事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ゼロの焦点」がわからないPART3

2011-07-07 | ミステリ

Zeroimg03_2 PART2はこちら

おそらくは熱海か箱根あたりに新婚旅行に出たふたりは、露天風呂で見つめ合う。西島秀俊は思わず「きみは……若いんだね」とつぶやいてしまう。

誰と比べてそんなことを語ったかはあとで判明。よく考えると失礼な話だし、くらべられた女優は怒らなかったのかな(笑)。

西島が広末涼子を抱きしめたとき、右肩に傷があることが観客に示される。学徒出陣による戦争の跡。あとでもう一度画面にあらわれるが、ネタバレになるけれどある死体の身元をあらわすものとして使用されないのが不自然ではある。原作ではどう扱われたのだろう。

列車の連結が描写され(おそらくはセックスの暗喩)、西島の金沢への旅立ちのシーンにきりかわる。彼は後輩に金沢での仕事をひきつぎ、これが最後の金沢出張になるはずだった。車窓から若妻にキャラメル(くどいようだけど精液の暗喩)を一個、箱から出してわたす夫。「一週間なんてすぐさ。」典型的な新婚夫婦は、しかしこれが永遠の別れになる。

……うわ。タイトル前だけでこんなに長く語ってしまった。スピードアップしなきゃ。

「8日には帰る」と言い残した夫は、連絡もよこさず、帰ってこない。義兄夫婦に相談に行った広末に義兄である杉本哲太は“不自然なほど”心配はいらないとなぐさめる。納得できない広末は、「金沢に行ってみます」と夫婦に宣言する。

当時、若い女性がひとりで北陸に向かうのはたいへんな苦行だったろう。すしずめの車内、強引な検札など、不安をかかえる若妻の不安は増すばかりだ。

もっとも、観客にとっては、特に鉄ちゃん観客にとっては「張り込み」ばりの列車移動のシーンはおいしかったはず。これが昭和の国鉄だ!って感じ。暗い日本海沿いを進む蒸気機関車がびっくりするほど美しい。以下次号

コメント (2)
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