①2月14日12時の天気図 気象庁HPより引用
②2月14日12時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用
③2月14日9時のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用
2月14日は、発達した低気圧が北海道を通過し、未明から午前中にかけて、この低気圧の中心から延びる寒冷前線が本州を通過しました。
このため、14日未明から朝にかけては、東海地方や関東地方では所々で強い雨となり、静岡県天城山や神奈川県箱根など、神奈川県西部から静岡県内、長野県南部などで、24時間降水量が軒並み100ミリを超えました。
また、14日未明から早朝にかけて、関東地方沿岸部や海上を中心にして、その後、北海道や寒冷前線が本州を通過後は、東北地方や関東地方北部の所々で暴風が吹き荒れました。
最大瞬間風速は、北海道えりも岬で35・5m 栃木県奥日光で33・6m 青森県八戸で32・2m、宮城県仙台で31・4mと、大人でも吹き飛ばされる風速を観測しています。
今日、特筆するべきなのは、東北地方や栃木県奥日光方面の暴風ですね。これらは、山越えのおろし風 は強まったためです。
引用図①②を見比べると、14日12時現在、天気図(地上天気図)上の寒冷前線が三陸沖から関東沿岸に達していますが、この寒冷前線に対応する雲が殆ど見当たらず、当該寒冷前線の前側の本州東海上から南海上に、帯状に広がっています。
さらに、引用図②③より、本州の東海上から南海上にかけては、上空1500m付近で西より風と南西風とがぶつかって収束(帯状に上空3000m付近の上昇流域が分布しています。※引用図③の上側 )しており、引用図②に見られる、本州東海上から南海上に広がる雲の帯は、この収束域(帯状に分布する上空3000m付近の上昇流域)に発生したと推測されます。スコールラインの伴う雲の帯ですね。このスコールラインが14日未明から早朝、静岡県内や神奈川県西部などの強い雨をもたらしました。
さて、引用図①の寒冷前線ですが、引用図①②より、上空1500m付近の等温度線が混んだ部分と風向が南西風と西~北西風とのコントラストが大きい部分に対応していますが、上空3000m付近の下降流が顕著になっている箇所の外縁部に寒冷前線が走っていることが読み取れ、寒冷前線が通過した東北地方や関東地方北部では、東北日本海沿岸かっら北陸で局地的に上昇流となっているものの、その東側の太平洋側では、下降流が卓越しており、風速も45ノット以上と強まっており、太平洋側に、山越えおろし風の強風が発生する典型的なパターンとなっています。
さらに、14日は、低気圧が持ち込んだ暖気が残っていたところへ、この、山越えおろし風をもたらした、上空3000m付近の下降流の影響もあり、局地的に、山越え気流がフェーンを引き起こした為に、関東平野や静岡市周辺では、日中、気温がみるみる上昇して、相当な高温となりました。
静岡県静岡で26・2℃(6月下旬並み) 神奈川県小田原で26・1℃(7月上旬並み)を観測したほか、横浜で24・8℃(6月下旬並み) 千葉で24・7℃(6月下旬並み)、東京都心でも23・9℃(5月下旬並み)の最高気温を観測しています。
14日のように、寒冷前線の進行後方前側(暖域)で、スコールラインが発達して、天気図上の寒冷前線に伴う雲が殆ど見られない場合は、実は要注意!と私は思っています。当該寒冷前線通過直後に、局地的に大変強い風が発生したり、今回のような山越えおろし風の強風が強まったりします。
だいぶ前の話ですが、昭和54年3月31日の神奈川県小田原市周辺や津久井町周辺の突風被害や平成2年11月10日の東京湾岸での強風被害などは、低気圧の暖域でスコールラインが発達して、天気図上の寒冷前線に伴う雲が殆ど見られない状態の寒冷前線が通過した直後に発生したものです。