事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ゼロの焦点」がわからないPART9

2011-07-15 | ミステリ

Zeroimg11 PART8はこちら

能登の断崖に立つ西島と中谷。映画では、この瞬間に中谷が殺意を抱いたように描いてある。自分の過去もこれで清算できる、と。ドラマの流れで言えばしかたのないところか。

しかし裁判にもちこまれれば、これは明らかな計画殺人ということになるだろう。被害者をだまして(たとえ被害者に倫理的な弱点があったとしても)遺書を書かせ、自分に都合のいい結果を生んだのだから。

中谷の暴走は止まらない。西島の行方を追ってきた杉本哲太を毒殺し、うろちょろ探っている野間口を刺殺。そして、逃走を助けると見せかけて木村多江を……

中谷の殺意を感じた木村の演技は見応えがある。

「親切ごかしにこの(赤い)コートを着ていけなんていってぇ」

そう言って中谷を糾弾しながらも、彼女のためにみずから死を選ぶ。バッグには母子手帳が入っていた……語尾を微妙にのばして表現がきつくならないあたり、方言のチカラもあるんだろうが(まだ耳に残っています)。三人の女優の競演という見地からいえば木村の圧勝です。JFN「世界にひとつだけの本」で毎週聴かせる表現力はやはりたいしたものだ。

お気づきのように、すでに中谷美紀はこの時点で(自殺、胎児もふくめて)5名の命を奪っている。壮絶な連続殺人。ここから感動にもっていくのはかなり大変。そのため、映画は少し無理をする。

Zeroimg12_2 家に帰った中谷は狂乱し、顔をガラスで傷つけるなど、まるで舞台劇のような様相に。家政婦たちを下がらせた鹿賀丈史は、そんな彼女をやさしく抱擁する(伏線)。

市長選の結果が出て、女性市長実現。運動員たちは狂喜する。そして、選挙結果報告会が「砂の器」におけるコンサート会場のようになり、晴れの舞台から犯人が奈落に突き落とされる展開に。次号最終回

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