アバウトなつぶやき

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近代西洋絵画名作展

2018年10月18日 | かんしょう
 パラミタミュージアムで開催中の「笠間日動美術館・三重県立美術館コレクション 近代西洋絵画名作展」を観てきました。




 笠間日動美術館と三重県立美術館のコレクションを中心に、印象派からエコール・ド・パリまでを紹介するという企画展です。
 出展数を細かく数えてみたら123点あったけれど、エッチング等の版画シリーズが5点あるため作品数としては32点。決して規模の大きいものではありません。しかし、それぞれ普通の版画シリーズとちょっと毛色の違うところを持ってきているのが工夫されたところでしょうか。
 出展の大半を占めるのは、藤田嗣治とマルク・シャガールの版画です。日動美術館の母体といえば洋画の画商で有名な「日動画廊」。戦前から藤田嗣治の個展を開催していただけあって、藤田のエッチング(水彩)なんてものまで持っているんですね。
 藤田の没後50年なんていう大規模展覧会が開催されている今年、展覧会のメインに藤田を据えようと思うとなかなか難しいと思うのですが、小規模なりに大回顧展の向こうを張ってる辺りが小ワザが利いているという感じ。
 シャガールにしたって人気のあるのは大きくて色彩豊かな油彩画だと思うので、版画だとちょっとインパクトは少ないです。で、その代わりになのか、版画と言っても木版画を持ってきてます。枚数があるのでたくさんの色があるように見えますが、一枚あたりは決して版は多くなく、3色摺り程度の作品がいくつもありました。
 けど、木の風合いがあってこれがなかなか良いんですよ。色自体が明るかったり、シャガールっぽい楽しく幻想的な画面なので疲れることなく気軽にたくさん見れる感じです。
 油彩画も点数少なくとはいえこの時代の画家のものは揃えています。モネとルノワールをかろうじて一点ずつ出店しているのが謳い文句の面目躍如というところでしょうか。この二人さえ入れておけば印象派押さえてますって言えるだろうし(笑)
 その中で、「水の画家」と呼ばれているアルベール・マルケ〈ボートのある風景〉は、水を湛えた風景が彼の作風がふんだんに発揮されている作品で良かったのと、ジュール・パスキン〈若いムラート〉の真珠母色と呼ばれる淡い色彩(虹色と表現するらしい)がとても雰囲気があって良かったです。それから、モーリス・ユトリロ〈プール=レ=ゼシャルモ(ローヌ)〉に描かれた添景の人物が楽しそうに会話している雰囲気だったのが目を引きました。人間嫌いのユトリロのイメージがあるので、人物が大きめに描かれているだけでホッとするのです。。。
 三重県立美術館の所蔵の作品もあるため、地元民としては見慣れた雰囲気なのは否めなかったかな。
 展覧会全体としてはこれといったインパクトの大きい作品はないですが、ちょっと空いた時間に観るには良いかもしれません。

 
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加藤土師萌展

2018年10月13日 | かんしょう
 先週の連休は、何かと盛り沢山でした。
 土曜日は名古屋三越で開催していた日本工芸展に行き、その後、同僚のまっちゃんの発表会であるエルメスダンスカンパニー主催のダンスフェスティバルを観に行ってきました。これはキラキラだし弾むし、とっても楽しかった
 日曜日は庭の整備の手伝い。主人が木の刈り方で義母とトラブっていたけどこれは傍観

 そして月曜日は、岐阜県現代陶芸美術館で開催中の加藤土師萌展を観に行ってきました。 




 加藤土師萌の没後50年を記念した展覧会です。
 1961年に人間国宝に認定された加藤土師萌氏ですが、勉強不足の私は展覧会のリーフレットを見るまで存じ上げませんでした。
 しかし、富本憲吉氏と並び称されることに加えてリーフレットに使われている〈萌葱金襴手丸筥〉があまりにも綺麗だったので足を運んだのです。
 加藤氏の略歴を読んで、長く多治見の岐阜県陶磁試験場に勤めていたことを知りまたその成果を知ったことで、その実直とも思える人柄に非常に好感を持ちました。
 家庭の都合で学校に通えなかったために働きながら学ぶ熱心な人物で、試験場に迎えられてからは図案や素材の研究、後進の育成に邁進します。さまざまな成果を残しつつ自らも作品を作り、40歳にしてやっと窯を開くことになりますが、その時も試験場の人材を育ててくれたことに感謝され「これ以上引き止めることはできない」と惜しまれながら退職しています。気難しい芸術家ではなく、職人気質をうかがわせるエピソードで、親しみを感じずにいられません。

 実際の作品として、試験場勤めの頃のものから見ることができましたが、伝統的なものから大胆な個性を感じるもの、外国の様式を取り入れたものまでさまざまな取り組みをしています。
 独立してからは色絵磁器の難しい技術に取り組んで「黄地紅彩」、「萌葱金襴手」を再現するに至り、人間国宝に認定されるまでになります。
 さて、冒頭でも触れたこの「萌葱金襴手」の作品。
 コレがもう、本当に美しい。
 加藤氏は金泥で着彩したものは金彩で、金箔を貼ったものを金襴手と呼び区別していたそうですが、この「金襴手」は金色が質量を感じさせ、存在感のあるきらめきを見せるのです。そして、萌葱の透き通ったような釉薬は金と重なり合ってまるで翡翠のように見えます。まさに宝物という感じです。
 コレを見ただけで、来た甲斐があったと思いました。
 加藤土師萌氏は、晩年に作品発表に場として日展か日本工芸展かを選ぶように迫られていて(本人はどちらも区別するべきでは無いと考えていたそうですが、周囲がそれを許さなかったようで)、その際に日本工芸展の方を選択しています。
 このあたりが、長年技術者と働いてきた人という感じですね。
 この展覧会の2日前に日本伝統工芸展を見たら非常に面白く、日本の工芸の素晴らしさを実感していたところだったので、このエピソードも心に残るものがありました。
 また、別室ギャラリーに、試験場時代に中間工場で作られた精炻器が紹介されていました。
 この時代、白い素地の磁器が注目されているときに色の着いた素地を持つ精炻器に合う図案を考案していたという紹介なのですが、これが今の時代でもうけそうなモダンで非常にかわいらしいものがありました。素晴らしい技術者でありながら、素晴らしいデザイナーであったことを改めて感じる仕事ぶりでした。

 このあと、美濃焼ミュージアムに寄って美濃焼の歴史も感じてきました。
 少し前には猿投窯を見たところだし、やっと古い焼物が面白いと思えるようになってきてます。仕事柄、いまさらって感じではありますが、、、もうちょっと勉強しなくちゃという感じです。ええ。
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日本画大研究展

2018年09月21日 | かんしょう
 今日は次男が自動二輪(小型)の免許取得のため、免許センターへ連れて行きました。試験の間、私は移動して三重県立美術館へ。
 ただいま開催されているのは、館のコレクションをメインに利用した「日本画大研究展」。
 私、これとっても楽しみでした!
 巡回展も良いけれど、やっぱり自館の作品を大切にして紹介するのって大事だよね~。





 私、この企画展すごく良いと思います。
 まず、キャプションの読み方から解説が始まります。キャプションなんて見たままなので、解説が必要かどうかと言うと必要ではないかも知れません。でも、こういう所に目を止めて頂こうという気概が大事です!これがあることによって、ほとんど美術館へ来たことのない人にも作品を紹介する側の気持ちを汲み取ってもらえると思うのです。
 全体的に日本画の画面形式、画材や技法の紹介、鑑賞ポイントなどが実際の作品を前に解説されているのでとても丁寧で分かりやすい。
 私、この展覧会を観るまで襖絵の画題が、建物や部屋の格によって描き分けられているなんて知りませんでした※格が高い方から順に、山水→人物→花鳥らしいです
 特に興味深かったのは、伊藤小坡〈ふたば〉の部分模写による技法の解説です。絹本の裏側を見ることができるようになっていて、質感を表現するのに非常に工夫が凝らしてあるのを実感しました。
 曾我蕭白の作品に描かれた画題としての人物解説も良かったし、企画展示室4に横山操〈蕭湘八景〉が一同に展示されているのも見応えがあって素晴らしいと思いました。
 今日は雨だったこともあり、館内は静かで落ち着いて見ることができて、とても良かったです。試験が終わった、という次男からの連絡が入ったので早々に切り上げなければならず、常設展が観れませんでした。連絡無かったら、あと1時間は居たと思う。。。半券あるし、会期内にもう一度行けると良いんだけど。
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松浦武四郎 生誕200年記念展覧会

2018年09月18日 | かんしょう
三重県立博物館で開催中の企画展「幕末維新を生きた旅の巨人 松浦武四郎」を観てきました。



〈チラシPDF〉


三重県の歴史的な偉人と言われた時、割と出てくるのは本居宣長と藤堂高虎。
どっちも全国的にメジャーな人物かというと首を傾げたくなるところなんだけど、この数年、頭角を現してきたのが松浦武四郎です。
少し前にNHKの番組で(歴史ヒストリアか何か?)取り上げられ、来春には松本潤主演で特番ドラマも予定されているという注目株の人物。→北海道150年記念ドラマ「永遠のニㇱパ~北海道と名付けた男 松浦武四郎~」

近世の日本地図と言えば伊能忠敬が有名ですが、伊能図は本州が主であり、北海道(蝦夷地)は本州に近い道南や道東辺りの海岸線を記すに留まっています。蝦夷測量に対する幕府の協力が得られなかった上に、厳しい自然に阻まれた踏破困難な場所だったからです。
 そんな蝦夷を、後に詳細に調べ上げたのが松浦武四郎でした。
 幕末、武四郎はロシアの南下政策で蝦夷が危機にあることを知り、自ら蝦夷を調べに向かいます。その後、江戸幕府に認められて、命を受けての探査へ赴くことになり、アイヌの人々の助けを借りて驚くほど詳細な記録を残すのです。
 武四郎が幕府の命を受けるに至ったのには大久保利通の推挙があったからなのですが、この頃の武四郎の交友関係がすごい。歴史上の名だたる人物が出てきます。
 西郷隆盛、木戸孝允、勝海舟、吉田松陰、坂本龍馬…もう、これは大河ドラマ作るしかないんじゃないかと思ってます。特番で終わらせるのもったいない!
 来年は生誕200年の上に北海道命名150年と重なるため、このところ様々な企画が催されています。昨秋も三重県の総文センターで講演会が行われていたので参加したのですが、その時に聞いた逸話がどれも面白くて、生き様が本当に魅力的な人物です。
 だいたい、旅の巨人と言われていますが、最初の旅は家出から始まっています。それも、自分の趣味の蒐集で金に困って恩師の大切にしていた「火事頭巾(確か、誰ぞに賜った由緒ある品)」を勝手に売却してしまい、それを隠したまま逃げているんです。(すぐばれて、家の者が後始末してますが)なんて破天荒な
 そして、退官後も健脚ぶりは健在で、60代終盤から亡くなる前年の70才まで大台ヶ原に登っています。
 この地域の人にしか分からないだろうけど、大台ヶ原ってのはものすごい山深い場所で、屋久島と並ぶ日本の降水量のトップ。急勾配のため踏査する人が少なく、もちろん当時は拓かれた場所ではありませんでした。そんなところに死ぬまで登るジジイ…ただ者ではない!→大台ヶ原とは
 河鍋暁斎に自分の涅槃図を描いてもらってるのは美術ファンに響くし、アイヌの生活向上に尽力した点においては民族保護の観点から研究の余地がまだまだあります。蝦夷のことを書いた本を出版してブームも起こしたらしいし、ホントもう、若い頃から最晩年までエピソードが満載です。
 おまけに2020年には最後の国立博物館になるだろうと言われている、アイヌ文化博物館(仮称)が開館予定です。
 2020年なのはオリンピックに合わせての事らしいですが、こんな人物、大河にするしかないでしょー。

 この展覧会はそんな武四郎の足跡をたどることが出来ます。
 北海道の社会科の教科書には必ず出てくるという松浦武四郎。三重県人はもっと彼のことを知って、誇りに思うべきですよ。
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藤森照信展

2018年09月13日 | かんしょう
 ジブリのような建築を作る建築家、藤森照信氏の展覧会が同氏の設計した浜松市秋野不矩美術館で開催されているのを知り、ワダちゃん誘って行ってきました~

 館の入り口側の駐車場に車を止めて歩いていくと、見えてきました。美術館と新しくできた「望矩楼」という名の茶室です。

 私が藤森氏を知ったのは、滋賀県といえばバームクーヘンでおなじみ「クラブハリエ」もとい「たねや」が2015年にオープンしたラ コリーナ近江八幡のメイン店舗である「草屋根」の設計でした。
 その後、2016年には岐阜県に多治見市モザイクタイルミュージアムもオープンし、その個性的な建築は一度見たら忘れられません。

 今回、秋野不矩美術館の開館20周年に合わせて茶室が制作され、それに伴い藤森氏の建築をパネルや模型・見本などを展示、紹介しようという企画です。




 今時、webで作品の写真は見る事が出来るので、どんな作品を作ってらっしゃるかは知っていましたが、改めて大きなパネルで見るとよく分かりますねぇ。
 どの建築もかわいくて、面白くて、そして脆そう(笑)!
 模型が展示されていると聞き、実際の建築を100分の1ぐらいにしたおもちゃのようなジオラマ風の世界が広がっているのを想像していったのですが、これがまた全然違うんだなぁ。
 模型というよりもどちらかといえば彫刻。丸太を削り出して、イメージの形状だけを表現した、立体エスキースという感じです。木の椅子にぽこんとモコモコの立体物が乗っかっているようなのもあり、その姿はかわいらしく、インテリアとして飾るなら精巧な模型よりもかえって良いことでしょう。
 また、屋根の構造や素材の見本もありました。ちゃんと断面図付き。
 なるほど、こうなってるのか~、と見てて思ったのですが、あれはメンテナンスが大変そうですよ、ホント。
 屋根に植物を植えている建築は、強度と水漏れがやっぱり心配です。工夫を凝らしているため「もう7年経ちますが雨漏りはありません」てなことが書いてあって「建築物で7年かぁ。心配なのは10年後からだよね。」と思うワタクシ。あの構造で水漏れしないのは、防水のルーフィングの性能が上がってるからでは、、、劣化したら危ないぞ、きっと、と思う。
 銅板も手作りの風合いを表現するために、かなり薄いものを使っています。藁を練りこんだしっくい壁も、もし見本の厚さ通りならちょっとした地震でヒビが入ってしまうでしょう。
 でも、クライアントはそんなの承知で設計してもらってると思うんですよね!
 だってあの見た目の可愛さにはそういう心配を凌駕する魅力があると思うんです。そして、メンテナンスできる財力のない人は、きっと藤森氏には頼まないと思う。
 とにかく、あんなかわいい建築物、他にはないですよ。見てるだけでわくわくしますから。
 実際、恒久的なものよりもイベント要素の強い展示作品をたくさん手掛けていらっしゃる印象です。
 学生時代の卒業設計も展示してありましたが、その頃から発想がぶっ飛んでます。建築イメージを合成写真で表現した作品もあり、藤森氏はアート作品を作る技法として建築を選択しているというのが伝わってきます。
 そう、彼の作品は楽しい時間を過ごすためのアートなんだと思います。
 「望矩楼」も、リーフレットに「展示」って書いてあるから、恒久的な茶室利用は考えてないんじゃないのかなぁ。

  

 
 私は秋野不矩の絵を見たことがなかったのですが、職場のまっちゃんが好きで以前に観に行った話を聞いていたので「きっと素敵な作品を描く人に違いない」と思ってそちらも楽しみにして行きました。
 最近、ゴーギャン、田中一村、平山郁夫、と立て続けに南方を描いた作品を観てきましたが、秋野不矩さんもインドを旅して、かの地を描いていらっしゃいます。
 そして、その作品が良いんだな!これが。視点や描き方が女性らしくて、伸びやかさと落ち着き、そして優しさがある絵を描かれます。
 今回は藤森氏の企画展があったため、所蔵作品は第2展示室のみの展示でした。もっと彼女の作品を見たいなー、と思ってたら秋野不矩美術館の展覧会スケジュール裏面の浜松市美術館の案内に池田学氏の作品を発見!翌春のコレクション展で≪再生≫を展示するようです。
 そうか、浜松市美術館は池田学を持ってたのか~。悩むわ~。昨年の金沢の展覧会を見送っちゃったからな~。でも微妙に遠いんだよなー、静岡って。
 池田学氏の巡回展、来期の開催がなかったら考えよう、うん。
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生誕110年 田中一村展

2018年09月07日 | かんしょう
 先週、シロウタと佐川美術館で開催中の田中一村展を観てきました。

 もうすぐ会期終了を迎えるためか、開館時刻からそんなに経っていないのに入口には結構な数の人が並んでいました。
 私はテレビでの紹介とポスターの美しさに惹かれて見に来たクチなのですが、皆さんはどうなんでしょう。

 彫刻家の父を持ち、幼い頃から南画でその才能を発揮していたという一村(本名は孝)。
 まずは7才の時に描いた絵から展覧会が始まるのですが、これがまたものすごく上手い。父親が手を入れたことが気に入らずにその箇所を破ってしまったというエピソードまで付いていて神童と呼ばれていたというのも頷けます。
 若い頃に描いていた南画から始まり日本画に移行していくのですが、私の抱いた印象は「どれもダイナミック」。
 一村は「日本のゴーギャン」と称され、奄美大島へ渡ってからの明暗のはっきりした色遣いと南国の動植物がモチーフの絵が有名なので、移住したことで画風が変化したのかと思っていましたが、展覧会を見てもともと大胆なものを好む気質があったんだな、と思いました。

 南画って筆使いが荒々しい傾向があるので作風というのももちろんですが、南画以外のスケッチや初期に日本画を描いている際に選んでいるモチーフに力強いものが多いのです。
 例えば夏の花。日本画で好まれそうな花というと百合や紫陽花、桔梗といったはんなりした花だと思うのですが、一村は(もちろんそれらも描くけれど)鶏頭、鳳仙花、オクラなどの中心から外へ向かう感じの力強い植物を好んで描いているように見受けられます。本人の自信作だった〈秋晴〉にも棕櫚やカロライナポプラかな?ヤナギ科?と思うような、やはり放射状に枝葉が伸びる植物を描いています。
 鳥にしても圧倒的に軍鶏が多いし、日本画として受賞した〈白い花〉でさえ普通のツグミではなくトラツグミという柄がはっきり出る種類のツグミを描いています。
 構図も縦長の作品だとかなりの確率で上に重心があったりして、迫ってくる感じの重量感がすごいんですよね。
 それが個性であり、だからこそ奄美に惹かれたのだと思いますが、逆にそういう感じだったからこそ当時の日本の画壇に認められなかったんでしょうね。
 
 今回の展覧会は画業を振り返るという趣旨のためか、出展数は180点という膨大な量なんだけれど、色紙に描いたものや知人や親類のために描いた小品が占める割合が非常に高い。そのため、リーフレットに載っているような色使いの鮮やかな大作がメインかと思って行くとちょっともの足らない感じがしてしまいます。
 有名な〈アダンの海辺〉も岡田美術館へ行っちゃってパネルだけだし(展示中に行かなかった自分が悪いんだけど)、点数多いのにダイナミックな画風ってことで見終えたらすっごく疲れてました。
 あ、もちろん作品は素晴らしく美しいと思ったし、好きな作品もたくさんありましたのでマイナスの感想ではないです、念のため。


 佐川美術館を飾る彫刻として、佐藤忠良もコレクション展として紹介されていました。
 顔の表情ももちろんですが、体の表情が良くてとても良い彫刻家だなって思いました。外の〈蝦夷鹿〉ももちろんだけど、〈帽子・夏〉は好きだなぁ。
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至上の印象派展 ビュールレ・コレクション

2018年09月03日 | かんしょう
 名古屋市美術館で開催中の「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」を観てきました。





 夏休み中(あと2日で終わりの日)だったので、シロウタ&その息子たちも一緒に行ったけど子どもたちはお向かいの科学館へ行ったのでいつも通りシロウタと二人。お兄ちゃんは小6なのにしっかりしてるから任せられてイイねぇ、頼もしい。

 さて、NHKで宣伝しまくってるこのコレクション展。
 「あのビュールレコレクションが!」って感じで語られてるけど、私には「どのビュールレさんですか」ってな具合で、ビュールレ氏についての予備知識は全くなしでした。
 会場で紹介文読んで初めて知ったのですが、ビュールレ氏、収集家やパトロンである前に武器商人だったんですね。。。道理で資金が潤沢なわけです。
 その背景を知ってコレクションの動きを聞くとどうにも生臭くて、ある意味面白い。買ったものが盗品だったり、またそれを買い戻したり、盗難にあったり、武器輸出の禁止で商売替えしたり、現在では警備費維持が困難になってしまうとか(そのため、2020年にチューリッヒ美術館へ移管されることになり、それまでの間、警備費削減のために巡回してるから日本にも来たわけで)どうにもこうにも波瀾万丈なコレクションです。

 武器商人なんてのは敬遠したくなる響きですが、美術品には罪がない、、、ので楽しませていただきます。
 このコレクション、センスが良いんですよねぇ。私なんかに褒められても何の意味もないですが、私の好みの作品が大変多いのです。今回、来日したものは一部なのでしょうが、主たる収蔵品が巡回しているのは間違いないようです。
 そのうえで今回の展覧会の感想なのですが、印象派の時代の良作が多いこと、同じ画家でもタイプの違う作品を揃えているところや、風景画のコレクション傾向が私好みなのとが気に入りました。特に風景画について、アントーニオ・カナールの描くベドゥーテ(景観画)の精密さと美しさが素晴らしいと思ったのですが、その後、カミーユ・ピサロの作品を見た時に「あ、この構図、好き!」と思う作品が揃っていたのです。
 ピサロの作品に限らずなのですが、道だったり野原だったり、奥行きを感じる風景画が多いように思います。道はどこかへ続いている印象を受けるし、空は広がっているように感じる。しかも明るい色使いの作品が多いので見ていて明るい気分になるというか、わくわくするような気持ちになれる気がしました。
 マネの<燕>という風景画ものびのびとした風景が描かれていて大変気持ちがよいのですが、そのコーナーではマネの作品を3点並べてあり、<オリエンタル風の衣装をまとった若い女>、<ワシミミズク>など、マネと言ってすぐに思いつかないようなタイプの絵が並んでいたのが面白かったです。
 ゴッホの作品は明るい色調のものが多かったのも面白いと思ったし、モダン・アートのコーナーではヴラマンク、ドラン、ブラックが、それぞれ配色が素晴らしい作品だったのが目を引きました。
 ヴラマンクについては、最近観たどの作品よりもフォーヴ期であると感じましたし、ブラックの作品もキュビズムの構成でありながら色調はフォーヴのようで、時代を感じました。また、ドランの<室内の情景>は、赤、青、黒、そして黄土色のバランスがとても良くて、アンドレ・ドランの作品をもうちょっと気にして観ようかなという気になりました。
 もちろん、話題作であるルノワールの〈可愛いイレーヌ〉も、モネの〈睡蓮〉も思った通り素晴らしかったです。名作ぞろいの良い展覧会でした。
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サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法展

2018年08月27日 | かんしょう
 三重県立美術館で開催中の「サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法」展を観てきました。




 いつもは入館して右側に会場入口があるのだけれど、今回は左側に入口があって右へと進む配置になっていました。展示室のサイズによるものか企画側の意向なのかは分からないけれど、三重美ではちょっと珍しい。
 伝えたいメッセージを一目で分かるようにするという信条で描かれたポスターはとても分かりやすく、なによりかわいい!
 会場全体がポップで、明るく楽しい空間が出来上がっていました。
 発表当時、ポスターがパリの街を飾っている写真が何枚もあったのですが、街角や地下道など、どれも大きく引き延ばして壁面を覆っているのにうるさくなくてスタイリッシュ。描き込みすぎないことで空間をも演出してしまっていて、バランス感覚が見事です。
 どのポスターもかわいくてグッズになりそうなものなんだけど、やはり本来は広告。なんでもかんでもグッズにするわけにはいかないんでしょうね。このデザインのバッグや文具があったらかわいいだろうな、と思ったけれどそういうものはなかったです。

 今回は夏の恒例、武蔵美の県友会が県民ギャラリ-で開催している「び・SAM」展に合わせて行ってきました。
 観に行くようになってから結構経つけど、まっちゃんのいるときに行くと解説が入って楽しい♪ 割と美術館へ行く方だとは思うけど、いつもうわっぺりで作品を観て個人的な見解で楽しんでるだけの私にとって、制作側の話を聞くと別の視点で見ることになって勉強になる、、、というかそれぞれの作品にこだわりとか思いがあることに気付かされて頭が下がる感じ。作る作業って「創る」になるとパワー要りますよね。
 ずっと変わらないと思っていたメンバーにも変化が出てきているようで、「続ける」ということの難しさや大切さについても考えるきっかけになった気がします。私には出来ないことをやってる色んな人達、がんばって下さい。
 
 
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開館40周年特別企画展 知られざる古代の名陶 猿投窯

2018年08月24日 | かんしょう
 愛知県陶磁美術館で開催中の開館40周年特別企画展「知られざる古代の名陶 猿投窯」を観てきました。




 2013年に愛知県陶磁資料館から改称して現在の名称になった、愛知県陶磁美術館。もう5年も経ってたんですね。
 今回の開催概要を読んでいて、陶磁資料館が開館した経緯を知りました。
 全国有数の窯業地である瀬戸だから陶磁器を紹介する場所があることは当然のように思っていましたがそれは現代の産業としての視点であって、本来、というか開館当時はこの場所の古窯である「猿投窯」の研究が目的だったんですね。
 今でこそ考古に分類される古い物にも美術的価値があるとされていますが、そういった価値観は戦後以降の考え方であり、それまでは工芸品という観点だけで美術的価値は認められていませんでした。縄文土器はその良い例で、1950年代に岡本太郎がその価値を唱えたり、海外で紹介した際に高い評価が得られたことで美術的価値が認められました。
 最近はそういう考え方が中国の富裕層にも広がってきて、大陸の古い焼き物から日本の仏像まで高値で取引されているのはご存じの通りです。
 とにかく、瀬戸焼や常滑焼、美濃焼などの源流に当たる「猿投窯」が学術的にも美術的にも価値のある窯であるのは間違いなく、その全容を名品の紹介による美術的観点と変遷を紹介することによる歴史の観点からという両面から理解できる構成になっていて、たいへん興味深い展覧会と言えます。
 私の住んでいる三重県も遺跡から猿投窯製の須恵器(野焼きに代わって窯で焼かれるようになった陶質の土器)が出土します。東海圏とは言え交通機関の存在しなかった時代にわざわざ運んだのか、すごいな、と思っていたのですが、同様に猿投の焼き物は全国で出土しており、九州や東北まで流通していたことに驚かされます。
 また、展覧会用にピックアップされているとは言え非常に美しい姿をした名品が多いことにも驚きました。
 特に自然釉(窯の中で降りかかった灰がガラス質の釉になる状態)が意図したかのようにバランスよくかかっていたり、ゆがみが一切なくてピシッとした口縁や流れるような胴部を持っていたりして、非常に高い技術を持った集団が窯を営んでいたことが分かります。後で学芸員さんがおっしゃっていましたが、この自然釉も経験によって窯の中のどの位置に置けば美しく灰がかかるかを計算して配置していただろうとのことでした。
 博物的な視点でいわゆる考古遺物のひとつとして捉えていた須恵器や瓷器(初期の陶器)でしたが、この展覧会を見たことで価値の多様性に気付けた気がします。
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プーシキン美術館展ー旅するフランス風景画

2018年08月16日 | かんしょう
お盆といえば大人にとっても夏休みです!
毎年この時期、一日は仕事や家事を休んでふらりと出かけています。今年は大阪の国立国際美術館で開催中のプーシキン美術館展を観に行ってきました。

車を使って遠出をする私にとって大阪はなかなかハードルが高い場所。おまけにプーシキン美術館の所蔵に特別な関心があるわけでもなかったので、当初は見送ろうと思っていた展覧会です。
しかし、ニコニコ生放送で東京会場を使った解説をしていたのを見てしまい、どうにもウズウズしていました。
近鉄特急を使えば快適に行けるのはわかっていましたが、今後に繋げるためには安価な方法を検証しておきたかったのと、場所がミナミでなくキタなのも考慮してJRを使って行ってみる事にしました。柘植から乗ると駐車場に困らないんだよね。

さて、10時頃には会場に到着しましたがやはり人気のある展覧会です。大阪なのとお盆なのも関係してか、なかなかの盛況ぶり。東京に比べればかなり空いてるのでしょうが、絵を目にするのに時間がかかる時点で私にとっては人多めです。





 プーシキン美術館展は何年かに一度のペースで巡回展が開催されているイメージです。所蔵品が多いので、当然といえば当然かも知れません。
 今回、目当ての絵画があったわけではありませんが行けば必ず良い作品に出会える展覧会であることは分かっていましたので、楽しみではあったのです。

 注目の絵画はモネの〈草上の昼食〉ですね。制作過程やそのエピソード、習作、マネの〈草上の昼食〉との比較なども交えて紹介するといった丁寧な解説が入っています。
 日本人に人気の睡蓮シリーズより以前、若かりし頃のモネを知るのにとても良い位置づけの絵画です。とても描き込まれた意欲作であることが伝わるし、当時の風俗も良く分かる、見応えのある絵です。
 風景画が一つのジャンルとして確立していく過程や当時のフランスの様子がよく分かる絵画の多いこと、「廃墟のヴェルネ」や「絵画の詩人ロベール」など通り名のある画家については特徴的な絵が出展されていること、モネの他にも画家の創作意欲の高まっている時期に描かれたと思われる良い作品があることなど、展覧会のまとまりや構成がとても良かったと思いました。
 特に今回は「この画家の他の作品に比べてとても良い!」と感じた作品がいくつもありました。私が個人的に気に入ったのはヴラマンク〈オーヴェールの風景〉、セザンヌ〈サント=ヴィクトワール山の平野、ヴァルクロからの眺め〉、ゴーガン(マタモエ、孔雀のいる風景〉です。
 ヴラマンクについては画面が明るい清々しさのある絵だったので、彼が自然を好んで描いているのがよく伝わりました。少し前に「なんで自然を愛してるって言いながらこんな暗い色調で描くんだ」なんて思ったので、彼の作風のままに明るさを残している作品として、その疑問を払拭してくれたのです。
 また、セザンヌの作品にも似た印象を持ちました。
 作風が違うというのではないけれど、のびのびとした自然の様子と豊かな色彩が私好みで、他の彼の作品よりずっと好きだと思いました。
 そして今回、私が一番印象的だったのはゴーギャン(ゴーガン)です。
 ゴーギャンは個性が強いので、今までその画面構成の方にばかり目を奪われていましたが、この作品の色彩の美しさには衝撃を受けました。
 印刷物と実際の絵画では色が全く違うというのはよくあることだし、観た日の気分というのもあるのでしょうが、とにかくこの絵を観て「ゴーギャンを愛するが多い理由が今日、初めて理解できた!」と思ったのです。
 もちろん、マタモエ=死=文明化された自己の死、というテーマも訴える力が強いです。しかし私にはそれ以上に孔雀の羽の緑や藍を帯びた深い色合いだとか明るい大地のオレンジだとか熱い空気を感じる色の対比だとかが直接的に私を魅了しました。正直、初めてゴーギャンの絵を好きと思ったかも知れません。

 企画展に満足した後はもちろんコレクション展も観てきたのですが、これもまた見応えがあって面白かったです。私が気になってる現代作家さんの作品が1点ずつぽつりぽつりと何人も展示してあり「粒ぞろいですなぁ」と心の中で呟いてきました。
 国立国際美術館には初めて行ったのですが、コレクション展にはテーマ別になってはいるけれど順路は特に記されておらず自由な移動が出来る空間になっていました。あれ、気持ちいいな 

 国立国際美術館を出た後は、来週から月末まで休みに入る大阪市立東洋陶磁美術館にも寄りました。
 展示方法にとても工夫がされているとのことで感心させて頂いたのですが、「国宝展で感動した、油滴天目をもう一度この目に!」と意気込んでいったらなんか見え方が違って「……?」となってしまいました。
 自然光に近い光で観ることが一番良いという説明も分かるのです。でも国立博物館で観た天目茶碗はライトの光を受けていたからか青みを帯びて煌めいていたのですよ。そして私はその姿に見惚れたのですよ。
 どうすりゃいいんだ、この気持ちは。
 心のどこかで「自然光よりも人工の光で見た方が綺麗なものって世の中にはあるじゃん?ダイヤモンドみたいな宝石とかさー、この茶碗がそうじゃないって決めつけちゃって良いの?」と思ってます、すみません。
 まあ、青磁や白磁に私の好きなものがたくさんあって目の保養になったのは間違いないので良しとするかぁ。
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