とあるCDの曲目解説を英訳している。
翻訳書の出版プロジェクトのときも思ったけど、
論文を書いてる期間に、翻訳仕事なんて引き受けちゃダメね。
(まぁ、断れない仕事だから引き受けてるんだけども)
論文を書いている間は極限まで理詰めの世界で思考している。
〝行間〟とか〝解釈〟の余地のない無味乾燥なロジックを、
一分のスキもなく組み立てることだけを考えている。
書いてあるとおりにしか読めない日本語。
文字が表す意味以上のものはない。
味わいも何もない。
なんというか、これはもう、〝作業〟に過ぎない。
曲目解説は論文とは対極にある日本語。
ニュアンスでできた言葉を論理的な言語に変換するプロセス。
これは、どれだけ深く行間を汲めるかが勝負。
いただいた原稿の一語一語を徹底的に咀嚼して、
知りうる限りの単語と言い回しと構文のなかから、
もっとも「感覚的に」ぴったり来るものを探し出して置き換える。
古典曲のなかでも稀少曲ばかりだから、
簡単に入手できる参考資料はほとんどない。
あまりにも日本的な「感覚」を異国の人に伝えられるほど、
〝日本をちゃんと消化できていない〟自分に、気づかされる、
ヒイラギとことんこだわりの翻訳仕事。
こちらの思考には、終わりは無い。
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