事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

順風・逆風

2008-09-02 | 事務職員部報

Bg6ov059 2005年11月25日付事務職員部報。
タイトルは「順風・逆風」です。

 11月に入って義務教育費問題はますます緊迫しています。すでにお伝えしたように1日にはホテルニューオータニで教育関係22団体主催の集会があり、これも先日載せましたが前日に就任したばかりの小坂文科大臣は

「中教審答申を真摯(しんし)に受け止め、国民の声、地方の皆さんの声に耳を傾け、国の責任を果たすべく全力で取り組みたい」

と発言しています。しかし9日、その舌の根も乾かぬうちにこの大臣は……

8500億円という(削減の)数字が先に出ており、三位一体改革の全体の数字は、(各省)それぞれの役割分担の中で消化していくことが必要だと思う」

と都道府県の教育長会議で発言。そして会議後に記者団に向けては

「政策的に理屈のつかない削減はできない。(国が2分の1を負担する現行制度の維持を明記した)中教審の答申を真摯(しんし)に受け止めながら、何か落としどころを作らないといけない」

と説明。いやはや忙しいことだ。いったい、彼の本音はどこにあるのでしょう。

 これらの優柔不断ととられかねない発言が、なぜ行われるのかをまず考える必要があります。政治家は、“ぶら下がり”と呼ばれる番記者たちの取材に、チョロッとそれまでの建前論以上のネタをばらします。そして報じた記事がどのような反響を呼ぶかで政策の方向性を調整するわけです。官僚が同様の発言をかますのも似たような事情でしょう。これが“リーク”です。
 先ほどの文科大臣よりももっと露骨なのが、中川自民党政調会長が毎日新聞などにもらした発言。

「義務教育費国庫負担金の扱いについては、国と地方の役割をどうするか、半年ぐらいかけて議論し、その上で結論を出すべき」

 ん?この政調会長は堅持派なのか。どっこいこの人は別の場では地方側が主張する07~09年度の第2期改革を容認する発言をしていて、結局はそのための半年先送りなのかともとれます。しかしおそらくはアドバルーン的要素以上に、自分の派閥の領袖であり、堅持のためには子分である小泉首相とも対決する、と吠えている森喜朗前首相に配慮したものなのではないかと……

 義務教育費国庫負担制度堅持に向けた最強の方法がここから透けて見えます。為政者に“この制度の廃止など誰ものぞんでいない”ことを思い知らせてやればいいのです。その意味で、今までにとりくまれた一千万署名(現在までにほぼ700万筆に達した)やハガキ行動は、マスコミの報道姿勢を微妙に変化させたことも含めて、きわめて効果的だったと考えられます。11月9日にはその署名をたずさえて日本PTA全国協議会の赤田会長が首相官邸を訪れていますが、そのときの官房副長官の反応がわかりやすい。

「三週間でこれだけの署名が集まったことは、それだけ国民の関心が高いということだと思います」
「三位一体改革も大切だし、義務教育費をしっかり確保することも重要だと認識しています。小泉首相に、要請の趣旨をしっかりと伝えます」

 
世間の追い風を一身に受け、ゴーマンになっている小泉内閣こそ“逆風”に弱い存在です。これほど世論を気にする首相も珍しいでしょう。もっと風を!

※今から考えると、小泉純一郎という人は、要するに教育問題なんかに興味がなかったのだと理解できる。彼が好きなのは“郵政民営化”という、思えばさして重要でもない問題で“旋風”を巻きおこすことだけだったはず。あ、あとはプレスリーのマネ。

森喜朗元首相

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福田政局

2008-09-02 | 国際・政治

Tky200809010393  おかしいな。なんでこんなに叩かれてるんだ。私の何が気に入らないというのだ。一年もたたないうちに辞任するのが無責任?在任中に何にもしなかったって?おいおい何を言ってる。私がこの一年どれだけ苦労をしてきたか知っているのかね?去年のことを思い出してみたまえ。あの始末に負えないバカが失政に失政を重ねて選挙で大敗。それどころか負けすぎで開票後に辞任表明すらできなかったじゃないか。そんなヤツが結局総理の座をほっぽり出したものだから私が後始末することになったのを忘れたわけじゃあるまい。

 よく考えてみたまえ。あのバカがまだ総理をやっていたらこの国はどうなっていたと思う。私は客観的にそれがよくわかるんだ。君とは違うんだよ。考えてみれば私は後始末の連続だったんだ。派閥のトップはあのサメ頭野郎だろう?調子よく身内にはリップサービスするものの、それしか芸がないんだから。本来ならあんな能なしが派閥の領袖なんかやってていいはずがなかったんだ。今でもあの男の戯言には頭が痛いよ。何がキング・メーカーだ。わたしの父親を知ってるだろ?戦後の首相のなかでは断トツに頭が切れた男だよ。同じ時代に真紀子のブルドーザー親父がいたものだから割をくっただけで。その直系である私をさしおいて森なんてのが上にいることを、私が喜んでいたとでも思うのかね。

 おまけに何をトチ狂ったか同じ派閥の小泉が首相になってしまった。私は官房長官をやりながら何度気が遠くなったことか。あんなのでも総理大臣を5年もやれたとはなあ。そして見てくれがちょっといいだけの、輪をかけたバカが後を継いだわけだ。その後をねらってアベとは距離をおいただろうって?笑わせるなよ。わたしはあのバカの下で働くなんてまっぴらだったんだ。

 そして麻生だよ。アベシンゾーがひっくり返ったときに、落ちついていればいいものを、中川にはめられて一気に支持を失ってしまった。どうもマンガばかり読んでる人間は落ち着きがなくていけない。ちょっとは人気があるから、と組閣をまかせたら自分が強引につっこんだオータは失言ばっかりだし事務所費は……言うまい言うまい。私が言いたいのはただひとつだ。公明党(なんでそんなに都議選に血道をあげるんだ!)もサメ頭もみんな麻生に替えたがっているんだろ?だったらやってみろっていうんだ。あのバカどものお手並み拝見だよ。

 え?麻生がダメなら小池百合子がいるじゃないかって?わははははは。君は本気であの女に“政治”ができるとでも思っているのかね?一年間私の足をひっぱったあいつらが、これからどんな動きをするのか、自宅でゆっくり見物させてもらうよ。私は、“他人ごとで観察する”のが何より得意だからね。君とは違うんだよ、くどいけど。

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「県庁の星」桂望実著 小学館刊

2008-09-02 | 事務職員部報

腰巻きにはこう書いてある。

「間違いは認めるな!?予算は使い切れ!?役人根性全開の県庁のエリートが、田舎のスーパーにやって来た。手に汗握る、役人エンターテインメント。」

まるで事務職員部報で突っこんでくれと言わんばかり。しかしこのコピーから予想される“公務員必読”といった自虐的タイプの小説ではなかった。むしろ「県庁さん」と呼ばれる主人公を指導する、四十代のパートのおばさんの滋味あふれる説教の方が印象深い。ふたりで力を合わせて消防の査察を乗り切るあたりはちょっと感動。

年明けに織田裕二で映画化されるそうだからベストセラー確実。さて、おばさん役は誰が……え?柴咲コウ?それって意表ついたなあ。   

事務職員部報05年11月17日号「勧告②」より。
映画版の特集はこちら

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