アバウトなつぶやき

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エロール・ル・カイン展

2019年03月27日 | かんしょう
 先週、パラミタミュージアムで開催しているエロール・ル・カイン展を観に行きました。
 
 名前を聞いて「ん?私はこの名前知ってるぞ。絵本作家だから?でもどんなお話か思い当たらない…」と、頭をぐるぐるさせていたのですが、リーフレット見て気づきました。「あ、この人、昔のイラスト雑誌でビアズリーと一緒に紹介されてた人だ」と。





 オーブリー・ビアズリー(←クリックでウィキペディア見れます)の絵はとても有名なので、イラストに興味のない人でも一度は見たことがあると思います。とてもエキゾチックな白黒のペン画で、一度見たら忘れられない強烈な個性を持っています。特に「サロメ」が有名かな。
 エロール・ル・カインは時代としてはビアズリーと同じ時代を生きている(二人ともイギリス人)けれど、別に模倣とかいうのではありません。ビアズリーっぽいと感じる作風は一部だけ、特に挿絵が白黒の「キューピットとプシケ」に見て取れるけれど、決して同じではありません。等身が細長いシルエットなので似た印象を受けるけれど、よく見るとかなり違います。
 シンガポールに生まれインドで幼少期を過ごしたため、カインの装飾はとてもアジアチックです。そして幻想的で、書き込みが緻密で、色彩が豊かです。ビアズリーも東洋的な表現があるけれど、ウィリアム・モリスっぽい気がするんですよね。
 何より、ビアズリーの絵には悪が潜んでいそうな気がするけれど、カインの絵には愛が潜んでいるような気がします。愛らしく、温かさがある。そこが決定的に違う。

 絵本として何気なく見ていたら見過ごしそうだけれど、原画を見るとその細かさには感嘆の声を上げずにはいられません。イメージの豊かさは尽きることがなかったのかと思わされます。
 先に行ったワダちゃんにオススメされて腰を上げたけど、観に行って本当に良かったです。

 豊かな描写はそのままに、画風は少しずつ変化しています。それぞれの画風がそれぞれに良いです。
 が、47歳という若さで亡くなっておられるんですよね。ビアズリーなんて25歳で亡くなってるし、二人とも早すぎますよ。もったいない。。。


 おまけで。
 パラミタの常設展示室で、中山保夫展を開催していました。
 この方、前回=平成の大嘗祭(大嘗祭は、天皇が即位の礼の後、初めて行う新嘗祭のことで一生に一度しかない儀式)で宮内省御用達の食器を作った方なんだとか。
 どおりで!洗練された美しい食器が並んでました。
 あぁ、平成が終わるなぁ。。。

辰野登恵子展と曜変天目と破草鞋展

2019年03月27日 | かんしょう
 前回の記事に引き続き備忘録。いや、もともとこのブログが備忘録なんだから、簡素バージョンってことで。
 シロウタと一緒に観に行った展覧会2つ。
 
 2月の終わりごろ行ったのは、名古屋市美術館で開催されている「辰野登恵子 ON PAPERS:」展。
 
 会場の使い方が珍しく、2階から地下まで続いていました。名古屋市美術館は企画展の会場内に階段があるけれど、それ以外にコレクション展で使われる展示室まで移動するために一般の階段を利用したのは初めてかも。
 それだけ作品が多岐にわたってたということですよね。この方の回顧展としてはなかなかの規模だったのでは、と推察します。
 無機質な感じのする「理知的で抑制された表現」から始まり、「有機的な形象」へと作風が変化していきます。
 私は若いころの作品の方が好きなんだけど、一番気に入ったのは版画からカンヴァスへと移行する前段階の時期の作品でした。整然としたストライプと絵の具をぶちまけたかのような動きの対比もさることながら、色彩がポップなようでいて少し沈んでいたりと「心惹かれる色遣い」ってやつがそこにはありました。

 あと、これ書いてる前の日に行ったMIHO MUSEUMで開催中の「大徳寺 龍光院 国宝 曜変天目と破草鞋」展。

 シロウタん家のちびっこ二人も一緒で、軽い感じでお話ししながら観れました。
 ってのは、ちびっこの弟君の方はやたらと歴史に詳しいので、年表とかでちゃんと時代を掴んで見よる。えらいわー。
 展示は目玉が曜変天目とはいえ、基本的に「龍光院にはこんなに価値のあるものが揃っているんですよ」ってのを知らしめる感じになってるので、なんでまたこんなに龍光院に揃ってるのかという歴史的背景自体が面白いのよね。
 私、仏教的見地は非常に弱いので、そういう観点で楽しめて助かった
 そして、曜変天目はやっぱり宝物でした。会期初めの方なので人は多いとはいえ行列になるほどは混んでおらず、ゆっくり観れたほうだと思います。
 龍光院の曜変天目は悪く言えば一番地味、よく言えば一番趣があるとのことで、茶人には一番好まれるという話を聞いたことがあります。
 私。。。「ほぇ~、たいしたもんだわ」と思いましたけれども、常設には前田家伝来の重要文化財の耀変天目も展示されておりまして「こっちのほうが好きかな」と思ったのでした。だって、国宝なのに光に曇りがあるんだもん。ピカピカなものはピカピカに光ってて欲しかったんだもん。

硝子雛展と神宮美術館開館25周年展

2019年03月27日 | かんしょう
 このところ、なにかと余裕がなくて展覧会の感想を書いていられないので、備忘録としてちょろっと画像と一言をアップしておこうと思うわけで。

 まず、2月の初めにまっちゃんと伊賀の赤井家住宅で開催されていた硝子雛展を観てきたこと。
 
 全国のガラス作家さんたちが作るおひなさまは綺麗だしとっても可愛い!
 どうやら昨年も開催されたようで「硝子雛展Ⅱ」だったんだけど、残念ながら次回の開催は決まっていないらしい。とっても綺麗だったので次回があれば見たいのですが…残念です。
 そしてこの日は、松尾芭蕉ゆかりの「蓑虫庵」と鍵屋の辻「伊賀越資料館」にも寄りました。

 地図で見て、近くて興味の持てそうなところをチョイスしたわけで下調べはナシ。
 それでも蓑虫庵はとても趣があって良かった。同じものが京都にあったらさぞ賑わうだろうに。
 んで、伊賀越資料館については、今回寄ることにしたおかげで初めて日本には「日本三大仇討」と呼ばれるものがあることを知りました。仇討ちと言えば赤穂浪士しか知らんわ…って程度だったけれど、歌舞伎や文楽の演目になって人気があったようですね。日本人、ホンマに仇討ちとか好きやな(-_-;)

 それから、昨年からしばらく改装のため休館だった神宮美術館が再開して第一弾の展覧会は
天皇陛下御即位30年記念 神宮美術館開館25周年記念特別展 -歌会始御題によせて―「光」―平成のお題を振り返る―
でした。3月は平日の空きがそれなりにあったので、会期初めに一人でGO。
 
 絵も素敵な作品が出ていましたが、神宮美術館の所蔵品は毎度のことながら工芸品の方に惹かれます。
今回は増村紀一郎氏の乾漆茶器「暁光」が何とも愛らしくてメモってきました。漆器の作家さんは覚えておきたい人がどんどん増えるわ。
 そして、家族と行くと決して寄ってくれない農業館や神宮徴古館もついでに見れて満足~。
 徴古館はもちろんなんだけど、農業館がヒットしたワタクシ。
 すっかり古めかしい展示になっちゃってる農業館ですが、何が良いって、農業館の創立に尽力した田中芳男氏って本草学の伊藤圭介の弟子なんですって。私、つい本草学の人に注目しちゃうんで…館内でやたらと伊藤圭介を褒めてたりするのが「なんかわかるわ~」って感じで微笑ましかったです。
 しかし徴古館と美術館の展示が立派な分、農業館はビミョーに感じるんですよねぇ。初見なので結構じっくり見れたけど、2回目以降になるとキビシイだろうなぁ。