アバウトなつぶやき

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ランス美術館展

2017年11月26日 | かんしょう
11月の初日、シロウタと一緒に名古屋市美術館で開催中のランス美術館展を観てきました。
会期半ばには行ったのに、感想書かずにいたらもう終盤になってる




ランス美術館といえば藤田嗣治!
ランス美術館にはフジタが建てた礼拝堂があるのです。
映画「Foujita」を見て以来、フジタづいている我々。
ランス美術館はシャンパンメーカーの経営者がコレクションを市に寄贈したことが始まりとか。
しかし映画を見たからフジタ関連があることを知ってるものの、ランス美術館がほかにどんなコレクションがあるのかは知らずに観覧です。

2階の展示室はほとんどがフジタ作品です。
礼拝堂に関する作品が多く、崇高な空間になっていました。
壁画、晩年の作品なのになんと3ヶ月で描き上げてるらしい…。どうしよう、初めは嫌みだと思ってあまり好きではなかった藤田嗣治がこの数年でじわじわ好きになってきてます。

ランス美術館のコレクションは、ロマン主義、バルビゾン派、写実主義、印象派、象徴主義、自然主義、アール・ヌーヴォーなど、19世紀のフランス美術を網羅している。その中には26点の印象派の作品(コロー、クロード・モネ、カミーユ・ピサロ、ピエール=オーギュスト・ルノワールなど)、オーギュスト・ロダンやカミーユ・クローデルの彫刻、エミール・ガレの工芸品等が含まれる。
また、ルーカス・クラナッハによる肖像画作品や、ニコラース・マース、ダフィット・テニールス (子)などのオランダ絵画、ニコラ・プッサンなどのフランス絵画、ジャック=ルイ・ダヴィッドの『マラーの死』、ウジェーヌ・ドラクロワの『父の呪詛をうけるデスデモーナ』も所蔵している。藤田嗣治やモーリス・ドニ、ポール・ゴーギャン、ピエール・ボナール、ルイ・マルクーシ(英語版)など20世紀の画家たちの作品も展示している。
▲ウィキペディアより


全体的には中世から近世の美しい絵画が目を引く展示です。落ち着いた雰囲気で見られる作品が多いです。
その中で、気に入った作品、3点の絵はがきを購入。

▲シャルル・ランデル 《タンジールのユダヤ人の女》
女性の絵はたくさんあったのですが、この女性は白い肌に黒髪、オリエンタルな衣装は花柄模様が清楚なくせに造形は官能的ってんだからたまらん。おまけに目に力のあるのがとても印象的でした。
この絵の作者のことはよく知りませんが、パリ万博でのメダル受賞歴もあるフランスでは有名な方だとか。


▲カミーユ・コロー 《川辺の木陰で読む女》
コローの描く風景は好きです。
以前、ルーヴル展の風俗画に焦点を当てていた展覧会で、やはりコローの作品が印象的でした。
あの時も水辺の絵だった気が…水辺の風景画が好きなんだな、私。


▲ウジェーヌ・ブーダン 《ダンケルク周辺の農家の一角》
↑でコローの感想書いてて気付いたけれど、私はどうやら水辺の風景が好きらしい。
それも、海じゃなく、川とか湖とか泉とか。
この絵は水と空がとても美しくて気に入ったのですが、キャプションの所にブーダンは「空の王者」と言われており、クールベに「空を知っているのは君以外にいない」と言わせたとかって事が書いてありました。
海景画が得意ということだったので、海の絵も観たいと思っていたら、展示室の最後にブーダンの《ベルク、漁船の帰還》が展示されていました。
この作品は名古屋市がランス市と姉妹都市提携した記念特別展示とのことで、巡回展の中でもこの作品を見られるのは名古屋だけだったようです。
ラッキーでした


おまけに。
会場出口にこの展覧会のチラシを再現できるフォトスポットがありました。
面白いので二人で撮りあいっこしたら、シロウタの写真がなかなかの再現力でした。
きらきらモザイクかけてアップしよ↓

並河靖之七宝展

2017年11月21日 | かんしょう
待ってました、という感じの展覧会!
ただいまパラミタミュージアムでは「並河靖之七宝展」を開催中です。
以前、「超絶技巧!明治工芸の粋」展を見て以来、明治時代の七宝ファンになってしまった私。
明治の七宝と言えば有名なのは二人の「ナミカワ」。有線七宝の並河靖之と無線七宝の濤川惣助です。

私の好みは断然有線七宝で、黒地に細かい細工のものが特に好き。
つまり、並河靖之はドストライクの作家さんなのです。
今回は並河靖之七宝記念館からの出展が多くあり、大好きな世界が広がっていました。



明治時代の日本の七宝は海外輸出目的に作られていたため、日本に現存するものが少ないといいます。
現在、当時の七宝の技術が失われており非常に残念なのですが、展覧会に行って当時の状況を知り、ちょっと驚く事実を知りました。
まず並河氏がもともと武士でありながら生活のために独学で七宝を極めたことに驚き、その後、あれだけの美しい七宝を作り出せるようになった並河氏に対して輸出業者が「同じようなものばかりでは飽きられる」と、取引を縮小した時期があったことにも驚きです。おかげで、芸術性が上がったわけですが…。
並河氏の品質が上がった理由に尾張七宝の品質の高さがあったことも知りませんでした。
並河氏は高品質のものが作れずに商社から取引停止を受けた頃、勉強のためにと内国勧業博覧会に連れて行かれて、出展されていた尾張七宝を目にしています。
名古屋の安藤七宝店に類する林一門の作品は素晴らしいですものね。作家としてナミカワが注目されがちだけれど、尾張七宝の品質にショックを受けての成長かと思うと東海在住の身としてはしみじみします。
そして、大正に入って外国人需要が落ち込むとあっという間に廃業してしまったというのも切ない。
たった一代で時代を作り、その手で幕を下ろしたんですねぇ。すごい人生です。

最近注目の、明治時代の超絶技巧。その一端である七宝を堪能出来ます。ものすごく綺麗です。
しかも、パラミタは割と空いているんだなぁ。すごくゆっくり観れて満足です。
美術館の方の話だと、午後3時過ぎるとほとんど観覧者がいないんですって(笑)
もったいないけど、ゆっくり観たい者にとってはありがたい限り。

開館120周年記念 特別展覧会 「国宝」

2017年11月11日 | かんしょう
京都国立博物館で開催中の開館120周年記念 特別展覧会 「国宝」
2017年10月3日から11月26日の間にⅠ~Ⅳ期に分けて展示替えを行っています。

4期とも観る事が出来れば良いのですが、さすがに2か月弱の間に4回も京都へ行くのは無理だと思い会期前から入念にチェックして、どうしても見たいものを選んでピックアップ。
早割りのペアチケット(2枚綴り。一人で2回も可)を購入して、Ⅰ期とⅢ期に行くことを決めていました。



まずⅠ期は開催2日目にワダちゃんと一緒にGO。
前日のツイッターでは会館前から東山七条の交差点まで行列ができたというので7時前にはこちらを出発し、8時半過ぎには近くの駐車場へ到着しました。(京博の駐車場は展覧会開催時はやたらとお高いので、私営の時間貸しの方がお得)
到着したころには行列は出来ていたけれど、前は数十人といったところでした。それでも、開館時間にはかなりの行列になっていたことと、後日の込み具合から考えると会期の初めの方に行ったほうがマシなんだと思い知らされます。
ちなみにこの時、行列の後ろにはご近所からいらしているという素敵な奥様が並んでらっしゃって、京博の普段の込み具合や三重県のオススメ観光地などで話が盛り上がりました。

HPで展示替えのリストがあったので、一応貼り付けます(いつまでリンクが生きてるかわからないけど)→展示リスト(PDF)

Ⅰ期では(以下、略称です)「火焔型土器」、今まで見れずじまいの薬師寺の「吉祥天像」、「土佐日記」、「普賢菩薩像」、「青磁鳳凰耳花入」、「時雨螺鈿鞍」を目当てにして行きました。
私にとってこの国宝展は、美術品を鑑賞に行くというよりも有名な日本の宝を見ることで歴史や過去の営みを体感しに行くのが目的です。そのため、Ⅰ期の目玉とされている雪舟はあまり気にしていませんでした。
雪舟は水墨画を日本のものにした偉業を成し遂げた画家であることは間違いないけれど、やはり、絵として私が好きなのは近世~近代なんですよね、、、だから「あの有名な作品たちがココに!」というありがたさ自体を感じ取ってきました。ワダちゃんも同じような感じだったので、同じスピードで観れて良し♪
実際、他の部屋は混雑していながらも人の流れがあったのですが、雪舟展示のフロアだけは人の流れが止まるほどの混雑でゆっくり鑑賞する雰囲気ではありませんでした。
展覧会を鑑賞に行く際、一緒に行く友人によって見方は違います。
基本、私はシロウタと行くのが多いのですが彼女と行くときはそれぞれが好きな作品をそれぞれのスピードで観て時々ぼそぼそと感想を言い合うのが常だったりします。
ワダちゃんだと、それぞれ好きなものが違うのはもちろんなんですが自分の生活や感性に合わせて茶々を入れながら観ることが多く、エンターテーナーとして楽しめるのがまた面白い。

さて、行ってみると、なんかもうすごいものばっかりでどれを見てても感心してしまいます。
まずは書跡からだったのですが、古文書はほぼ読めないので文字の形状の素晴らしさやそれが残っていることへの希少さに感心します。でも、楷書のものが案外多いので文字を拾うことは結構できるんですよね。
ここで私とワダちゃんが特に面白いね、となったのが解説文です。
それぞれの文字のことを文章で説明するのにこんなに多彩な表現があるのかと思う力の入り方なんです。力強くとか流れるように、なんていう表現はよくあるけれど文字から色気を感じるだの奇跡だの、あとなんだったかな、、、とにかく解説文を書いている学芸員の古文書に対する愛があふれているキャプション群なのです。
あれがなければ、「どれもすごいねー」って言って軽く流しちゃったかもしれない。

もともと目的だった展示品とは違うものに心を惹かれることはよくあります。
考古はまず「火焔型土器」の大きさが想像していたのと違って実際に見たときの迫力に感動したけれど、その横で展示されていた縄文のビーナスたちの愛らしさにノックアウトモダンだったりキュートだったりで、こんなデザインが縄文時代に考えられてるって、作った人は一体どんな人だったんだろうと思いを馳せてしまいます。
そして、発掘の時に見つけた人にもまた思いを馳せる…(笑)
仏画では教科書で見た作品の現物を見れたことで「実はこんなに細部に書き込みがあるんだね」と感動し、絵巻物では「こうやっていろんな教えを伝えたんだね」とか「昔の絵は直截的で容赦ないなぁ(汗)」と感心し、漆工・金工・染織では「こんな時代にこれだけの細工をするなんて、すごい技術だ~」とほれぼれしました。

しかし、私がⅠ期でもっとも感動したのは陶磁の「玳玻天目(相国寺)」です!
全くの予備知識なしで見たこのお茶碗。
焼き物に興味がある人なら見知っているのかもしれませんが、私は国宝の天目と言えば曜変天目を写真で見た印象がある程度だったので「こんな焼き方の、こんな美しい釉薬の出方をする茶碗、見たことない!!」と度肝を抜かれたのでした。本当に鼈甲のようでため息が出ました。。。

そして、先日行ってきたのがⅢ期です。
Ⅱ期の「曜変天目(龍光院)」が超レアものという噂だったので、非常に心残りではありましたが、まだ稲葉天目(静嘉堂の曜変天目)すら見たことのない私です。とりあえず藤田美術館の曜変天目からデビューしようということでⅡ期は見送りました。※曜変天目は3つあるのです。

Ⅲ期は一人です。早めに到着し、観たいものをまず見てから、Ⅰ期で見たものは軽く流す計画で。
でないと、あの人ごみに耐えられない(涙)

覚書なので、自分の印象が強かったものだけ感想を書き連ねますと、、、
まずは何と言っても「金印」です!
私はこれを観るためにⅢ期に行ったのです。朝イチで最前列で見れる行列に並びましたとも。
金印は偽物説もあるそうですが、江戸時代から本物って言われて国の宝に指定されてるんだからもう、これは本物なんですよ。いいんですよ。金でピカピカしてて、小さいのに迫力があって、「漢委奴国王」って彫ってあるのがわかるんだから国宝なのです。すごいのです。
福岡まで観に行けるとは思ってなかったので、今回、近くで見れてほんと嬉しかった。

「日本書紀」は、あんなに古いものなのに新羅、皇子、来日、詔使、妹子とかっていう単語がぼろぼろと拾う事が出来て「なんか読める♪」って嬉しくなった。「日本霊異記」って知ってるぞ~、「御堂関白記」って道長の日記なんだ、きれいな楷書を書くんだなぁ、と書跡は特に好きなジャンルでもないのに印象が強かった。
仏画は「十一面観音像」の表情が素敵でした。隣にあった「不動明王像(黄不動)」も味のあるお姿でしたが、十一面観音の色気の勝ち。
露出の多かった「伝平重盛像・伝源頼朝像・伝藤原原光能像」は頼朝がぶっちぎりで男前(笑)
「後白河院像 伝藤原原信実筆」は劣化でぼやけていたけれど、ギャラリースコープのおかげでなんとかお顔を拝めました。腹黒いイメージなんだけど、若くて優しそうな姿だったのが意外だった。
「観音猿鶴図 牧谿(もっけい)筆」は写真で見るイメージよりずっと迫力があって立派!

それから「国宝展は美術鑑賞ではなく歴史を楽しみに行く」というつもりの私を引き寄せて負かしましたね。Ⅲ期の絵画群は。
遠くから見た時に「なに!?あの絵?すごくイイ感じなんだけど!」と思った絵。近寄ったら狩野永徳筆の「花鳥図襖」でした。やはり永徳は只者ではないと、再確認。
同じように円山応挙筆の「雪松図屏風」は、その雪の表現に周囲の音が消えそうなほどの質感がありました。
長谷川等伯筆の「松林図屏風」はあの幽玄な感じを一目見たいと長く思っていた作品なので、今回観れたのは本当にラッキーという感じ。驚きというよりも「あぁ、思った通りの奥行と静けさ、、、」と、完全に美術鑑賞の視点で感動させてもらいました。
息子の長谷川久蔵筆の「桜図壁貼付」もあり、「親子共演」という謳い文句でテレビでも紹介されたいたため、予習が出来ていてしみじみと観れましたね。
あと、漆工では「梅蒔絵手箱」を見て、さすが北条政子が奉納しただけあって立派だのう、とか、頼朝が奉納したという「籬菊螺鈿蒔絵硯箱」のかわいさに感心したり。徳川美術館から出展されている「初音の調度」シリーズはやはりずば抜けて美しく、今までに何度も拝見しているので地元の所蔵、という気がして(実は地元でもなんでもないのだが)得意になってその場を後にした。
琉球王国の関係資料はⅠ期でも少し見たけれど、Ⅲ期の方が好みだったかな。
特に「黒漆雲龍螺鈿東道盆」は大きめの細工の螺鈿がピンクやグリーン、紫に光ってほとんどオパールなのがすごいキレイ
貝摺奉行所という王家用品や献上・贈答品を作る役所が監督したという歴史も面白い。琉球王国が日本の一部になってくれたのは誉だなぁとありがたく思う私。
秀吉に届いたという「ポルトガル国印度副王信書」はただただ歴史の証人を目の当たりにしていると思いに溢れました。
そして最後に、またもや陶磁の「油滴天目」。
天目シリーズは本当に外さないですね、美しいです。ビックリです。
写真で見るよりもずううーーーっと美しい!
デザイン性の高さ、技術の素晴らしさ、偶然の発色。あんな青みがかった美しくて深い色だったんですね。
偶然の発色という点では曜変天目が有名なので、油滴天目って作られた美しさなんでしょう?とか思って特別視していなかったた自分を殴ってやりたい、って思った。
焼き物は割と好き、ってレベルなので全然わかってないんだけれど、国宝になるだけあって人を感動させる美しさがあると思いました。はい。
きっとほかの美術館でも素晴らしい焼き物あるんでしょうから、先入観なしに見たので効果倍増ってところもあるのか…?まぁ、そうだとしても一目見れて良かったとつくづく思いました。

この記事書いてる現在、まだⅢ期の展示中。来週からは最後のⅣ期です!
私はもうあきらめているのですが、行ける人は行ったほうがいいと思う>国宝展Ⅳ期
最近、ブームが来てるとかで国宝が紹介される展覧会は多いけれど、これだけ一度にたくさん見れるって本当にありがたいです。

私のこの秋の一番の楽しみだった展覧会です。みなさまも記念にぜひどうぞ!

三重美コレクション展「凸(やま)と凹(たに) 平原と空」

2017年11月09日 | かんしょう

三重県立美術館で本居宣長展に合わせて開催されている三重美コレクション展。
凸と凹というのは版画の事でした。館の所蔵の版画がずらりと並んでいてなかなかの点数なのです。
企画展を観た日に時間が足らなかったので、後日、常設展だけを観てきました。

作品は技法別に紹介されており、技法の解説も詳しく説明されています。
エッチングやドライポイントなど、版画だとは分かっていても細かい違いは分かっていなかったのでとても助かる解説です。
また、技法の違いを知る事でそれぞれの効果の特徴を掴むことができ、作者の狙った効果を考えることも出来ます。

リトグラフのコーナーでは、実際に石版を展示してあるので石を使って色を乗せる作業が実感できます。



版画自体を楽しむとともに、技法の勉強にもなって面白い展示だと思いました。