事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「横手の焼きそば」

2008-09-23 | 事務職員部報

B18b5676 いきなりだけれど、ダイエットに必要なのは、克己心や我慢強さよりも、心の安寧ではないかと思う。組合の役員を終え、とりあえずホッとしていた頃、わたしは教育新聞に載っている「メガネをかけた、やけに不健康な太り方をしている顔の大きな男」の写真を見て激しく動揺した。

「これはオレじゃない。何かのまちがいだ」

一大決心をして(禁酒とか渋いお茶とかで)ダイエットにとりくみ、結果は17㌔の減量。この一大事業(笑)をささえたのは、当時の公私ともに平穏な日常だったと思う。ところがどっこい、近ごろは爛れた私生活に加え、こんなささやきがわたしの体重を増加させている。

「秋田に来たら、やっぱり横手のやきそばは食べなくちゃ」

東北ブロック事務研の帰りに元部長の甘言にのせられたわたしは、町おこしの一環で強引に名物に仕立て上げられた(だろ?)甘口ソース+ホルモン+目玉焼きがのった焼きそばを食べに、わざわざ寄り道をして横手に向かう。

「大盛りの方がいいよ」

素直なわたしはこんな甘い言葉もすぐに真にうける。
まあ、そこそこおいしいんだけど問題はそのあと。ウチでヘルスメーターにのったわたしはこう結論づけた。

「組合は太る」

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「フラガール」

2008-09-23 | 事務職員部報

製作:李鳳宇 監督:李相日 主演:松雪泰子 蒼井優
 製作の李鳳宇が「パッチギ!」に続いてかっ飛ばした熱い映画。07年度アカデミー賞外国語映画賞候補日本代表。

「今日おれの父ちゃんハワイさ行ったんぜー」
「常磐ハワイだろー?」
「えへへー、当だりぃ」

田舎の農家の子にとっては定番の会話。その常磐ハワイが開業するにあたっての炭鉱の物語。時代に取り残されようとしている不況の町が、生き残りのために起死回生の手段として観光事業に打って出る。

町を守るために炭鉱にしがみつき、しかし結果として町を出て行かなければならない炭鉱夫たち。逆に、町を出て行きたくてフラダンスに賭ける炭鉱夫の娘たちが町を守る皮肉。とにかく泣かせる。館内総泣きである。いくらなんでもこれは泣かせ過ぎだろぉ?と思うくらいだったが、最後の字幕でこの物語に落とし前をつけてくれている。おみごと。労働組合がすんげー悪役になってるけど許す(笑)。

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「刑事マディガン」Madigan(’67 ユニバーサル)

2008-09-23 | 洋画

Madigan 60年代後期の映画はやはり古びた。リチャード・ウィドマークの(常にタバコをくわえている)渋い演技は泣かせるが、ドン・シーゲル監督といえども古くさい感じはぬぐえない。男は帽子をかぶり、女がパーティに手袋をしていた時代。悪役のイメージの強いウィドマークは、しかし好々爺として93年の天寿を全うした。

実に紳士的な人物でもあったようだ☆☆★★★

コメント (3)
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成風堂書店事件メモ ~ 大崎梢

2008-09-23 | ミステリ

31713202配達あかずきん」 東京創元社
うわさの書店ミステリ。書店員のみなさんは売る気まんまんです。いわゆる小さい謎の連続。“国文の女子学生”の典型であるかのような善意と思いこみが少し息苦しい。まあ、処女作だから仕方がないのかも。シリーズがもっと洗練され、悪意をクールに描けるようになることを望む。

あ、そうするとこのシリーズの存在価値なくなるのかな☆☆☆

サイン会はいかが」 東京創元社
書店ミステリシリーズ。不満もあるけれど(やっぱりちょっと善意が息苦しい)、本屋という商売のディテールは魅力。これで成立するんだからミステリとは器が大きいんだなあとあらためて思う。

それにしても書店には困った客が来るんだねえ☆☆☆

晩夏に捧ぐ 成風堂書店事件メモ(出張篇)」 東京創元社

この人にはまだ長篇は無理なんだと思う。これほど不快な名探偵もめずらしい。単に思わせぶりなだけでなく、そのためにまわりに迷惑かけ放題(に見えるあたりがつらい)。動機も唐突すぎるし。

根が善なるだけに罪は深い★★

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日本の警察 その19 「修羅の終わり」

2008-09-23 | 日本の警察

A5ba6c1f その18「警官の血」はこちら

「修羅の終わり」貫井徳郎著 講談社文庫 1150円

「あなたは前世で私の恋人だったの」。謎の少女・小織の一言を手がかりに、失った記憶を探し始める。自分は一体何者だ?姉はなぜ死んだ?レイプを繰り返す警官・鷲尾、秘密結社“夜叉の爪”を追う公安刑事・久我、記憶喪失の〈僕〉が、錯綜しながら驚愕のクライマックスへと登りつめる、若き俊英の傑作本格ミステリー。《Amazon.co.jp》

正義感の強い(ということは公安としては少し欠格している)久我のパートが①、自分の身体のなかに暴力衝動を常にかかえる悪徳刑事鷲尾のパートが②、記憶喪失となって自らの過去を探し求める青年のパートが③。この三つが同時進行し(でも時代がずれていることは丁寧に描写されている)、最後にどうからむか、が勝負。

ところが、貫井の某作品と違ってラストに明解な説明がないものだから読者は困惑することになる……ここで評価は分かれるだろう。叙述トリックというのは最初から読者に不親切な存在なのだから、結論はくどいぐらいに平明でなければならないという考え方もある。だから法月倫太郎の「葉桜の季節に君を想うということ」みたいにすべてに注釈をつけるというのもひとつのやり方。でも貫井は先に明解なその手(一発オチ)は使っているのでこのように読者を放り投げる結果になったのだろう。

ここから完全にネタバレでいくけど①と③はつながっている。
しかし②は時代が違うので一見関係ないように見える。ただのミスリードのために用意されたのかとすら。

でもここが貫井の技だと思う。ほぼ二十年の時間が経過した②において、①③に登場した人物は出てこないのか?日本共産党及び民青を暴力集団だと規定することにみずからの存在意義を見いだす公安が、二十年後にどのような存在となっているかもテーマのひとつではなかったか?また、青年がある理由のためにセックスができないのは、あるタブーにふれるためだろうと想像したが、実は逆だったことに慄然。そのタブーのなかでしか生きられない身体と心になっていたのか。

検証するには再読がぜひとも必要なんだけど、文庫本にしてほぼ800ページの超大作。初代ウォークマンぐらいの厚さがあるので(この比喩は若い人には通じないなあ)最初から読み返すのはちとつらい。でも、どのパートもトリック抜きに抜群に読ませるので、寝不足覚悟でチャレンジする価値あり。すべてのパートの主人公が修羅の道に入り、そしてそれぞれの形で終わる。傑作というべし。

その20「犯人に告ぐ」につづく。

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