アバウトなつぶやき

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藤森照信展

2018年09月13日 | かんしょう
 ジブリのような建築を作る建築家、藤森照信氏の展覧会が同氏の設計した浜松市秋野不矩美術館で開催されているのを知り、ワダちゃん誘って行ってきました~

 館の入り口側の駐車場に車を止めて歩いていくと、見えてきました。美術館と新しくできた「望矩楼」という名の茶室です。

 私が藤森氏を知ったのは、滋賀県といえばバームクーヘンでおなじみ「クラブハリエ」もとい「たねや」が2015年にオープンしたラ コリーナ近江八幡のメイン店舗である「草屋根」の設計でした。
 その後、2016年には岐阜県に多治見市モザイクタイルミュージアムもオープンし、その個性的な建築は一度見たら忘れられません。

 今回、秋野不矩美術館の開館20周年に合わせて茶室が制作され、それに伴い藤森氏の建築をパネルや模型・見本などを展示、紹介しようという企画です。




 今時、webで作品の写真は見る事が出来るので、どんな作品を作ってらっしゃるかは知っていましたが、改めて大きなパネルで見るとよく分かりますねぇ。
 どの建築もかわいくて、面白くて、そして脆そう(笑)!
 模型が展示されていると聞き、実際の建築を100分の1ぐらいにしたおもちゃのようなジオラマ風の世界が広がっているのを想像していったのですが、これがまた全然違うんだなぁ。
 模型というよりもどちらかといえば彫刻。丸太を削り出して、イメージの形状だけを表現した、立体エスキースという感じです。木の椅子にぽこんとモコモコの立体物が乗っかっているようなのもあり、その姿はかわいらしく、インテリアとして飾るなら精巧な模型よりもかえって良いことでしょう。
 また、屋根の構造や素材の見本もありました。ちゃんと断面図付き。
 なるほど、こうなってるのか~、と見てて思ったのですが、あれはメンテナンスが大変そうですよ、ホント。
 屋根に植物を植えている建築は、強度と水漏れがやっぱり心配です。工夫を凝らしているため「もう7年経ちますが雨漏りはありません」てなことが書いてあって「建築物で7年かぁ。心配なのは10年後からだよね。」と思うワタクシ。あの構造で水漏れしないのは、防水のルーフィングの性能が上がってるからでは、、、劣化したら危ないぞ、きっと、と思う。
 銅板も手作りの風合いを表現するために、かなり薄いものを使っています。藁を練りこんだしっくい壁も、もし見本の厚さ通りならちょっとした地震でヒビが入ってしまうでしょう。
 でも、クライアントはそんなの承知で設計してもらってると思うんですよね!
 だってあの見た目の可愛さにはそういう心配を凌駕する魅力があると思うんです。そして、メンテナンスできる財力のない人は、きっと藤森氏には頼まないと思う。
 とにかく、あんなかわいい建築物、他にはないですよ。見てるだけでわくわくしますから。
 実際、恒久的なものよりもイベント要素の強い展示作品をたくさん手掛けていらっしゃる印象です。
 学生時代の卒業設計も展示してありましたが、その頃から発想がぶっ飛んでます。建築イメージを合成写真で表現した作品もあり、藤森氏はアート作品を作る技法として建築を選択しているというのが伝わってきます。
 そう、彼の作品は楽しい時間を過ごすためのアートなんだと思います。
 「望矩楼」も、リーフレットに「展示」って書いてあるから、恒久的な茶室利用は考えてないんじゃないのかなぁ。

  

 
 私は秋野不矩の絵を見たことがなかったのですが、職場のまっちゃんが好きで以前に観に行った話を聞いていたので「きっと素敵な作品を描く人に違いない」と思ってそちらも楽しみにして行きました。
 最近、ゴーギャン、田中一村、平山郁夫、と立て続けに南方を描いた作品を観てきましたが、秋野不矩さんもインドを旅して、かの地を描いていらっしゃいます。
 そして、その作品が良いんだな!これが。視点や描き方が女性らしくて、伸びやかさと落ち着き、そして優しさがある絵を描かれます。
 今回は藤森氏の企画展があったため、所蔵作品は第2展示室のみの展示でした。もっと彼女の作品を見たいなー、と思ってたら秋野不矩美術館の展覧会スケジュール裏面の浜松市美術館の案内に池田学氏の作品を発見!翌春のコレクション展で≪再生≫を展示するようです。
 そうか、浜松市美術館は池田学を持ってたのか~。悩むわ~。昨年の金沢の展覧会を見送っちゃったからな~。でも微妙に遠いんだよなー、静岡って。
 池田学氏の巡回展、来期の開催がなかったら考えよう、うん。
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生誕110年 田中一村展

2018年09月07日 | かんしょう
 先週、シロウタと佐川美術館で開催中の田中一村展を観てきました。

 もうすぐ会期終了を迎えるためか、開館時刻からそんなに経っていないのに入口には結構な数の人が並んでいました。
 私はテレビでの紹介とポスターの美しさに惹かれて見に来たクチなのですが、皆さんはどうなんでしょう。

 彫刻家の父を持ち、幼い頃から南画でその才能を発揮していたという一村(本名は孝)。
 まずは7才の時に描いた絵から展覧会が始まるのですが、これがまたものすごく上手い。父親が手を入れたことが気に入らずにその箇所を破ってしまったというエピソードまで付いていて神童と呼ばれていたというのも頷けます。
 若い頃に描いていた南画から始まり日本画に移行していくのですが、私の抱いた印象は「どれもダイナミック」。
 一村は「日本のゴーギャン」と称され、奄美大島へ渡ってからの明暗のはっきりした色遣いと南国の動植物がモチーフの絵が有名なので、移住したことで画風が変化したのかと思っていましたが、展覧会を見てもともと大胆なものを好む気質があったんだな、と思いました。

 南画って筆使いが荒々しい傾向があるので作風というのももちろんですが、南画以外のスケッチや初期に日本画を描いている際に選んでいるモチーフに力強いものが多いのです。
 例えば夏の花。日本画で好まれそうな花というと百合や紫陽花、桔梗といったはんなりした花だと思うのですが、一村は(もちろんそれらも描くけれど)鶏頭、鳳仙花、オクラなどの中心から外へ向かう感じの力強い植物を好んで描いているように見受けられます。本人の自信作だった〈秋晴〉にも棕櫚やカロライナポプラかな?ヤナギ科?と思うような、やはり放射状に枝葉が伸びる植物を描いています。
 鳥にしても圧倒的に軍鶏が多いし、日本画として受賞した〈白い花〉でさえ普通のツグミではなくトラツグミという柄がはっきり出る種類のツグミを描いています。
 構図も縦長の作品だとかなりの確率で上に重心があったりして、迫ってくる感じの重量感がすごいんですよね。
 それが個性であり、だからこそ奄美に惹かれたのだと思いますが、逆にそういう感じだったからこそ当時の日本の画壇に認められなかったんでしょうね。
 
 今回の展覧会は画業を振り返るという趣旨のためか、出展数は180点という膨大な量なんだけれど、色紙に描いたものや知人や親類のために描いた小品が占める割合が非常に高い。そのため、リーフレットに載っているような色使いの鮮やかな大作がメインかと思って行くとちょっともの足らない感じがしてしまいます。
 有名な〈アダンの海辺〉も岡田美術館へ行っちゃってパネルだけだし(展示中に行かなかった自分が悪いんだけど)、点数多いのにダイナミックな画風ってことで見終えたらすっごく疲れてました。
 あ、もちろん作品は素晴らしく美しいと思ったし、好きな作品もたくさんありましたのでマイナスの感想ではないです、念のため。


 佐川美術館を飾る彫刻として、佐藤忠良もコレクション展として紹介されていました。
 顔の表情ももちろんですが、体の表情が良くてとても良い彫刻家だなって思いました。外の〈蝦夷鹿〉ももちろんだけど、〈帽子・夏〉は好きだなぁ。
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至上の印象派展 ビュールレ・コレクション

2018年09月03日 | かんしょう
 名古屋市美術館で開催中の「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」を観てきました。





 夏休み中(あと2日で終わりの日)だったので、シロウタ&その息子たちも一緒に行ったけど子どもたちはお向かいの科学館へ行ったのでいつも通りシロウタと二人。お兄ちゃんは小6なのにしっかりしてるから任せられてイイねぇ、頼もしい。

 さて、NHKで宣伝しまくってるこのコレクション展。
 「あのビュールレコレクションが!」って感じで語られてるけど、私には「どのビュールレさんですか」ってな具合で、ビュールレ氏についての予備知識は全くなしでした。
 会場で紹介文読んで初めて知ったのですが、ビュールレ氏、収集家やパトロンである前に武器商人だったんですね。。。道理で資金が潤沢なわけです。
 その背景を知ってコレクションの動きを聞くとどうにも生臭くて、ある意味面白い。買ったものが盗品だったり、またそれを買い戻したり、盗難にあったり、武器輸出の禁止で商売替えしたり、現在では警備費維持が困難になってしまうとか(そのため、2020年にチューリッヒ美術館へ移管されることになり、それまでの間、警備費削減のために巡回してるから日本にも来たわけで)どうにもこうにも波瀾万丈なコレクションです。

 武器商人なんてのは敬遠したくなる響きですが、美術品には罪がない、、、ので楽しませていただきます。
 このコレクション、センスが良いんですよねぇ。私なんかに褒められても何の意味もないですが、私の好みの作品が大変多いのです。今回、来日したものは一部なのでしょうが、主たる収蔵品が巡回しているのは間違いないようです。
 そのうえで今回の展覧会の感想なのですが、印象派の時代の良作が多いこと、同じ画家でもタイプの違う作品を揃えているところや、風景画のコレクション傾向が私好みなのとが気に入りました。特に風景画について、アントーニオ・カナールの描くベドゥーテ(景観画)の精密さと美しさが素晴らしいと思ったのですが、その後、カミーユ・ピサロの作品を見た時に「あ、この構図、好き!」と思う作品が揃っていたのです。
 ピサロの作品に限らずなのですが、道だったり野原だったり、奥行きを感じる風景画が多いように思います。道はどこかへ続いている印象を受けるし、空は広がっているように感じる。しかも明るい色使いの作品が多いので見ていて明るい気分になるというか、わくわくするような気持ちになれる気がしました。
 マネの<燕>という風景画ものびのびとした風景が描かれていて大変気持ちがよいのですが、そのコーナーではマネの作品を3点並べてあり、<オリエンタル風の衣装をまとった若い女>、<ワシミミズク>など、マネと言ってすぐに思いつかないようなタイプの絵が並んでいたのが面白かったです。
 ゴッホの作品は明るい色調のものが多かったのも面白いと思ったし、モダン・アートのコーナーではヴラマンク、ドラン、ブラックが、それぞれ配色が素晴らしい作品だったのが目を引きました。
 ヴラマンクについては、最近観たどの作品よりもフォーヴ期であると感じましたし、ブラックの作品もキュビズムの構成でありながら色調はフォーヴのようで、時代を感じました。また、ドランの<室内の情景>は、赤、青、黒、そして黄土色のバランスがとても良くて、アンドレ・ドランの作品をもうちょっと気にして観ようかなという気になりました。
 もちろん、話題作であるルノワールの〈可愛いイレーヌ〉も、モネの〈睡蓮〉も思った通り素晴らしかったです。名作ぞろいの良い展覧会でした。
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サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法展

2018年08月27日 | かんしょう
 三重県立美術館で開催中の「サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法」展を観てきました。




 いつもは入館して右側に会場入口があるのだけれど、今回は左側に入口があって右へと進む配置になっていました。展示室のサイズによるものか企画側の意向なのかは分からないけれど、三重美ではちょっと珍しい。
 伝えたいメッセージを一目で分かるようにするという信条で描かれたポスターはとても分かりやすく、なによりかわいい!
 会場全体がポップで、明るく楽しい空間が出来上がっていました。
 発表当時、ポスターがパリの街を飾っている写真が何枚もあったのですが、街角や地下道など、どれも大きく引き延ばして壁面を覆っているのにうるさくなくてスタイリッシュ。描き込みすぎないことで空間をも演出してしまっていて、バランス感覚が見事です。
 どのポスターもかわいくてグッズになりそうなものなんだけど、やはり本来は広告。なんでもかんでもグッズにするわけにはいかないんでしょうね。このデザインのバッグや文具があったらかわいいだろうな、と思ったけれどそういうものはなかったです。

 今回は夏の恒例、武蔵美の県友会が県民ギャラリ-で開催している「び・SAM」展に合わせて行ってきました。
 観に行くようになってから結構経つけど、まっちゃんのいるときに行くと解説が入って楽しい♪ 割と美術館へ行く方だとは思うけど、いつもうわっぺりで作品を観て個人的な見解で楽しんでるだけの私にとって、制作側の話を聞くと別の視点で見ることになって勉強になる、、、というかそれぞれの作品にこだわりとか思いがあることに気付かされて頭が下がる感じ。作る作業って「創る」になるとパワー要りますよね。
 ずっと変わらないと思っていたメンバーにも変化が出てきているようで、「続ける」ということの難しさや大切さについても考えるきっかけになった気がします。私には出来ないことをやってる色んな人達、がんばって下さい。
 
 
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開館40周年特別企画展 知られざる古代の名陶 猿投窯

2018年08月24日 | かんしょう
 愛知県陶磁美術館で開催中の開館40周年特別企画展「知られざる古代の名陶 猿投窯」を観てきました。




 2013年に愛知県陶磁資料館から改称して現在の名称になった、愛知県陶磁美術館。もう5年も経ってたんですね。
 今回の開催概要を読んでいて、陶磁資料館が開館した経緯を知りました。
 全国有数の窯業地である瀬戸だから陶磁器を紹介する場所があることは当然のように思っていましたがそれは現代の産業としての視点であって、本来、というか開館当時はこの場所の古窯である「猿投窯」の研究が目的だったんですね。
 今でこそ考古に分類される古い物にも美術的価値があるとされていますが、そういった価値観は戦後以降の考え方であり、それまでは工芸品という観点だけで美術的価値は認められていませんでした。縄文土器はその良い例で、1950年代に岡本太郎がその価値を唱えたり、海外で紹介した際に高い評価が得られたことで美術的価値が認められました。
 最近はそういう考え方が中国の富裕層にも広がってきて、大陸の古い焼き物から日本の仏像まで高値で取引されているのはご存じの通りです。
 とにかく、瀬戸焼や常滑焼、美濃焼などの源流に当たる「猿投窯」が学術的にも美術的にも価値のある窯であるのは間違いなく、その全容を名品の紹介による美術的観点と変遷を紹介することによる歴史の観点からという両面から理解できる構成になっていて、たいへん興味深い展覧会と言えます。
 私の住んでいる三重県も遺跡から猿投窯製の須恵器(野焼きに代わって窯で焼かれるようになった陶質の土器)が出土します。東海圏とは言え交通機関の存在しなかった時代にわざわざ運んだのか、すごいな、と思っていたのですが、同様に猿投の焼き物は全国で出土しており、九州や東北まで流通していたことに驚かされます。
 また、展覧会用にピックアップされているとは言え非常に美しい姿をした名品が多いことにも驚きました。
 特に自然釉(窯の中で降りかかった灰がガラス質の釉になる状態)が意図したかのようにバランスよくかかっていたり、ゆがみが一切なくてピシッとした口縁や流れるような胴部を持っていたりして、非常に高い技術を持った集団が窯を営んでいたことが分かります。後で学芸員さんがおっしゃっていましたが、この自然釉も経験によって窯の中のどの位置に置けば美しく灰がかかるかを計算して配置していただろうとのことでした。
 博物的な視点でいわゆる考古遺物のひとつとして捉えていた須恵器や瓷器(初期の陶器)でしたが、この展覧会を見たことで価値の多様性に気付けた気がします。
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プーシキン美術館展ー旅するフランス風景画

2018年08月16日 | かんしょう
お盆といえば大人にとっても夏休みです!
毎年この時期、一日は仕事や家事を休んでふらりと出かけています。今年は大阪の国立国際美術館で開催中のプーシキン美術館展を観に行ってきました。

車を使って遠出をする私にとって大阪はなかなかハードルが高い場所。おまけにプーシキン美術館の所蔵に特別な関心があるわけでもなかったので、当初は見送ろうと思っていた展覧会です。
しかし、ニコニコ生放送で東京会場を使った解説をしていたのを見てしまい、どうにもウズウズしていました。
近鉄特急を使えば快適に行けるのはわかっていましたが、今後に繋げるためには安価な方法を検証しておきたかったのと、場所がミナミでなくキタなのも考慮してJRを使って行ってみる事にしました。柘植から乗ると駐車場に困らないんだよね。

さて、10時頃には会場に到着しましたがやはり人気のある展覧会です。大阪なのとお盆なのも関係してか、なかなかの盛況ぶり。東京に比べればかなり空いてるのでしょうが、絵を目にするのに時間がかかる時点で私にとっては人多めです。





 プーシキン美術館展は何年かに一度のペースで巡回展が開催されているイメージです。所蔵品が多いので、当然といえば当然かも知れません。
 今回、目当ての絵画があったわけではありませんが行けば必ず良い作品に出会える展覧会であることは分かっていましたので、楽しみではあったのです。

 注目の絵画はモネの〈草上の昼食〉ですね。制作過程やそのエピソード、習作、マネの〈草上の昼食〉との比較なども交えて紹介するといった丁寧な解説が入っています。
 日本人に人気の睡蓮シリーズより以前、若かりし頃のモネを知るのにとても良い位置づけの絵画です。とても描き込まれた意欲作であることが伝わるし、当時の風俗も良く分かる、見応えのある絵です。
 風景画が一つのジャンルとして確立していく過程や当時のフランスの様子がよく分かる絵画の多いこと、「廃墟のヴェルネ」や「絵画の詩人ロベール」など通り名のある画家については特徴的な絵が出展されていること、モネの他にも画家の創作意欲の高まっている時期に描かれたと思われる良い作品があることなど、展覧会のまとまりや構成がとても良かったと思いました。
 特に今回は「この画家の他の作品に比べてとても良い!」と感じた作品がいくつもありました。私が個人的に気に入ったのはヴラマンク〈オーヴェールの風景〉、セザンヌ〈サント=ヴィクトワール山の平野、ヴァルクロからの眺め〉、ゴーガン(マタモエ、孔雀のいる風景〉です。
 ヴラマンクについては画面が明るい清々しさのある絵だったので、彼が自然を好んで描いているのがよく伝わりました。少し前に「なんで自然を愛してるって言いながらこんな暗い色調で描くんだ」なんて思ったので、彼の作風のままに明るさを残している作品として、その疑問を払拭してくれたのです。
 また、セザンヌの作品にも似た印象を持ちました。
 作風が違うというのではないけれど、のびのびとした自然の様子と豊かな色彩が私好みで、他の彼の作品よりずっと好きだと思いました。
 そして今回、私が一番印象的だったのはゴーギャン(ゴーガン)です。
 ゴーギャンは個性が強いので、今までその画面構成の方にばかり目を奪われていましたが、この作品の色彩の美しさには衝撃を受けました。
 印刷物と実際の絵画では色が全く違うというのはよくあることだし、観た日の気分というのもあるのでしょうが、とにかくこの絵を観て「ゴーギャンを愛するが多い理由が今日、初めて理解できた!」と思ったのです。
 もちろん、マタモエ=死=文明化された自己の死、というテーマも訴える力が強いです。しかし私にはそれ以上に孔雀の羽の緑や藍を帯びた深い色合いだとか明るい大地のオレンジだとか熱い空気を感じる色の対比だとかが直接的に私を魅了しました。正直、初めてゴーギャンの絵を好きと思ったかも知れません。

 企画展に満足した後はもちろんコレクション展も観てきたのですが、これもまた見応えがあって面白かったです。私が気になってる現代作家さんの作品が1点ずつぽつりぽつりと何人も展示してあり「粒ぞろいですなぁ」と心の中で呟いてきました。
 国立国際美術館には初めて行ったのですが、コレクション展にはテーマ別になってはいるけれど順路は特に記されておらず自由な移動が出来る空間になっていました。あれ、気持ちいいな 

 国立国際美術館を出た後は、来週から月末まで休みに入る大阪市立東洋陶磁美術館にも寄りました。
 展示方法にとても工夫がされているとのことで感心させて頂いたのですが、「国宝展で感動した、油滴天目をもう一度この目に!」と意気込んでいったらなんか見え方が違って「……?」となってしまいました。
 自然光に近い光で観ることが一番良いという説明も分かるのです。でも国立博物館で観た天目茶碗はライトの光を受けていたからか青みを帯びて煌めいていたのですよ。そして私はその姿に見惚れたのですよ。
 どうすりゃいいんだ、この気持ちは。
 心のどこかで「自然光よりも人工の光で見た方が綺麗なものって世の中にはあるじゃん?ダイヤモンドみたいな宝石とかさー、この茶碗がそうじゃないって決めつけちゃって良いの?」と思ってます、すみません。
 まあ、青磁や白磁に私の好きなものがたくさんあって目の保養になったのは間違いないので良しとするかぁ。
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開館25周年記念企画展 ばんこやき再発見!ー受け継がれた萬古不易の心ー

2018年08月13日 | かんしょう
四日市市立博物館の開館25周年記念企画展として開催中の、「ばんこやき再発見!」を観てきました。
萬古焼は18世紀の半ばに現在の三重県桑名市で興った焼物で、以降三重県北勢部の主要産業となり、現在も四日市市を中心に伝統工芸として受け継がれています。
今年は萬古焼の創始者である沼波弄山(ぬなみろうざん)の生誕300年に当たるらしく、近隣地域にある朝日町歴史博物館やパラミタミュージアムでも萬古焼所蔵館連携事業として展覧会が企画されています。

↓それぞれクリックでHPへジャンプします。
●四日市市立博物館
●朝日町歴史博物館
●パラミタミュージアム

 萬古焼は今でこそ土鍋や蚊遣り豚という生活密着タイプの焼物というイメージが強いのですが、創始者の沼波弄山は茶人でもあったため、「古萬古」と呼ばれる創設当時の江戸時代中後期の作品は茶器や装飾性の高い名品が多いのです。
明治時代になると外貨獲得のための政府の政策と四日市の山中忠左衛門の尽力により、たくさんの輸出品が作られました。
今回の展示は歴史を語る堅苦しい感じではなく、萬古焼の変遷や多様な作風を一堂に知ることができるようになっています。
優美な名品からちょっと変わったものまで、本当に多岐にわたっています。
 萬古焼の歴史において、沼波弄山の死後に途絶えかけた萬古焼を再興させた森有節という人物がいます。
 森有節は猩臙脂釉というピンク色の釉薬を施した器が有名なのですが、今回の展覧会では猩臙脂釉の器よりも色絵や青釉、または木型造のもののような形状に特徴のあるものなどが多く見られました。絵付けの美しさはもちろんのこと、中に緑の発色が素晴らしい器があり、おかげで私は森有節の偉業を改めて思い知ることになりました。
 たくさんの名品があり写真撮影もOKだったのですが、SNS等への投稿は禁止されていた為アップできないのが残念です。
 もっと柔軟に対応したほうが、地場産業をアピールする良い機会になると思うのですが、、、いったいどんな弊害があるのやら
 
 四日市では春になると「ばんこ祭り」という焼き物市が開催されるのと、幼い頃は窯元の多い地域の近くに住んでいた事もあり、家には萬古焼の器がたくさんありました。
 なにぶん庶民の家に生まれたものですから高価な萬古焼の器には長い間巡り合えなかったのですが、大人になって積極的に萬古焼を観に行くと古萬古や有節萬古の絵付けの美しさに驚いたし、木型造りによる薄造りの繊細さには心が躍りました。
 赤土や紫泥の急須も、幼いころにはさらりとした手触りが洗いづらそうとしか思えずに良さが分からなかったのですが、大人になって同じく地場産業であるお茶との関りを知ると「萬古焼とお茶のマリアージュや~」という感じで、その味わいに深みを感じるようになりました。

 今の萬古焼に興味のある方はコチラをクリック→BANKO LIFE 暮らしを彩る萬古焼

 最近、やっと若い作家さんの作る新しい萬古焼が見られるようになってきた気がします。
 古い伝統も良いけれど、新しいものも開拓していかないと、と思います。ましてや萬古焼は明治時代に土を他所から買い付けた歴史もあるわけで、新しく進化し続けることが真骨頂なのではないかと思っているからです。
 若いクリエイターの活躍の目覚ましい波佐見焼のように、萬古焼もどんどん新しい風を吹かせてほしいものです。

 今回の展示で紹介された輸出品は、日本らしさに焦点が当たっているものが多かった気がします。
 外国に寄せて作った輸出品には今の北欧ブームに近いセンスのものも多いのですが、そういった作風の器は博物館よりもBANKO archive design museumの方で見る事が出来ます。
 
 博物館のように学術的な見地で見た後は、現代の新しい焼き物としての萬古焼も楽しんでほしい。。。地元民の願いです。
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名古屋ボストン美術館 最終展 ハピネス ~明日の幸せを求めて

2018年08月02日 | かんしょう
 暑中見舞いや年賀状を出すことでご無沙汰してる人と改めて繋がるというのは良くあることで。
 メールも便利だけど、一方的に近況を知らせる手紙の方が出しやすいって部分もあると思うのです。相手がもし私と縁を切りたいと思っていた場合には手紙の方が返事をしなくて良さそうな媒体だし、そうでもなかったなら何らかの手段で手紙着いたよ、って一言くれることでしょう。
 会わなくなってたママ友に手紙を出したら、幸いすぐにメールを頂いたので私も返信。「明日は休みなので美術館へ行くんだ」って言ったら、一緒に行くことになりました。子ども抜きで二人で会う事って今までなかったから、なんだか一歩前進だわ。

 行ったのは名古屋ボストン美術館の最後の展覧会「ハピネス~明日の幸せを求めて」。
 ボストン美術館がなくなったら、もう金山駅で降りる事なんてそうそうないんだろうな。。。
 




 出展数は75+特別出品10点。うーん、少ないわけではないけど最後にドカーンという感じではないですね?
 今回の目玉は曾我蕭白の〈琴棋書画図〉かな。他にもルノワールやミレーなど、有名どころもそれなりにあります。でも、なんだろう、、、ちょっと展覧会自体にパワーみたいなのが足りない気がします。
 悪くない。決して悪くないんだけど、前回の「ボストン美術館の至宝展」のような力強さはないかなぁという感じです。(前回、ちゃんと観ておいて良かった
 好みの問題なのであくまで個人的感想ですが、「あ、この作品良い」と思った陶胎七宝も鯉も鍔も、全部が名古屋市博物館の所蔵品だったのがビックリしました 正直、アメリカから貸し渋られたのかな?と思っちゃった。初出品作品が多かったので、「閉める前にこれも日本で紹介しておかなきゃ」ってあわてたのかも知れない。
 館長である馬場駿吉氏の所蔵作品も何点か展示してありました。私好みの作品だったのでそれ自体は良かったし、館長のアイデンティティも感じられるので良い試みだとは思うのですが、最後にこれをやられると逆に寂しい気も。。。
 それと最後の部屋はハートをモチーフにしたジム・ダインの作品がそろい踏みでした。今まで何気なく観ていた作品をじっくり見比べることで、色んな表現の違いやパターンの面白さを感じることが出来ました。ハートって見るからにハッピーなアイテムだから、今回の展覧会はハピネスがテーマだというのなら、もっとこの展示をピックアップしても良かったのでは?と思ってしまいました。まぁ、それだと幅広い層にうったえるのが難しくなるのかな。
 とにかく泣いても笑っても最後の展覧会。せっかくだから笑顔でお別れしましょう。
 
 美術館の後はささしまへ移動してグローバルゲートへ。
 ランチしてウィンドウショッピングを楽しみましたが、その時食べた「西条園抹茶カフェ」のふわふわ抹茶かき氷は美味しかった!オススメです。
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岐阜県美術館 所蔵名品展

2018年07月26日 | かんしょう
 今年の秋(2018.11.4)から岐阜県美術館では改修工事が始まり、来年の秋(2019.11.2)まで休館です。
 それに伴い、しばらく会えない所蔵品をじっくり見ておきましょうという企画で「さよなら、再会をこころに。」という副題を付けた所蔵名品展が開催されています。
 「これは見ておかねばなりますまい」ということで、先週行って来ました。





  岐阜県美術館は個人的に好きな美術館のうちの一つです。市街地にあり立地が良かったり新しくて綺麗だったりサービスが充実している美術館も素晴らしいと思うけれど、私が好きなのはちょっと不便な場所にあっても、落ち着いた雰囲気でコレクションが好みの美術館。
 岐阜県美術館は企画展よりもコレクションの印象が強い美術館で、ルドンや川合玉堂、山本芳翠が印象的です。
 だから、今回の所蔵名品を改めてじっくり見てみるという企画はとても良いですね!(前回の「曝涼展」を観てないし)
 無理に有名どころの企画展を持ってくるよりも、コレクションをゆっくり楽しんだ方が美術館への愛情や思索が深まる気がします。

 今まで何度も訪れてきましたが、観たことのない作品もたくさん出品されていました。
 特に気に入ったのはコチラ↓

▲神戸智行〈いつもの時間〉

 木曽川を描いているらしいのですが、水の澄んだ様子だとか棲んでる生き物だとかが愛らしくて美しいです。
 8月に開催される水うちわ作りのワークショップ、担当はこの神戸智行さんらしく、申込みが終わっていることに地団駄踏むことになりました。あと2日早く気付いてたら申し込んだのに...(抽選とはわかってるけど)
 この絵の隣にあった東正之〈青釉壺〉は、セルリアンブルーに近い青色というか水色の発色がとても美しく、ぼうっと光っているかのようです。
吸い込まれるような、でも透明な空気を吐き出しているようなその色が、水を描いた隣の絵と呼応しているように見えて、とても美しい空間を作り出していました。
 出口間際の展示だったので、とても清々しい気持ちで展示室を後にすることになりました。

 対照的に、入り口近くにあり、ものすごく目を引いた川崎小虎〈うどんげの花を植える女〉。ここに描かれてる女性、カゲロウの羽を持ってます。
 うどんげの花=ウスバカゲロウの卵、らしいのですが、植物の優曇華(うどんげ)の花は3千年に一度咲くと言われていて、吉凶のどちらともつかない珍しい現象を意味するようです。
 それを加味せずとも絵の持っている不思議な雰囲気は抜群です。
 この川崎小虎という方、東山魁夷の義父なんだとか。調べると大和絵を学んだ方ということで「地味で堅実」とか「甘美な情緒の漂うロマンチックな画情の持味」という言葉が出てくるのだけれど、他の作品と比べて明らかに異質な気がします。でも、私はこの絵が好き。

 それから、ゆっくりと観れる状態だったので、いつもは流してしまいがちな焼物と織物もじっくり観ました。
 荒川豊蔵が数点出ていたのもさすが岐阜、という感じでしたが、それより今回気になったのは小山冨士夫〈種子島茶碗 銘柴垣〉でしょうか。
 赤い肌もですが、高台の形がちょっとゴブレットを思わせるような形をしていて個性的なのです。
「種子島茶碗」というのが形状を指すのか産地を指すのかが分からなかったので監視員さんに尋ねてみたら、調べてくださいました。どうやら小山氏は種子島で作陶をしていた時期があり、その後も種子島から土を取り寄せて使っていたそうです。
 私も検索かけてみたら、小山氏というのは陶芸をお好きな方なら名前を知らない人はいないという有名人らしいです。。。人柄も、人を愛する懐の深い方だったようで、私にとって気になる人物となりました。
 織物も普段は何気なく見てしまいがちだったのですが、糸を染めてからこの文様に織っているのかと考えながら見ると、なんというセンスと計画性、そして卓越した技術だろうと感心せずにいられません。特に宗廣力三〈藍地縞に丸文様絣着物〉が、その流れるような連続性に魅せられました。あれ、着たら格好いいだろうなぁ~

 この日はこの後、岐阜県図書館にも寄って、ロダンのモデルになった唯一の日本人女性「花子」の企画展も見てきました。
 幼いころに家から離れることになったり恋に敗れたりする苦労の多い人生でありながら、外国に己の道を見出したり、帰国後は文化人と交流をしながらも晩年は表に出ず余生を送るなど、花子さんの意志の強さがうかがえるヒストリーが印象的でした。
 小説や映画もあるらしいので、読んでみたら面白そうです。
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扇田克也-光のカタチ展〈富山市ガラス美術館〉

2018年07月08日 | かんしょう
 富山県美術館へ行った後、富山市ガラス美術館へも寄ることにしました。

 
 市街地にあるので隣の立体駐車場に車を止めて中に入ると、、、 なんだ、ココ!?カッコイイ!!
 
 外観はアルミとガラス、内観は木とガラスを組み合わせてあり、光がきらきらしています。開放的な空間でありながら有機的で、なんとも独特なのです。
 富山市立図書館も併設されているのですが、各階が間仕切られることなく図書館の中もガラスの向こうに透けて見えます。物語に出てきそうな雰囲気です。
 後で分かったのですが、この建物、設計は隈研吾氏でした。
 どおりでカッコイイわけだ

 さて企画展の「扇田克也-光のカタチ展」、もちろん見ます。楽しそうです。




 ココも撮影可能で、SNS発信推奨中。
 先日のTVで言ってたけど、富山県ってSNSの利用率が全国トップらしい。なるほどね。
  
 コールドキャストという手法の流し固めたガラスは氷砂糖のような質感でとってもカワイイ
 透明なクリスタルガラスも好きだけど、こうやって重量感があるのに光がぼんやりと、でも濁らずに透けるガラスも大好きです。
 

 水玉プラネットと題した、この色ガラスのコールドキャストを研磨したカタマリときたらもう
 いやぁ、偶然の出会いだったけど、イイ作品に出会えました。

 ここはもちろん、企画展以外に常設展示も行っています。
 特に最上階の6階では、グラス・アート・ガーデンと銘打ったデイル・チフーリという方のインスタレーションが展示されています。
 私は知らなかったけれど、現代ガラス美術の巨匠らしいです。
 とても大胆な作品を作っておられますが、この、暗いところに鏡を使った作品は、水に浮かぶように見えるガラスの姿がとても幻想的でした。
 

 富山市って、私の住んでいる市と人口はほとんど同じなのに、美術館は4~5はあるし、科学博物館、天文台、動物園、城址、大学もあって路面電車まで走ってるし、街を歩いたら24時間利用可能のレンタサイクルまであるんですもの。あまりの利便性の良さにびっくりしました。
 新幹線もやってきて観光にはとても良さそう。冬は寒いかもしれないけど、かなり住みやすい町なんじゃないかなと思いました。
 富山、また行きたいな。
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