事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「背いて故郷」 志水辰夫著 新潮文庫

2011-07-21 | ミステリ

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背いて故郷 (新潮文庫)
価格:¥ 700(税込)
発売日:2005-01
故郷、のひとつは鶴岡に設定されています。テレビ塔があるあたり、というから高舘山か。友人の墓前で主人公は後悔に苛まれ、ラストに至って同じ場所で……。志水辰夫の、濃厚な味わいはこの作品でピークに達しました。

第六協洋丸、仮想敵国の領海に接近するためのスパイ船。柏木はその仕事を好まず、親友・成瀬に船長の座を譲った。だが成瀬は当直中に殺されてしまう。撮影済みのフィルムを奪われて。禁忌に触れてしまったとでもいうのか?柏木は北の大地を餓狼の如き切実さで駆けめぐった。ただ真相に迫りたかったのだ。彼の前に立ちはだかるのは“国家”、そして―。(BOOKデータベースより)

故郷、にはもちろん国家という意味もかぶせていて、スパイ小説としてもかなり読ませます。ある国家に忠誠を誓いながら、しかしそれ以上に個人として、職業人として仕事の完遂をめざす男たち、女たち。そのプロ意識は家族愛とも相まって濃厚。

ハードボイルドの主人公の常として、いつもやせ我慢をしているんだけど、それを女性たちがそっと支えるあたりの叙情はさーすが男性版ハーレクインの本領発揮。そしてその叙情をいきなりひっくり返すテクニック。やるなあ。

コメント
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