事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「約三十の嘘」(’04 アスミックエース)

2008-09-12 | 邦画

10e1ecf9b77258d0b6fd89f5463a6074 監督:大谷健太郎 主演:椎名桔平 中谷美紀 妻夫木聡

 脚本の渡辺あや(「ジョゼと虎と魚たち」)を目当てに借りる。これだけのメンツをそろえながら、なぜビデオ屋の棚から今まで引っぱらなかったかがよくわかった。すべりまくり。詐欺師の話なら詐欺師の話らしく落とせばいいものを、変な青春映画にしてしまっている。「キサラギ!」や「アフタースクール」のような、客をうまくだまそうという心意気が感じられないのだ。

わたしの勘もまんざらじゃない☆★★★

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わたし、怒ってます~教育費

2008-09-12 | ニュース

OECD28か国の2005年の全教育段階の公財政支出におけるGDP比

「殉職」篇はこちら

経済協力開発機構(OECD)は9月9日、加盟各国の教育に関する各種調査データを発表した。それによると日本の2005年における国内総生産(GDP)に占める教育への公財政支出割合は前年比0.1ポイント減少し3.4%となり、GDPが算出されているOECD加盟国28か国内で最低の値を示していたことが明らかになった。
調査対象はOECD加盟国の国と自治体による支出の総額が対象。一部の国では統計を取っていない国などがあったため、完全にデータが算出できた28か国を対象にした。
冒頭でも触れたように、日本は3.4%で28か国中最下位の値を示している。ちなみに2003年も日本は最下位。2004年は下から二番目だった。(garbagenews.com.)

このニュースひとつをとりあげて「ったくこれだから日本はダメなんだ」と言い切るのは簡単すぎる。GDPとの比較なのだから、これって日本がなんだかんだ言って05年当時経済が順調だったことが背景にあるだろう。くわえて“人類の実験室”とまで言われる(わたししか言ってませんか)少子化ニッポンなのだから……。

え?でもよくOECDの報告を読むと、政府の総支出における教育費の割合でも下から2番目。おまけに各家庭の教育費負担も韓国に次いででかい。やっぱり日本って教育にカネ使ってないんじゃんかっ!

文科省は教育振興計画に数値目標を盛り込むことをギブアップし、この調査の結果を“参考にする”程度の作戦しかもっていない。去年よほど財務省に痛めつけられた(負け馬→安倍晋三に賭けた報い)ことで厭戦気分にある。嘆いてばかりいても仕方がない。むしろことさらにこのニュースに“驚いてみせる”必要があるだろう。

それからもうひとつ。日本の教育費が伸びないのは、年金などの高齢者の政策は票になるが、こども関係は票にならないという背景があるんだと思う。年寄りにケンカをうっているみたいだけどね。こいつは少子化の進行とも無関係ではないはず。もっともっと子育て世代が選挙に行かないと!

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「博士の愛した数式」小川洋子原作 小泉堯史監督

2008-09-12 | 事務職員部報

寺尾聰、深津絵里主演

 彼のことを、私と息子は博士と呼んだ。そして博士は息子を、ルートと呼んだ。息子の頭のてっぺんが、ルート記号のように平らだったからだ。
「おお、なかなかこれは、賢い心が詰まっていそうだ」「これを使えば、無限の数字にも、目に見えない数字にも、ちゃんとした身分を与えることができる」彼は埃の積もった仕事机の隅に、人差し指でその形を書いた。

                        √

……80分しか記憶を持つことができず、背広のいたるところにメモを貼り付ける博士。《僕の記憶は80分しかもたない》朝目覚めると、彼は絶望的な一文を書きつけたメモを読むことで一日を、いや、80分の生活を始める。映画「メメント」の主人公のようにわずか10分の記憶しか持てず、身体にタトゥーを入れるほどのハードさではないけれど、彼の日常の絶望感は十分に伝わる。しかしスパンが短いとは言え、有限の記憶しか持つことができない博士とは、つまりわたしたち人間の暗喩であり、無限の真理である数学との対比はせつない。

 原作と映画のいちばんの差は、原作では短い新聞記事で博士の前半生を一瞬にして読者に悟らせる技巧がみごとだったのに、映画ではその過去である義姉と義弟の関係が中心になっていることだ。姉を演じた浅丘ルリ子の大女優ぶりに圧倒させられるが、逆に“つらい日常を感じさせない家政婦”役の深津絵里の純粋さが過剰になってしまった。まあ、すぐに忘れられるぐらいの欠点なんですが。

06年2月9日付事務職員部報「統廃合」より。

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