事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

標準世帯の行方 第一話

2008-01-09 | 情宣「さかた」裏版

Isonoke クミアイ情宣シリーズはつづく。
今回は扶養をめぐるあれこれ。
発行日は2002年10月29日でした。数字は当時のもの。

「家族手当をやめてほしい!」
 大手電機メーカー労組の支部委員長(35)は今春、職場集会で組合員から何度も突き上げを受けた。
同じ仕事をしているのに、妻子がいるというだけでなぜ余計にもらえるんですか」あちこちの集会で女性や独身男性が発言した。
 配偶者手当は月約2万円、子供にも一人約4千円が支給される。「全体の意見を統一しなければ……」と、委員長はその場を収めた。
 家族手当は、戦後の貧しい時期、労組が「家族を養える生活給を」と求めたのが発端。いまも約8割の企業が支給している。だが、ここへきてキャノンや日揮など、家族手当を廃止する企業が相次いでいる。成果主義の徹底など企業側の都合が目立つが、女性の社会進出が進む中、社員の側からも「働きに応じた賃金を」という声があがっている。連合も、来年度春闘方針に初めて「配偶者手当の見直し」を盛り込んだ。

 夫が会社に人生をささげる代償として、生活費から社宅、保養所まで、会社が家族の面倒をみてくれる-。こんな企業丸抱え社会は崩れようとしている。
 失業ニッポンはどこへ……朝日新聞2001年12月5日朝刊総合面

 ついにこの話がおもてに出てきた。
 現在の山形県職員の扶養手当(家族手当にあたる)は、所得年額が130万円程度未満の親族に以下の金額が支払われている。
①配偶者                                          16,000円
②配偶者以外の扶養親族のうち2人まで1人について     6,000円
③扶養親族でない配偶者を有する場合の1人目の子等   6,500円
④職員に配偶者がいない場合そのうち1人について     11,000円
⑤その他1人について                                3,000円
⑥15歳に達する日以後の最初の4月1日から22歳に達する日以後の最初の3月31日までの間(「特定期間」すげーお役所言葉)5,000円加算

 わかりやすくするために、日本でいちばん有名な家族を例にとってみよう。磯野家である。磯野波平とフグ田マスオが山形県職員だったら、と仮定してみる。

 この二世帯同居家族において、扶養手当受給者は波平とマスオの二人。受給額はそれぞれ
磯野波平……28.000円(配偶者フネ16,000円+特定期間に達していないカツオ、ワカメが6,000円ずつ)
フグ田マスオ……22,000円(配偶者サザエ16,000円+タラ6,000円)

Sazae 合計で毎月50,000円が磯野家には支払われている。山形県は三世代同居率女性の就業率が高い特徴があるので、扶養すべき“親”の存在がなく、専業主婦を二人もかかえる磯野家は特殊な例だと思われるかもしれないが、ここはなかなかの扶養手当家族だといえる。独身者、共稼ぎの職員との格差はたしかに大きい。

 これでは、手当を受給していない側から不満の声があがるのも無理からぬところだ。
だが、反論もある。        
(PARTⅡにつづく)

※磯野家。
快活な女性、気弱な亭主像など、戦後民主主義のシンボルだったこの一家も、近頃は、やんちゃはするがお父さんには従順なカツオの坊主頭に象徴される“復古的理想の家族”臭がちょっと息苦しい。吹替の現場では、声優たちがみんなおじいさんおばあさんなのに驚かされるそうだ。

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公務員はなぜ嫌われるか。

2008-01-09 | 情宣「さかた」裏版

Photo クミアイ情宣03年新春第一号。発行日は2003年1月10日。
本文にもあるけど、勝負ネタでした。

あけましておめでとうございます。今年も裏版をどうぞごひいきに。
 ではまず新春にふさわしく、世間の公務員憎悪について考えてみたいと思います。勝負ネタです。
 公務員のパブリックイメージとは、はたしてどんなものでしょう。清水ちなみが主宰するOL委員会の「公務員というお仕事」からいくつか拾ってみます。

職種             ラッキー                 アンラッキー
町役場  25才       安定                     ひま
町役場  24才   給料が下がることはない       その給料が低め安定
県事務所 29才 男女間の給料の差なし      がんばってもあまりごほうびがない
教育委員会 25才 クビにならないこと          つぶしがきかないこと
自衛隊 30才    倒産が絶対にない             世間に敵が多い
総務省 28才  不景気なんて関係ない            素敵な人がいない
県庁 27才   グータラしてても給料がもらえる       一般常識を忘れる
県庁 25才      年とったら裕福               若いときビンボー
保健所 27才 リストラなし、減給なし、中元歳暮なし     デカイ当たりもなし

 この公務員像の真偽はともかく(いくらなんでもヒマじゃないし、給料は下がってしまったぞ)、このようなイメージで公務員が一般にとらえられていることは間違いないでしょう。

Ham05ii  これは自戒も込めて言うのですが、わたしたちには【世間知らず】であったり、【礼儀知らず】だったりと、サービス業従事者としてはいかがなものかという部分が確かに存在します。
 ただ、一般常識を知らないという非難のなかには、利益追求を第一義とする企業倫理をあまりに中心に据えた考え方もあるだろう、という反論も心の内にはあるのですが、そんな声は官僚の不祥事が相次ぐなか、説得力を持ち得ようはずもありません。
 そう、今、公務員は叩きどきなのです。人事院のマイナス勧告がでたとき、ネット上でいっせいにあがった世間の快哉の声は、今でも忘れることが出来ませんし。 
 この世間の“ムード”について、先日あるNPOの代表者の講演をきく機会があり、彼が明快にその根拠を示してくれました。

「この長い不況下、日本にはぬぐいきれない閉塞感がある。そんななか、住民のフラストレーションが“クビにならない”公務員に向かうことは、むしろ自然なことではないか」
だからこそ、姿勢として情報公開をすすめなければならないのだ、というのです。

Photo_2  公務員憎悪のなかで、県教組酒田地区支部にも、実は様々な【意見】や【申し入れ】が寄せられています。こんな時期に支部長になれた幸せをかみしめつつ(泣)、わたしたちのこの組織を、もっと透明度の高い、説明責任の果たせる存在とし(その論議となっている部分を公開し、意見を募る。公平に、迅速に)、そしてその上で、あらゆる機会をとらえて説明責任と情報公開を求めていく、そんな県教組酒田地区支部でありたいと思っています。応援してください。ぜひ。

※夢見る新採の頃、顧問をやっていたサッカー部のコーチが某銀行の営業だった。いっしょに酒を飲んだとき、ボソッと「相手しててね、いちばんイヤなのは実は学校の職員たちだな」と彼はつぶやいた。夢は一瞬にしてしぼんだ。

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