事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

69 sixty nine

2008-01-17 | 邦画

69 村上龍の自伝的ベストセラー小説を「GO」「ピンポン」の宮藤官九郎脚本、「BORDER LINE」の李相日監督で映画化した痛快青春ストーリー。1969年の長崎・佐世保を舞台に、女の子にモテたい一心で学校のバリケード封鎖まで行なってしまう高校生たちの姿をエネルギッシュに描く。主演は人気若手俳優の妻夫木聡と安藤政信。

「お父さん、村上龍の『69』って読んだ?」
「うん。むかーし。」
「面白かった?」
「すっごく」
「ぼく買ったよ。また読む?」

さすが商売上手集英社。映画化(2004年)と同時に夏の100冊に選定だ。ウチの中坊はまんまとその作戦にのってしまっている。いきなり脱線だけど、毎年夏休みの時期にやる各文庫の100冊って、広告が出るたびに右手が勝手に読んだ本を数えてませんか?(笑)古典が読めないわたしは、めったに指を折れないので悔しいんですが。

さて、今やその古典あつかいの青春小説を、今をときめく妻夫木+安藤で映画化。誰でも感じるのは、なぜあの時代の物語を、今再び語るのかという疑問だろう。しかしそれは中年の勝手な思いこみのようだった。まわりの観客は妻夫木目当ての女子高生でいっぱい。

奥村チヨに欲情”したり、“お父さんが11PMを観ているもんだから外に出られない”なんぞというギャグに笑えるのもわたしが下限の客だろうか。タイトルバックのサイケ味(素晴らしかった)や、「フェスティバル」や「ハプニング」などという言葉に込められた一種の“夢”を、団塊の世代はどう総括しているんだろう。

邪念なしに観れば、これは意外なほど団塊ジュニア世代の宮藤官九郎テイストが強い映画になっており、木更津や池袋が佐世保に変わっただけとすら言える。柴田恭兵は「半落ち」の十倍ぐらい好演。担任を演じた岸部一徳は、もう何にも言うことがないほど味を出している。妻夫木の将来性も確信。いい映画だ。

※蛇足だけど、原作のヒロインは村上龍のあこがれの女性だった人で、後に景山民夫の2度目の結婚相手になっている。つまり、今は未亡人。よけいな知識があるせいで、ちょっとせつなくなった。

コメント
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