語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【文章】長く文章を書き続ける最大のコツ

2014年08月13日 | 心理
 人に読ませる文章をこれまでまったく書いたことのない人がしばしばおちいる誤りは、文章をどこで区切ったらいいのかわからないので、とにかく《いつまでもダラダラしまりがない文章を書いてしまうという失敗》である。
 その解決は意外と簡単で、とにかくいま書いている文章の途中でもいいから「。」を付けて、強引にその文章を終わりにしてしまうことである。次に、過去の文章は忘れて、前の文章が中途半端のままでもかまわないから、次の行の頭を一段下げて、なんでもいいから別の文章をはじめてしまうことである。頭を一字下げた形で新しい文章をはじめることを「段落を付ける」という。
 文章というのは不思議なもので、《段落さえ付いていれば、読む人の頭が自動的に切り替わって突然まったく新しい文章がそこからはじまってもそのことをなんの不思議もなく受け入れてくれる。》これは日本語の世界の大昔からの約束事だから、誰も変と思わず、段落さえあれば、段落でどんなに続きが悪い文章になっても、みんなつきあってくれる。
 文章を書きなれた人と、書きなれていない人の最大のちがいは、この段落の使い方にあるのではないだろうか。書きなれた人は、なんでもなく段落を使いこなして、長い文章をスラスラと書いていく。途中でつまったらまた新しい段落を立てて、新しい文章を書き起こすだけで、なんの苦もなく文章を書き続けることができる。文章が続かないことで悩む人は、例外なく文章を書きなれていない人手或る。《文章なんてものは、しょっちゅう続かなくなるのが当たり前で、続かなくなったら新しい段落を立てて新しいことを書きはじめればいいんだ》と、頭の切り替えができる人がいい文章を書ける人である。
 文章を書きなれた人は、こんなことをわざわざ教えなくても、そのとおりのことがスラスラできるが、書きなれていない人は、それができなくていつまでも四苦八苦する。

 【注】《》内は原文では太字。

□立花隆『自分史の書き方』(講談社、2013.12)の第1章「自分史とは何か」から引用
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