今年の秋(2018.11.4)から岐阜県美術館では改修工事が始まり、来年の秋(2019.11.2)まで休館です。
それに伴い、しばらく会えない所蔵品をじっくり見ておきましょうという企画で「さよなら、再会をこころに。」という副題を付けた所蔵名品展が開催されています。
「これは見ておかねばなりますまい」ということで、先週行って来ました。
岐阜県美術館は個人的に好きな美術館のうちの一つです。市街地にあり立地が良かったり新しくて綺麗だったりサービスが充実している美術館も素晴らしいと思うけれど、私が好きなのはちょっと不便な場所にあっても、落ち着いた雰囲気でコレクションが好みの美術館。
岐阜県美術館は企画展よりもコレクションの印象が強い美術館で、ルドンや川合玉堂、山本芳翠が印象的です。
だから、今回の所蔵名品を改めてじっくり見てみるという企画はとても良いですね!(前回の「曝涼展」を観てないし)
無理に有名どころの企画展を持ってくるよりも、コレクションをゆっくり楽しんだ方が美術館への愛情や思索が深まる気がします。
今まで何度も訪れてきましたが、観たことのない作品もたくさん出品されていました。
特に気に入ったのはコチラ↓
▲神戸智行〈いつもの時間〉
木曽川を描いているらしいのですが、水の澄んだ様子だとか棲んでる生き物だとかが愛らしくて美しいです。
8月に開催される水うちわ作りのワークショップ、担当はこの神戸智行さんらしく、申込みが終わっていることに地団駄踏むことになりました。あと2日早く気付いてたら申し込んだのに...(抽選とはわかってるけど)
この絵の隣にあった東正之〈青釉壺〉は、セルリアンブルーに近い青色というか水色の発色がとても美しく、ぼうっと光っているかのようです。
吸い込まれるような、でも透明な空気を吐き出しているようなその色が、水を描いた隣の絵と呼応しているように見えて、とても美しい空間を作り出していました。
出口間際の展示だったので、とても清々しい気持ちで展示室を後にすることになりました。
対照的に、入り口近くにあり、ものすごく目を引いた川崎小虎〈うどんげの花を植える女〉。ここに描かれてる女性、カゲロウの羽を持ってます。
うどんげの花=ウスバカゲロウの卵、らしいのですが、植物の優曇華(うどんげ)の花は3千年に一度咲くと言われていて、吉凶のどちらともつかない珍しい現象を意味するようです。
それを加味せずとも絵の持っている不思議な雰囲気は抜群です。
この川崎小虎という方、東山魁夷の義父なんだとか。調べると大和絵を学んだ方ということで「地味で堅実」とか「甘美な情緒の漂うロマンチックな画情の持味」という言葉が出てくるのだけれど、他の作品と比べて明らかに異質な気がします。でも、私はこの絵が好き。
それから、ゆっくりと観れる状態だったので、いつもは流してしまいがちな焼物と織物もじっくり観ました。
荒川豊蔵が数点出ていたのもさすが岐阜、という感じでしたが、それより今回気になったのは小山冨士夫〈種子島茶碗 銘柴垣〉でしょうか。
赤い肌もですが、高台の形がちょっとゴブレットを思わせるような形をしていて個性的なのです。
「種子島茶碗」というのが形状を指すのか産地を指すのかが分からなかったので監視員さんに尋ねてみたら、調べてくださいました。どうやら小山氏は種子島で作陶をしていた時期があり、その後も種子島から土を取り寄せて使っていたそうです。
私も検索かけてみたら、小山氏というのは陶芸をお好きな方なら名前を知らない人はいないという有名人らしいです。。。人柄も、人を愛する懐の深い方だったようで、私にとって気になる人物となりました。
織物も普段は何気なく見てしまいがちだったのですが、糸を染めてからこの文様に織っているのかと考えながら見ると、なんというセンスと計画性、そして卓越した技術だろうと感心せずにいられません。特に宗廣力三〈藍地縞に丸文様絣着物〉が、その流れるような連続性に魅せられました。あれ、着たら格好いいだろうなぁ~
この日はこの後、岐阜県図書館にも寄って、ロダンのモデルになった唯一の日本人女性「花子」の企画展も見てきました。
幼いころに家から離れることになったり恋に敗れたりする苦労の多い人生でありながら、外国に己の道を見出したり、帰国後は文化人と交流をしながらも晩年は表に出ず余生を送るなど、花子さんの意志の強さがうかがえるヒストリーが印象的でした。
小説や映画もあるらしいので、読んでみたら面白そうです。
それに伴い、しばらく会えない所蔵品をじっくり見ておきましょうという企画で「さよなら、再会をこころに。」という副題を付けた所蔵名品展が開催されています。
「これは見ておかねばなりますまい」ということで、先週行って来ました。
岐阜県美術館は個人的に好きな美術館のうちの一つです。市街地にあり立地が良かったり新しくて綺麗だったりサービスが充実している美術館も素晴らしいと思うけれど、私が好きなのはちょっと不便な場所にあっても、落ち着いた雰囲気でコレクションが好みの美術館。
岐阜県美術館は企画展よりもコレクションの印象が強い美術館で、ルドンや川合玉堂、山本芳翠が印象的です。
だから、今回の所蔵名品を改めてじっくり見てみるという企画はとても良いですね!(前回の「曝涼展」を観てないし)
無理に有名どころの企画展を持ってくるよりも、コレクションをゆっくり楽しんだ方が美術館への愛情や思索が深まる気がします。
今まで何度も訪れてきましたが、観たことのない作品もたくさん出品されていました。
特に気に入ったのはコチラ↓
▲神戸智行〈いつもの時間〉
木曽川を描いているらしいのですが、水の澄んだ様子だとか棲んでる生き物だとかが愛らしくて美しいです。
8月に開催される水うちわ作りのワークショップ、担当はこの神戸智行さんらしく、申込みが終わっていることに地団駄踏むことになりました。あと2日早く気付いてたら申し込んだのに...(抽選とはわかってるけど)
この絵の隣にあった東正之〈青釉壺〉は、セルリアンブルーに近い青色というか水色の発色がとても美しく、ぼうっと光っているかのようです。
吸い込まれるような、でも透明な空気を吐き出しているようなその色が、水を描いた隣の絵と呼応しているように見えて、とても美しい空間を作り出していました。
出口間際の展示だったので、とても清々しい気持ちで展示室を後にすることになりました。
対照的に、入り口近くにあり、ものすごく目を引いた川崎小虎〈うどんげの花を植える女〉。ここに描かれてる女性、カゲロウの羽を持ってます。
うどんげの花=ウスバカゲロウの卵、らしいのですが、植物の優曇華(うどんげ)の花は3千年に一度咲くと言われていて、吉凶のどちらともつかない珍しい現象を意味するようです。
それを加味せずとも絵の持っている不思議な雰囲気は抜群です。
この川崎小虎という方、東山魁夷の義父なんだとか。調べると大和絵を学んだ方ということで「地味で堅実」とか「甘美な情緒の漂うロマンチックな画情の持味」という言葉が出てくるのだけれど、他の作品と比べて明らかに異質な気がします。でも、私はこの絵が好き。
それから、ゆっくりと観れる状態だったので、いつもは流してしまいがちな焼物と織物もじっくり観ました。
荒川豊蔵が数点出ていたのもさすが岐阜、という感じでしたが、それより今回気になったのは小山冨士夫〈種子島茶碗 銘柴垣〉でしょうか。
赤い肌もですが、高台の形がちょっとゴブレットを思わせるような形をしていて個性的なのです。
「種子島茶碗」というのが形状を指すのか産地を指すのかが分からなかったので監視員さんに尋ねてみたら、調べてくださいました。どうやら小山氏は種子島で作陶をしていた時期があり、その後も種子島から土を取り寄せて使っていたそうです。
私も検索かけてみたら、小山氏というのは陶芸をお好きな方なら名前を知らない人はいないという有名人らしいです。。。人柄も、人を愛する懐の深い方だったようで、私にとって気になる人物となりました。
織物も普段は何気なく見てしまいがちだったのですが、糸を染めてからこの文様に織っているのかと考えながら見ると、なんというセンスと計画性、そして卓越した技術だろうと感心せずにいられません。特に宗廣力三〈藍地縞に丸文様絣着物〉が、その流れるような連続性に魅せられました。あれ、着たら格好いいだろうなぁ~
この日はこの後、岐阜県図書館にも寄って、ロダンのモデルになった唯一の日本人女性「花子」の企画展も見てきました。
幼いころに家から離れることになったり恋に敗れたりする苦労の多い人生でありながら、外国に己の道を見出したり、帰国後は文化人と交流をしながらも晩年は表に出ず余生を送るなど、花子さんの意志の強さがうかがえるヒストリーが印象的でした。
小説や映画もあるらしいので、読んでみたら面白そうです。