事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ゼロの焦点」がわからないPART4

2011-07-08 | ミステリ

Zeroimg04 PART3はこちら

金沢駅では、夫が勤務していた広告代理店の上司(本田博太郎)と後輩(野間口徹)が広末を迎える。上司はしかし、何らかの屈託を西島の失踪について感じているようだ。

彼らは広末を海岸に連れて行く。ちょうど溺死体が上がったので確認してほしいと。しかし幸いなことに死体は夫ではなかった。

この時点で、失踪以降の溺死体に警察が言及していればあっという間に事件は解決したはずだが、もちろんそうはならない。それぞれの死体については“すべて身元が判明していた”ので。しかし背中の傷の話にぐらい、なってもよさそうなものだが。

夫の下宿先に行きたいと告げる広末に、後輩は「それが、一年半前に下宿を出ていまして……」と悠長なことを。広告代理店の営業マンが、時間外の対応をしていなかったはずもないのに。

広末は、夫の取引先の社長(鹿賀丈史)に引き合わされる。そこで広末は知ってしまう。「夫は女房(社長夫人)のお気に入り」だったと。とぼけた鹿賀の味わいが、古畑任三郎にゲスト出演したときのよう。

ここで観客はミスリードされる。夫と社長夫人が愛人関係にあったのではないか、事件の背景には不倫があったのではないか、と。

しかしここでもうひとりの女性が登場する。鹿賀の会社の受付嬢(木村多江)。

幸薄そうに見える彼女は、アメリカ人の客を達者な英語であしらってみせる。居あわせた広末は不思議に思う。彼女の使う英語がスラングまじりの“使える”英語だったからだ。

お見合いの席で語られていたように、「ジェーン・エア」が好きというだけあって広末は英語の高等教育を受けていて、結果として“上等な”英語を身につけている。使用する英語の違いで彼女たちの育ちの違いを印象づけるしかけはうまい。

荒れた手の木村多江は、しかも文盲であることすらうかがわせるのだ。以下次号
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コメント (2)
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