス旅行だと聞いていたのですが、午後の岡崎公園周辺散策は自由行動との事やった、トルコ至宝展観れる

「私、午後は美術館行ってくるから!」と言ったら、「私も行くよ~、こんな機会でもなきゃ美術館なんて行かないし」と、平安神宮を参拝したことがない友人も付いてきました。ごめん、周辺にゃぁ観光名所も多いのにつき合わせて。

 



さて、トプカピ宮殿のお宝たちときたらすごいのなんの。

チューリップ(トルコ語でラーレ)の宮殿ということで、スルタンの至宝と共にチューリップデザインの生活用品も展示されています。特に織物はチューリップモチーフが目を引きます。

しかし、やっぱり一番目を引くのは宝飾品です。ビックリするようなサイズの宝石たち(エメラルドのサイズがどうかしてるぐらい大きい 世界で産出される宝石は一部の富裕層が独占しているのを実感する)や、金細工を見る事が出来ました。そしてポスターに写真が使われている手鏡は本当に美しかった。。。

図録も買ったんですが、図録の写真は本当に見事ですわ。本物より色が鮮やかに出てます。しかし、本物を見ないとやはり質感というか重みを感じないので、展覧会っていうライブ会場はフェスと一緒でやみつきになるんですよねぇ。

ゆっくり、というわけではなかったけれど企画展だけで1時間は取れたので満足です。堪能しました~。