事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「映画監督 深作欣二」ワイズ出版

2008-01-27 | 本と雑誌

Fukasaku 撮られなかった映画のことを考えてみる。この本は、映画評論家の山根貞男が深作欣二を長時間拘束して自作を語らせたもので、深作の水戸弁が炸裂している。不遇の時代から「仁義なき戦い」を経て、大作路線を走りきった彼の作品歴は確かに興味深いが、しかしその裏面に、数多くの幻の企画があって、これがどう考えても実現した企画よりも面白そうなのだ。

 まずは「仁義なき戦い/完結篇」に、ショーケン松田優作を出演させる案がつぶれている。「考えてみたら惜しいことをした。彼らが出ていたら歴史に残ったろうに」と深作自身が後悔しているが、つぶれた背景には東映京都撮影所の保守性があったろう。その後深作は「傷だらけの天使」(日テレ)で萩原健一と水谷豊を使い、その才能にたまげている。

Fukasaku_2  京都撮影所の保守性は、片岡知恵蔵などを頂点にした強烈な村社会を形作った歴史に代表されているが、今回初めて知ったのだけど、黒澤明が「トラ・トラ・トラ!」を降板(解任され、代理として舛田利雄と深作が日本サイドを演出)したのはこの保守性によるものがあったらしい。夜、突然セットの窓ガラスを木刀で叩き割る黒澤の無念は鬼気迫る。

深作にしても「敦煌」の映画化を最初にオファーされ、主演は真田広之千葉真一で決定していたらしい。佐藤浩市と西田敏行バージョンより面白そうじゃん!

他にも、山田風太郎の明治ものや「実録・共産党」、この書ではふれられていないが「浪人街」など、実現していたら傑作になること間違いなしの企画が次々につぶれている。70~80年代の日本映画の衰退期が彼の全盛期だったことの不幸だろうが、しかしフィルモグラフィーを見れば、これだけの本数を撮ることができただけでも深作は幸せな作家だったといえるかもしれない。あ、それから松坂慶子荻野目慶子との関係については、うっすらとしか語っておりません。ちょっと残念(笑)。

ちなみに、My深作ベスト3は
「仁義なき戦い/広島死闘篇」
「資金源強奪」
「バトル・ロワイヤル」ざんす。

コメント (34)
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悪の枢軸

2008-01-27 | 情宣「さかた」裏版

Iraqattack01 前号繰越。イラク攻撃直前クミアイ情宣シリーズ最終回です。もちろん、アメリカ批判は(不幸なことに)これから何度もやることになるのですが……

浅井氏の講演はつづきます。 
核兵器開発が疑われたあのとき、実はアメリカは北朝鮮の核関連施設に奇襲攻撃をかけようとしていたことが報道されています。当然、その足がかりは日本になるはずでした。そして北朝鮮の報復の対象もまた日本に。しかしそのとき日本には【有事法制が無かったので仕方なく】カーター=金日成会談によって収束に向かった経緯があります。また整理してみましょう。

有事法制推進派の認識とその問題点
他国から攻められたときに備えがなかったらどうなるか → 他国から攻められて有事がはじまるのではない

備えあれば憂いなし → 備えがあると有事をもたらす

自分さえ平和であればいいという一国平和主義ではいけない → 日本が有事体制を作らないことこそが国際平和に貢献する

……つまりこの核疑惑の際に、日本における有事法制の不備が軍事行動の足かせになっていることを痛感したアメリカは、その整備を日本に要求し、再軍備をめざす日本の勢力がそれにのった、という構図が見えてきます。ヒートアップするイラク情勢にくらべ、北朝鮮問題は一時の興奮状態を脱した感がありますが(マスコミはあいかわらず騒ぎまくっているとはいえ)、逆に有事法制推進派はこの興奮が残っているうちに法案成立をもくろんでいると言えます。

Iraqattack02  浅井氏は主張します。ブッシュ=小泉に共通する部分として、経済に有効な手段を打ち出すことができず、支持率が下降気味である彼らがやっきになって戦争に突き進む意味をよく考えることと、主権者として、国際社会や子どもたちのためにどんな国にしていくべきなのかを判断し、有事法制にきちんと反対の声をあげるべきだと。

 最後に参加者から興味深い質問がありました。
「いったいどうして日本はこんなアメリカにいつも追随するのでしょう」と。
 官僚出身の浅井氏は明快に答えてくれました。
「どこの会場でもこの質問は受けます(笑)。ものすごく単純化して言えば、戦前の天皇崇拝が、アメリカ崇拝に置きかわっただけ、と言えますね。官僚の世界で言えば、外務省に限らず、霞ヶ関ではとりあえずアメリカの言うことをきいておこうという空気が醸成されていて、新人の頃は日本の独自性を、との気概を持っていたとしても、次第にその空気になじんでいってしまうんですよ。その方が確実に出世も早いしね。
 ただし、アメリカ崇拝に置きかわったといっても、また日本の崇拝の対象がコロッと変わる可能性もあるわけだから、深いところではアメリカは日本をパートナーとして信用しているわけじゃないんです。これはおぼえておいてください。」

60年ほど前、まさしく悪の枢軸国だった日本に、アメリカがそう簡単に心を許すものか、ということだろうか。産業構造において、戦争の存在が前提となっている連合国が。

※「学者として、きちんと検証できることしか言いたくはないけれど……」との前提で浅井氏は、イラクへの攻撃が、莫大な石油の貯蔵量の確保とその安定した供給、つまりアメリカが石油取引のイニシアチブを握るために行われるのではないか、との意見に「……否定はできませんね。」と発言した。

※学校に勤務するものとして、有事法制と少子化の方向が交差する地点が「徴兵制」であることは認識しておかなければ。

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暴走

2008-01-27 | 情宣「さかた」裏版

Asaimotofumi01  クミアイ情宣アメリカ糾弾シリーズ第三弾。発行は2003年2月3日でした。前号はこちら

学者としての冷厳さ、そして伏魔殿(笑)外務省出身らしい現実主義をベースにした浅井基文氏の講演は、それゆえに示唆に富むものでした。
イラク攻撃に関するアメリカの認識と、浅井氏の提示するその問題点を整理してみます。

アメリカの認識
報復と脅威に依存する「抑止」の考え方は、リスクをおかすことに積極的で、自国のひとびと及び彼らの富を賭けるならず者国家(→浅井氏は“ごろつき国家”と呼ぶ)の指導者には有効ではない。→自国民を犠牲にしてもケンカをうってくるはずだ、という認識。

その問題点
現実と遊離している。この考え方が妥当となるのは、アメリカが彼らを攻撃することが避けられなくなったときのみだ。独裁によってためこんだ富と権力を手放すようなリスクを独裁者はおかさない。なけなしの武器をテロリストに渡しても、次の瞬間にはアメリカの報復によって自らの権力基盤が灰燼に帰すことが目に見えている。自国民を犠牲にする賭けに出た独裁者は、近代史上東條英機しか存在しない。

Asaiphoto01 アメリカの認識
急迫した攻撃を行う危険のある相手から自分を守るためには、攻撃にさらされる必要はない。たとえ敵の攻撃の時間、場所についての不確実性が残っていても、われわれ自身を守るための予想行動をとるケースが緊要となる。

その問題点
「武力攻撃が発生した場合には」という国連憲章にあきらかに違反しているし、非現実的な仮定のうえに、急迫性の議論をみずからこわしている。

……これらのアメリカの考え方が認められるとすれば、残るのは【アメリカの一人勝ち】の構図だけだというのです。浅井氏の著作によれば、犯罪を戦争とみなし(診断の誤り)、報復戦争で問題を解決することしか考えない(処方箋の致命的な誤り)ブッシュ政権は、今度は先制攻撃を正当化しようとしているという意味で、頭に血が上って理性を失ったドライバー(ブッシュ)が、交通規則(国際法)を無視し、超大型トラック(アメリカ)を運転して好き勝手に道路を暴走しているとたとえられています。

このドライバーはこんなことも言っています。「テロリストをかくまうものはテロリストだ。テロリストを養うものはテロリストだ。世界をテロの恐怖にさらす大量破壊兵器を開発するものは、その責任をとらなければならない。」この元テキサス州知事には、自分のトラックにどれだけの大量破壊兵器が積まれているかの認識がないのでしょう。ならず者とは誰のことなんだ。

そして日本政府がアメリカのこの姿勢を支持し、イージス艦まで派遣し、有事法制の成立をはかるウラには1994年の北朝鮮の核疑惑があると浅井氏は読み解いています。
次号繰越。 

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有事ふたたび。

2008-01-27 | 情宣「さかた」裏版

Bushstatement クミアイ情宣アメリカ糾弾シリーズ第二弾。
発行日はやはり2003年1月21日。(前号はこちら有事関連はこちら。)

 有事。これもまた日本的な言い換えの一種かもしれません。単なる売春のことを“出会い系”だの“援交”などということばで希釈するのに似て。有事とはすなわち戦争のことじゃないですか。
 今国会で山崎自民党幹事長は、有事法制(つまり戦争準備法案です)をなにがなんでも成立させると発言しています。
 その背景に北朝鮮情勢とイラクの問題が(というよりアメリカの問題なのですが)あることは容易に見てとれます。

 先日、あるテレビ局(サザエさんをやっているところ)の夜のニュースを見ていたら、北朝鮮から帰ってきた万景峰号の帰港に新潟の県議たちが抗議しているニュースに引き続いて、旧正田邸の解体に、大御心に反して(笑)住民が反対して君が代を斉唱しているニュースが流れました。この局の反動ぶりはつとに有名なのですが、そのことを意識しないでいる視聴者にとっては、“有事近し”との印象を与えるに充分な内容でした。

※この新潟県議たちのダーティな噂がオモテに出てこないのはどういうことでしょう。

Manbyongon  どう考えてもおかしくないでしょうか。平和を求めて日朝首脳会談が実現したにもかかわらず、いつのまにか日朝間には思い切り緊張が高まっており、メディアに拉致問題がとりあげられない日はありません。日本のメディアは、太平洋戦争当時から情緒的な報道に終始し、熱が冷めればアッという間に忘れ去っていくのが常だから仕方がないとして(もうあきらめています)、西欧を基準に【極東】の出来事にすぎなかった北朝鮮問題が、【中東】のイラクと同等の問題として世界に発信されるようになっています。

 これらの問題を一刀両断にしてくれたのが昨年(2002年)の12月18日、酒田勤労者福祉センターで行われた「有事法制を考える」酒田地区平和講演会でした。講師の浅井基文氏は1941年生まれ。東大を中退し(外交官試験に合格したからもう大学にいる意味がなかったのだそうだ)、外務省に入省。在オーストラリア、モスクワ、北京の各大使館に勤務。元駐英公使。退職後、東大、日大を歴任。現明治学院大学教授。
招かれた斎藤淳氏がイェール大の先輩であるブッシュに、浅井氏が東大と外務省の後輩である加藤紘一に苦言を呈するというこわ~い講演会。詳細は次号から

※ひんしゅくをかうことを承知で断定。
ナベ○ネの言いなり
→1
橋○派の言いなり
→3
一度死んでいる
→22
チョー反動
→24
ひたすら独善
→39
……数字が何をあらわしているかは察してください。あ、山形の庄内地方に住んでいる人以外には意味不明ですね。これ、テレビのチャンネルです。さあ、どこがどこでしょう。

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