カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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発達した低気圧は北海道へ 北日本や東日本で暴風吹き荒れる 関東や静岡はフェーンで夏の陽気

2009-02-14 23:46:23 | インポート

①2月14日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②2月14日12時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③2月14日9時のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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2月14日は、発達した低気圧が北海道を通過し、未明から午前中にかけて、この低気圧の中心から延びる寒冷前線が本州を通過しました。

このため、14日未明から朝にかけては、東海地方や関東地方では所々で強い雨となり、静岡県天城山や神奈川県箱根など、神奈川県西部から静岡県内、長野県南部などで、24時間降水量が軒並み100ミリを超えました。

また、14日未明から早朝にかけて、関東地方沿岸部や海上を中心にして、その後、北海道や寒冷前線が本州を通過後は、東北地方や関東地方北部の所々で暴風が吹き荒れました。

最大瞬間風速は、北海道えりも岬で35・5m 栃木県奥日光で33・6m 青森県八戸で32・2m、宮城県仙台で31・4mと、大人でも吹き飛ばされる風速を観測しています。

今日、特筆するべきなのは、東北地方や栃木県奥日光方面の暴風ですね。これらは、山越えのおろし風 は強まったためです。

引用図①②を見比べると、14日12時現在、天気図(地上天気図)上の寒冷前線が三陸沖から関東沿岸に達していますが、この寒冷前線に対応する雲が殆ど見当たらず、当該寒冷前線の前側の本州東海上から南海上に、帯状に広がっています。

さらに、引用図②③より、本州の東海上から南海上にかけては、上空1500m付近で西より風と南西風とがぶつかって収束(帯状に上空3000m付近の上昇流域が分布しています。※引用図③の上側 )しており、引用図②に見られる、本州東海上から南海上に広がる雲の帯は、この収束域(帯状に分布する上空3000m付近の上昇流域)に発生したと推測されます。スコールラインの伴う雲の帯ですね。このスコールラインが14日未明から早朝、静岡県内や神奈川県西部などの強い雨をもたらしました。

さて、引用図①の寒冷前線ですが、引用図①②より、上空1500m付近の等温度線が混んだ部分と風向が南西風と西~北西風とのコントラストが大きい部分に対応していますが、上空3000m付近の下降流が顕著になっている箇所の外縁部に寒冷前線が走っていることが読み取れ、寒冷前線が通過した東北地方や関東地方北部では、東北日本海沿岸かっら北陸で局地的に上昇流となっているものの、その東側の太平洋側では、下降流が卓越しており、風速も45ノット以上と強まっており、太平洋側に、山越えおろし風の強風が発生する典型的なパターンとなっています。

さらに、14日は、低気圧が持ち込んだ暖気が残っていたところへ、この、山越えおろし風をもたらした、上空3000m付近の下降流の影響もあり、局地的に、山越え気流がフェーンを引き起こした為に、関東平野や静岡市周辺では、日中、気温がみるみる上昇して、相当な高温となりました。

静岡県静岡で26・2℃(6月下旬並み) 神奈川県小田原で26・1℃(7月上旬並み)を観測したほか、横浜で24・8℃(6月下旬並み) 千葉で24・7℃(6月下旬並み)、東京都心でも23・9℃(5月下旬並み)の最高気温を観測しています。

14日のように、寒冷前線の進行後方前側(暖域)で、スコールラインが発達して、天気図上の寒冷前線に伴う雲が殆ど見られない場合は、実は要注意!と私は思っています。当該寒冷前線通過直後に、局地的に大変強い風が発生したり、今回のような山越えおろし風の強風が強まったりします。

だいぶ前の話ですが、昭和54年3月31日の神奈川県小田原市周辺や津久井町周辺の突風被害や平成2年11月10日の東京湾岸での強風被害などは、低気圧の暖域でスコールラインが発達して、天気図上の寒冷前線に伴う雲が殆ど見られない状態の寒冷前線が通過した直後に発生したものです。


発達中の低気圧が日本海へ 各地で春一番 だが、暴風や高波には警戒!北海道では大雪にもご用心!

2009-02-13 23:54:28 | インポート

①2月13日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②2月13日15時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③2月14日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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2月13日は、発達中の低気圧が日本海へ進んできました。

このため、関東以西の各地域では、南~南西風が強まった所が多く、あちこちで、春一番 が吹いたとの発表がありました。

気象庁からも、13日午後、関東地方に春一番が吹いた との発表がありました。

いかにも、春一番と言うと、春がようやくやってきたとの、明るいイメージが湧くものですが、実は、春一番というもの、その昔、壱岐・対馬方面の漁師の方々との間で、立春過ぎてからすぐの時期に吹く強風として恐れられていた「春一」より由来するものです。

この由来通り、春一番は、各地に強風被害や、気温が上昇するため、積雪の多い山間部などでは なだれ を引き起こすものですが、2月13日も、多聞にもれず、関東以西の各地では、南~南西の強風が各地で吹き荒れ、交通機関等に乱れが生じました。

13日23時現在、東北地方から九州地方までの所々には、暴風警報や波浪警報が出されており、東京国際空港(羽田空港)や関西空港には、飛行場強風警報が出されています。

引用図②より、13日15時現在、お椀をかぶせたような ⌒型の雲の集団が Ⅰ・東シナ海から日本海中部 とⅡ・日本海西部から北海道の北へ広がっていますが、雲の集団Ⅱが引用図①で日本海西部にある低気圧に対応するものです。雲の集団Ⅰは、低気圧の暖域で、暖湿流が南方向と南西方向とから流れ込んで、おおおの収束して出来た雲の集団(スコールライン)で、所々、発達した雲も見られます。

引用図①と引用図③とを見比べると、13日に西日本の各地中心に等圧線の幅が狭まっていますが、14日9時には、北日本や関東近海を中心にさらに等圧線の幅が狭まってくる予想(経度1度につき、2hpa~4hpa程度)です。さらに、13日21時現在、関東以西の上空1500m付近では南西風~西南西風で所々で50ノットを超えており、各種予想図より、14日9時には、北日本(おおむね南西風のち北西風(や関東近海(おおむね南西風)のあちこちで60ノット以上となる見込みです。

よって、14日は、北日本の各地はさることながら、発達している低気圧から延びる寒冷前線付近では特に風速が増大するものですから、関東以西の各地では、当該寒冷前線が通過する時刻(関東では13日朝)にかけて、暴風警報クラスの風速の風に、充分な警戒が必要ですね。海上ではおおしけとなるでしょう。南側に開いた山の斜面にあたる地域では、雨量がまとまる恐れもあります。

さらに、13日23時現在、北海道や東北地方北部では湿った雪が強まっており、北海道の一部には大雪警報が出されています。14日にかけて、北海道では、大雪やなだれ、湿った雪による電線などの着雪にもご用心!


13日は発達中の低気圧が朝鮮半島から日本海へ 各地で春一番は確実?

2009-02-12 23:51:23 | インポート

①2月12日21時の天気図 気象庁HPより引用

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②2月12日21時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③2月13日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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2月も中旬となり、花粉も飛散し始めた箇所もおおくなり、春の息吹が感じられてきた昨今ですが、2月13日は、発達中の低気圧が朝鮮半島から日本海へと進んできて、日本付近は当該低気圧の南側(暖域)に入り、各地で、南から南西風が強まる見込みとなって来ました。

低気圧の暖域と言うと、気象学の基本書には、南~南西風が吹き込み、雲が途切れて、比較的天気が良くなると言う記載のものも多いですが、実は、そうとは言い切れないんですよね。

実は、低気圧の暖域という箇所は、気象学で言う、対流不安定(下層で比較的湿っていて、上層で比較的乾いている箇所。そのままでは比較的安定していますが、何らかの拍子に気流が鉛直方向にが上昇すると、どんどん上昇しやすく、雲が発生・発達なっている箇所)が大きい箇所でもあります。

この、何らかの拍子 と言うのは、山地に気流がぶつかって強制上昇したり、異なる風向の気流同士が衝突して、上昇気流を形成したりする場合などを言いますが、一たび、こういう現象が発生すると、気流は鉛直方向へ上昇し、雲を発生・発達させるようになってしまいます。

低気圧の暖域では、地上天気図で、Ⅰ・低気圧を表現している等圧線の走向と、Ⅱ・隣接する高気圧の縁辺部分の等圧線の走向に注意! ⅠとⅡが丁度、ルの字型 や ハの字型に、等圧線が走っている箇所では、暖湿流が局地的に収束(上昇)して、雲が特に発生・発達しやすく、このような部分には、強い降水雲が帯状に発生する(スコールライン)ようになります。

さしあたって、2月13日9時の予想天気図より、当該スコールラインは東シナ海から九州西方沖に発生しそうですね。西日本では、13日昼以降、強い雨の恐れがあります。

その後、低気圧の東進とともに、本州付近では地上天気図上の等圧線が混み(13日21時には本州中央部で経度1度あたり2hpa  ~2・5hpa程度。ちなみに13日21時には各種予想図より、東海地方や南当地方では上空1500m付近で南西風がおおむね45ノットから50ノット程度、13日21時以降、更に強まる予想)、南~南西風がだいぶ強まってきそうです。

13日は、各地で、春一番 の宣言が目白押しとなりそうです。が、13日夜以降、関東地方沿岸部や伊豆諸島、東海地方沿岸部などでは、暴風警報クラスの風速となる箇所もありそうですね。

強風や海上の高波、それに、気温が上昇しますから、積雪の多い地域でのなだれには充分に注意してください!


山越えおろし風強まる 宮城や福島に暴風警報

2009-02-08 23:56:20 | インポート

①2月8日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②2月8日9時気象庁発表AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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昨日の記事の検証めいた内容となりますが、本日2月8日は、前日2月7日の記事通り、東北地方や関東地方中心に山越えのおろし風がだいぶ強まりました。

最大瞬間風速が、栃木県那須で34・2m 福島県白河で31・8mを観測したほか、10分間の最大風速でも、東北地方や関東地方で18mを超えた箇所が続出しました。

このため、宮城県や福島県の一部には、一時、暴風警報も発表されました。

引用図②の上側より、東北地方南部には、件の 渦度0線がかかり、下側図より、上空1500m付近で東北地方の一部で50ノットを超えており、上空3000m付近では、東北地方日本海側では上昇流の場であるのに、隣り合わせの東北地方南部には、下降流の指数が125と、下降流が大変強まり、典型的な、山越えおろし風が吹くパターンとなっています。

ただ、今回は、地上天気図上での等圧線の幅が、北日本や東日本でも広範囲に混まなかったことが幸いしてでしょうか、東北地方や関東地方で広範囲に交通機関が混乱 など となるような風速にはならずに済みました。

ただ、これから春先にかけては、東北地方太平洋側や関東地方では、この、山越えおろし風 が強まる機会が多くなりますから、油断できませんね。


8日は 北日本・東日本では強風にご用心!

2009-02-07 23:54:30 | インポート

①2月7日18時の天気図 気象庁HPより引用

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②2月8日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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③2月7日9時気象庁発表FXFE502図の2月8日9時予想 日本気象予報士会HPより引用・加工

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④2月7日9時気象庁発表のFXFE5782図の2月8日9時予想 気象庁HPより引用・加工

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引用図①で、北海道の西海上にある低気圧が、今後発達し 2月8日9時には北海道南東海上へ進む予想です。

このため、低気圧の進路に当たる北海道では、8日午前中にかけて大雪の恐れがありますね。

それに、もうひとつ。引用図③の上側図より、上空5500m付近では、北日本から東日本にかけて等高度線が混んで風速が強くなる予想で、かつ、東北地方には、渦度0線(特に風速が増大する部分)がかかる予想です。

さらに、引用図④の上側図より、2月8日9時には、上空5500m付近の寒気の中心は北海道の東に移り、北日本や東日本上空では、寒気の中心の西側に入る見込みです。

上空5500m付近の等高度線が混み、かつ、渦度0線がかかる。おまけに、上空5500m付近の寒気の中心の西側に入る・・・・・・このことを満たす北日本や東日本は、脊梁山脈の吹き降りる山越えおろし風が強まる(今回は北西風~北より風、一部で西より風)兆候を示すものなのですね。

その証拠に、引用図④の下側図より、2月8日9時には、東北地方上空3000m付近で、下降流の指数が138と予想されて、北日本から東日本にかけては、上空1500m付近で、ほぼ全域にわたって北西~西北西風が35ノット以上、東北地方周辺では60ノット以上になる見込みです(屋羽根表示部分)。

上空3000m付近の下降流の指数がおおむね75以上で、上空1500m付近の風速が50ノット以上であれば、暴風警報クラスの風速の山越えおろし風が吹く目安となりますから、2月8日の予想される山越えおろし風の強風の程度がどれほどか? 解ろうというものです。

2月8日は、午前中までの北海道の大雪もさることながら、北日本から東日本では、脊梁山脈を越えるおろし風の強風にご用心!特に、地形的におろし風が強まりやすい、宮城県内や福島県内では要注意です!

関東平野や甲府盆地などもおろし風がだいぶ強まりやすいですから、干している布団や洗濯物など飛ばされないように注意しましょう!