PART7はこちら。
パンパンの取締りにかり出されていた西島は(要するに日本の警察は、GHQの下っ端あつかい)、ふたりを見逃すことで「使えねーなお前は」と米兵になぐられる。逃げながらそれを見ている木村。
長い年月がたち、その木村と西島が金沢で再会してしまったことが悲劇のスタートだったわけだ。
さて、ここで「ゼロの焦点」における最大の疑問点が。
西島秀俊は木村多江と同棲をはじめるが、その事実は徹底して秘匿される。ある時点までは中谷美紀にさえである(西島の兄だけは感づいていて、だから「どうせあの女のところに」と楽観していたわけ)。
現地妻というアンモラルな存在だから、という割り切りでは西島の人間性と矛盾するではないか。そのうえ
「若い、マシュマロのような唇の女と結婚したくてあなたを捨てた」(中谷が木村に告げたセリフ)
のだとしたらちょっとひどすぎる。広末が愛した(と自分では思っている)男性がこんなことでは、「ゼロの焦点」は感動大作にならないのでは?
その点をごまかすためか、ドラマはここで急展開する。自分が去ったあとの木村の生活の面倒をみてやってほしいと中谷に依頼する西島。ムシがいいにも程がありますね。
「あなたのような男がいつも女を苦しめてきたのよ!」
まったく。
そこで中谷は思いつく。金沢における西島の存在は、変名を使っていたため(これも変でしょ)、その架空の人物を死亡という形で消してしまえばいいのではないかと。
西島はその提案にのり、木村に向けた遺書を書く。そして断崖絶壁から身を投げたように偽装するのである。だが……以下次号。