事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「父親たちの星条旗」Flags of Our Fathers

2008-09-27 | 事務職員部報

0608155b 監督クリント・イーストウッド 脚本ポール・ハギス

ロバート・アルトマンが死んでしまったので、もう米映画界で巨匠と言えるのはイーストウッドとウディ・アレンぐらいになってしまった。でもこのふたりも、実は製作費を集めるのに汲々としているのが現状なのだ。評価がヨーロッパや日本の方がずっと高いのも共通している。

「戦場を知らない者ほど、戦争を語りたがる」
「戦争に完全な善はなく、完全な悪もない」

この大傑作が誰に向けられて作られたかを考えたら、アメリカ国民(特にワシントンDCあたりの住民)こそ観なければいけない映画なのに。“旗”も“父親”も複数形になっている原題にこめられた意味がラストで判明。泣いた。

06年12月14日付事務職員部報「改革派①」より。次号は硫黄島からの手紙

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希望の国

2008-09-27 | 事務職員部報

31838125 ちょっと季節はずれだけど事務職員部報07年1月16日号を。
題して「希望の国」。

あけましておめでとうございます。2007年も事務職員部をよろしくお願いします。年頭に当たって、まずは所信を。

誠実、勤勉、克己心といった個人的な美徳に加え、正義、寛容、慈善、同胞愛など公徳心がなければ、どのような社会も成立しません。こうした美徳や公徳心は、国民の一人ひとりが、大切にすることや、してはならないことなど、基本的な価値観を共有する共同体の一員であるという自覚を持つことにより育まれます。学校や家庭での教育を通じ、歴史的に形成されてきた国民、国土、伝統、文化からなる共同体としての日本を愛する心と、その一員としての誇りと責任感を培っていくことが求められます。美しい薔薇が健やかな枝に咲くように、美徳や公徳心は愛国心という肥沃な大地から萌え出ます。

 ……冗談です。こんなことを県教組事務職員部長が考えているわけがありません。上記の文章は、経団連(日本経済団体連合会)が今年の年頭に「希望の国、日本」と題して発表したビジョンをアレンジしたもの。内容が、教育基本法に強引に挿入された愛国心を賞揚するものであることは偶然ではありません。なぜなら、このビジョンが掲げる「今後5年間に重点的に講じるべき方策」(※)がすごい。

●新しい教育基本法の理念に基づき、日本の伝統や文化、歴史に関する教育を充実し、国を愛する心や国旗・国歌を大切に思う気持ちを育む。教育現場のみならず、官公庁や企業、スポーツイベントなど、社会のさまざまな場面で日常的に国旗を揚げ、国歌を斉唱し、これを尊重する心を確立する。

……教育基本法の改悪が、さっそくこんな形で具体化されようとしているわけです。さて、それ以上に財界の本音がむき出しになっているのが、今や流行語になりつつある「ホワイトカラー・エグゼンプション」です。次号は、そのネタを。

※経団連会長の名をとってこの長期ビジョンは“御手洗ビジョン”と呼ばれる。御手洗富士夫氏はご存じキヤノンの会長。偽装請負がばれたとき「法律の方が悪い」と開き直った御仁だ。
年末にプリンタを新調したけれど、別メーカーのにしといてよかったか(笑)。

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「HERO」映画版 ('07 フジテレビ=東宝)

2008-09-27 | 邦画

テレビ版の特集はこちら

監督:鈴木雅之 脚本:福田靖
出演:木村拓哉 松たか子 大塚寧々 阿部寛 勝村政信 岸部一徳 松本幸四郎 イ・ビョンホン 森田一義 中井貴一 綾瀬はるか

東京地検・城西支部の検事、久利生公平(木村拓哉)は、同僚の芝山(阿部寛)が起訴した事件の裁判を任される。容疑者が既に犯行を認めていたが、初公判でいきなり無実を主張し始めた。担当弁護士は、刑事事件無罪獲得日本一の弁護士、蒲生一臣(松本幸四郎)。豪腕弁護士として名を轟かしている蒲生は、様々な戦術で久利生を追い込んだ。東京地検特捜部の黛検事が、有益な情報をもたらすが、あくまで自分の力で事件を解決しようとする久利生は、事務官の雨宮(松たか子)と奔走する。

手数と頭とカネが使ってある東宝サラリーマン喜劇。こう考えれば、イ・ビョンホンの特別出演と韓国ロケの意味の無さも理解できる。製作費がたっぷりだから海外ロケを!って感じ。人気歌手が出てきて一曲ご披露されるかとヒヤヒヤした。 

福田靖の脚本がとにかく周到。「あるよ」のオヤジ(田中要次)が出てくればあのドラマの世界にみんな一気に入り込めるわけで、素直によくできた映画だと皮肉無しに思える。予想外に興収が伸びなかったと揶揄はされたが、80億かせぐことがどれだけしんどいかわかっててマスコミは言っているのだろうか。まあ、いかにもフジテレビな仕掛けの数々に反発ってことだろうが。ラストシーンについてうわさを盛り上げて稼ごうってのは確かにお上品なやり方じゃないわなあ……。ワトソン役の松たか子が、実はホームズの庇護者でもあることを観客が感じとっていたからあのラストは成立したわけだけどね。

木村拓哉の場合、底抜けに明るそうな演技の向こうに、一種の“暗さ”がただようのが身上。中卒の検事というこのドラマの設定はそんなキムタクにぴったりなのだろう。やんちゃな木村拓哉の特攻ぶりを見守る児玉清と松本幸四郎……教養小説的設定も、娯楽映画の王道を歩んでいる。批判も多いようだ。しかし、こんな映画がないと日本映画界が本当に復活したとはいえないはず。わたしは支持する。

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「リアリズムの宿」(’03 ビターズエンド)

2008-09-27 | 邦画

12999903 原作:つげ義春 監督:山下敦弘 出演:長塚圭史、山本浩司

大好きな山下敦弘監督作品。ほとんど学生映画のノリなのに、濃密なドラマを感じさせる。さすが。

カンヌ女優(「萌の朱雀」)の尾野真千子が裸で海岸線を走るシーンの美しさには驚嘆。彼女を、しばらく追いかけることになるなあ。

主演は長塚京三の息子。常磐貴子の恋人です☆☆☆★★★

※尾野真千子はまもなく特集する「人間の証明」(フジ)にも出てました。ほんのちょい役だったのは残念。

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うまい店ピンポイント検証篇その10~口細ガレイ

2008-09-27 | 食・レシピ

龍上海篇はこちら011_ryouri1

 さて、今回からいよいよわたしの地元の店を紹介していきましょう。すでに「グリーンハウス再建計画」の一環でフレンチレストラン「ル・ポットフー」「欅」、情痴事件(笑)がらみで「ゆず」、椎名誠関係でワンタンメン「川柳」は紹介済み。

 食関係での酒田の強みといえば、そりゃ当然海があることだ。で、山(鳥海山、月山)もあり、川(最上川、日向川)もあると。ル・ポットフーを日本一のフレンチにした佐藤久一が、自分で海岸に出かけて岩牡蠣を採ったり、川マスを吟味していたことを考えてもらうとわかりやすいと思う。

 でも生まれてからずーっと酒田にいると、その「ありがたみ」ってものがどうもわからない。内陸の人からは「庄内は新鮮な魚が食べられていいねえ」とよく言われるが、そのたびにわたしはこう返している。
「でもオレらだってヤマザワ(内陸系のスーパー)で買い物してるんだぜ?」と。それどころかわたしがいつもおつまみに買って帰るのはシベリアのホッケだったりモーリタニアの酢だこだったりするのだ。変わらないじゃん。

 でも、意外なところで酒田の特徴を思い知らされるときがある。“生まれてからいちばん多く食べた魚の種類”の統計なるものがあって、たとえば関東はアジだったりするのだが、わたしはその結果に驚いた。「え?みんなカレイを食べてるんじゃなかったの?」どう考えてもわたしが生涯でいちばん数多く食べた魚は口細(くちぼそ)ガレイなのだ。酒田の人間はまずまちがいなくそうだと思う。だから全国どこでもそんなものだと思いこんでいたわけ。ものを知らないにもほどというものが(^o^)。

 で、その口細ガレイは他県ではなかなかお目にかかれないし(ウチの多国籍軍たちは酒田で初めて食べたと例外なく言う)、年をとってきたらあの美味さはこたえられん。やっぱり、恵まれているのかもしれない。

 そんな酒田でお薦めの魚料理の店といえば、
富重 酒田市本町3-5-16

・板前工房 よしだ 酒田市中町2-4-21 

志幡 中町店 酒田市中町2-1-16 山居町店 酒田市山居町1-2-5

だろうか。3000円も出せば食いきれないほどのお料理が供され、しかも常にうまい。志幡の山居町店は、名のとおり山居倉庫の真裏にあり、高名な欅並木が借景になってます。

次回はその富重篇です。画像は「志幡」山居町店のお料理。先日も法事で行ったんだけど食べきれないってば(笑)。北海道からの客も「まだ出てくるのお料理!」と驚きながら喜んでいた。

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