①11月2日9時の天気図 気象庁HPより引用
②11月2日9時気象庁発表のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用
③11月2日9時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用
④11月2日21時の天気図 気象庁HPより引用
11月2日は、本州上空には、じわりじわりと真冬並みの強い寒気が流れ込んできました。
このため、北日本では平地でも降雪となり、各地で初雪となりましたし、北陸や山陰でも、山間部では夕方から雪となっている箇所も多くなりました。
また、東京では(大阪もそうでしたが)、木枯らし1号を観測しました。
本州付近上空に強い寒気が流れ込んで来る際には、上空5500m付近の偏西風の流れが決まって蛇行しており、偏西風帯の谷が本州から見て西谷になっている場合は、本州の東から南海上に前線が停滞することが多く、このような場合、東北地方南部や関東平野には東海上からの湿った気流が入り込みやすく、このため、関東南東沖から日本海中部、そして日本海北西部にかけて帯状に低圧部が発生して、当該低圧部に、帯状に雲の活動が発達し、まとまった降水をもたらすようになります。(引用図①②③)
そして、上空の寒気の勢力が強いほど、前記した帯状雲は、渦状になった雲が連なるようになり、当該渦状雲が陸地にかかる際には、一時的に強い降水や雷、突風と言ったシビアーな現象をもたらすようになり、渦状雲の進行方向右側(南東方向へ移動だったら南西方向)から後側の外縁部付近では、局地的に相当な強風に見舞われます。
昭和61年12月に、兵庫県北部の山陰線餘部鉄橋上で、走行中の列車が強風で脱線転覆した事故など、まさにこのような気象状態で発生しました。
今回2日も、引用図③より、日本海北西部から中部にかけて、渦状の形をした雲の集団が連なって、長々と帯状の雲の形を形成していますが、これらの雲の集団がかかった福井県嶺南地域から山陰地方東部にかけて、所によって10分間の平均でも20mを超す大変強い風を観測しています。
さらに、このような日本海北西部~中部に帯状に雲の活動が発達する場合、偏西風帯の谷が本州上空をつうかするのに伴って、当該帯状雲の分布方向の延長線上にあたる、東海沖から関東南岸にかけて、新たに低気圧が発生して、関東沿岸部や伊豆諸島周辺でも、局地的に風が強まったり、雨(雪)雲が発達することも多いものですね。
2日23時現在、福岡県、佐賀県、長崎県の一部地域と千葉県北東部には暴風警報が出されています。