「本番中に舞台の上で再発して動けなくなりたくなかったら、
この三連休はおとなしくしてなさいねっ!」
カリスマ鍼師からクギを刺されていたにもかかわらず、
本日は4時間にわたる『Carmen』通し稽古。
今回は幕の数だけ衣装が要る。
ひととおりの衣装と靴だけでも、結構な大荷物になった。
こんなの担いで稽古に行ってましたなんて言ったら、
二度と治療してもらえまい。
ならば、せめて転がして行くべし。
巷は三連休。
ロシア文字のステッカーがベタベタと貼り付いたよーなスーツケース持って佇めば、
黙っていても商売熱心なタクシーが寄ってきてくれる。
「どちらまで?」
――えーと、ちょっと六本木まで…
期待に満ちた瞳を輝かせてる運転手さんに、
羽田でも成田でもない行き先を告げるのはつらかったけど、
まぁでも、タクシー乗ってでも稽古に行くなんてわれながら殊勝だ!
てことで、堪忍しておくれやす。
「病は気から」と云うけれど。
精神的ダメージが大きいと、
病というよりケガっぽい症状までも悪化するらしい。
キヨシちゃん休養宣言を聞いた途端、
張り切って登場したのは妖怪“ぴりり”。
心なしか、ややパワーアップなさったご様子。
腰だけでなく、骨折の前科のある右脚にも、
それをかばって悪くした左の股関節にも、
はたまた帯状疱疹でやられた左手の2本の指にも、
顔を出していらっしゃる。
ヤな感じだ。
「本番ドタキャン」の予言が当たらねばよいが。
主任教授にリサーチプロポーザルを提出してから4週間弱。
つひに返事が来た。
いまから1ヵ月後、博士論文の執筆にかかるための口頭試験に臨む。
ね~、こういうニュースは突然飛び込んでくるでしょ。
いつも突然に耳に飛び込んでくる。
ヒイラギ最愛のアーティスト・忌野清志郎に病魔再来、などと。
おかげで午後いっぱい気もそぞろ、なにも手につかなかった。
中学生のころからずっと、この人の歌とともに人生を歩いてきた。
ヒイラギの感受性の核をなしている人だと言っても過言ではない。
武道館で完全復活祭を祝ってからわずか5ヶ月。
本人が覚悟していようがヘコんでいなかろうが、
ヒイラギの受けた精神的ダメージは大きい。
――少しだけ立ち止まってココロの水平線を見つめなおしたら、
明日からまた足元のこの道を、踏みしめながらまっすぐに歩いていこう。
昨夜そんなことを思いながら眠った。
夢の中で波に揺られすぎたらしく、ひどい偏頭痛で目が覚めた。
ふらふらしながら『Carmen』の立ち稽古に出かける。
本日はイケメン先生の指揮。
この先生、イケメンで美声なだけじゃない。
けっこう三枚目キャラだったりする。
だから、見ているだけで、ぷ。と笑ってしまう。
カルメンやミカエラのソロ部分を声色つかって歌っちゃうのは朝飯前。
お茶目さんなのだ。
なにをどうしたらそうなるのか分からないけど、
指揮に熱が入ってくると、かけているメガネを吹っ飛ばしてしまう。
日程が合わなくてこれまでに4回しか教わってないわりには、
空を切るメガネを2度も目撃してるというのは、なかなかスゴイ頻度である。
今日もいつものようにメガネが飛ぶかと思っていたら、どっこい。
空を切って明後日のほうへ飛んだのはタクトだった。 それも3回。
そうくるか…!
おかげで偏頭痛も吹っ飛んだ。
明日から、マジで、ガチで、論文書かなきゃ。
そんな天然三枚目のイケメン先生がレメンダード役の『Carmen』。
本番までの練習回数が、いよいよカウントダウンだ。
マエストロの初演作品を聴きに、所沢へ行った。
とても美しい作品だった。
透き通るような旋律にのせて、胸のうちに空と海がどこまでも広がった。
いま遙かに見えている水平線の向こう。
空と海とがひとつになっている、あの、向こう。
目指しているところは遠すぎるのだろうか。
いつかは、たどり着けるのだろうか。
ただ波に身を任せながら、胸のうちの水平線を見つめ続けた。
「忙しくなりそうだ」などと口走っていたら、本当に忙しくなってしまった。
出力85%にセーブしながらカリスマ仕事人モードに復帰したこの一週間、
“待ってました!”とばかりにトラブル発生でしりぬぐいに追われながら、
新プロジェクト話にも急展開。
いきなり連日の東奔西走で、一昨日あたりから“妖怪腰ぴりり”の気配が感じられる。
土曜日には珍しい完全オフ日が明日に入っててくれて助かった。
博士課程に受かり、
仕事が2つに増え、
名取になってから、
「平日はシゴト+土日祝はゲイゴト」というバランスがまったく保てなくなった。
友人・知人からは異口同音に言われる。
「キミのやってることは、完全にひとりの人間がやる分量じゃないよね」
えぇ、まぁ。
でも、やりたいことを全部やってきた結果なので、ひとりでやっちゃってます。
たまたま、やりたいことが増えてくだけで、何も減らなかっただけのこと。
それでもここまでやり過ごしてこれたのは、
――先生も上司も師匠も、
よかれと思って、
できると思って、
やらせたいと思って、
増やしてくれたシゴトやし、
断るのもなぁ~…
ま、なんとかなるんとちゃうかな~♪
という、“楽観主義”が歩いてるよーな精神構造だからかな。
とはいえ。
さすがに頭の整理だけはしておかねばいかん事態になってきた気もする。
再来週から毎年高齢…イヤ、恒例の区民オペラがスタートするでしょ、
夏の間に仕事で査読論文を1本急遽書き上げるでしょ、
社会起業家支援のNPOが設立されれば仕事がもう1つ増えるでしょ、
秋には博士論文の中間発表と英語版事例集の完成とロシア公演でしょ、
それで来年には、書きあがってるハズの博士論文をもとに本を出すらしいよ、と。
ひぇぇ・・・。
もう隠居したいな。
リハビリ休暇直前に完成品2500部が届いていたヒイラギ渾身の自信作を、ようやく今日、取材協力先に謹呈した。
見れば見るほど、非売品にしておくのがもったいない。
売れるに違いないけど、スポンサーがお役所とあってはそうもいかない。
予算半減の憂き目に遭っているわれらが社会起業家プログラムとしてはジレンマである。
この貴重な?非売品をいま手にしているのは、
ヒイラギが休んでる間に
「お金は内閣府、作業はヒイラギさん」
と言いながら張り切って配って回ってくれた先生と出遭った人たちと、
休暇中のヒイラギと出遭った何人かの幸運な友人と、そして、
京都のチチ・ハハ。
「便りのないのは元気のシルシ」を決め込んでるヒイラギからの珍しい郵便を、
先に開封したのはこれまた珍しくヒイラギ・チチのほうだった。
外出から帰ったヒイラギ・ハハに言った感想はひとこと、
「ヒイラギだけ写真が載ってない」
どこまでもわが子の職業を理解していないヒイラギ・チチではあるが、
それなりにチチらしい感想ではある。
洞爺湖サミットでの配布は夢に終わったものの、できたてを手にした関係者の評判は上々で、英訳版の制作に向けてふたたびプロジェクトが動き出している。
また、忙しくなりそうだ。
La Primavera 第3回公演『Carmen』のご案内はこちら♪
5日間のリハビリ休暇と前後の土日とで、都合9連休からの社会復帰。
一発目のお仕事は、通勤ラッシュを避け、大学とは反対方向の先生の研究室で新たなるプロジェクトの打合せ。
続きで先生とランチしてから、連れ立って最寄り駅に向かう。
どちらかというと早足の先生が「10分も歩く」とこぼしている一本道を、
久しぶりのロングストライドでさっさと歩きながら、
――先生の早足なら7~8分じゃないですかね?
(回復度90%のヒイラギで10分未満だったしぃ。)
「ううん、10分かかるよ。」
駅に着いて時計を見れば。
途中でバス停の時刻表と運行ルートをチェックしたり、
かばんからケイタイ出してのろのろ歩きでメールチェックしたりした時間も入れて、
ぎりぎり10分。
ほら~♪
「うん、でもいつも10分かかるよ。」
はいはい、分かりました。
駅のホームで、さて電車はまだかいなと立ち止まると、
「ボクは有楽町で乗り換えだからあっちのほうで、
ヒイラギさんの乗換えは永田町でこっちのほうだから、
真ん中へんに乗ろっか!」
はい、ありがとーございます~。
先生と2人でいるときは、万事この調子でのほほん。
のほほんヒイラギの、のほほん社会復帰は、
のほほん先生のおかげでお気楽このうえなしなのでした。
そんなお気楽ヒイラギもこそっと出ているオペラ『Carmen』公演、
みんな来てね~♪
恋する純情マエストロによる『Carmen』公演のご案内です。
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La Primavera 第3回公演
オペラ「カルメン」 (原語上演・字幕つき)
2008年8月9日(土) 16:30開場・17:00開演
江東区文化センターホール
全席自由 3,500円
指揮 苫米地英一
演出 森山 太
主催・制作 La Primavera
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(大きく見たいかたはこちらをダウンロードしてくださいまし。)
来ていただけるかた、事務局さん(hwprimavera@hotmail.co.jp FAX03-3945-1816)までビシバシお申し込みくださいっ!
ヒイラギの連絡先をご存じのかたは直接ヒイラギまでど~ぞ♪