自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

レモンは花が二度

2015-07-22 | 昆虫と花

一昨年,昨年と続けてレモンがたわわに生りになりましたが,今年の出来はさっぱり。実をぽつぽつと数えるのがやっと。やはり,生り年というものがあるようです。鈴生りになった2年で木が相当に弱ってしまい,まだ樹勢が回復していないのかもしれません。正月明けに寒肥をずいぶん施肥したのですが,急な回復はやはり無理だったのです。

このレモンの木に,今,花がたくさん付いています。春に続いて二度目の花です。前回は木を覆い尽くすばかりの咲き方で,辺り中に匂いがプンプンして,昆虫たちが盛んに訪れていました。今回は,枝先に蕾が固まって,それなりにあちこちに咲いているといったふうです。


そこに昆虫たちが適当に来ているので,もしかしたら実を結ぶことになるかもしれないなと,ちょっとばかり期待しています。

少ない数ですが,クマバチやミツバチが訪れると羽音が響くので,それとなくわかります。

チョウが来ると,一目でわかります。目の高さぐらいのところなら,至近距離で撮影できます。


ツチバチの一種が来ました。棘のすごさが際立っています。口吻を奥に差し入れて,蜜を得ていました。からだに付いた花粉はレモンのそれでしょう。


ツマグロキンバエはいつもの常連。


ハナムグリもきっちり。

 

アブラムシがいると,アリも。昆虫がいると,それを求めてクモも。


わたしはほんのひとときしか観察していませんが,これだけの昆虫を見ました。開花中は,ほかにもいろいろと昆虫たちが花の色と匂いに誘われて訪れるでしょう。結果,受粉が成立するように思うのですが。 

 


アゲハの卵いっぱい

2015-07-21 | アゲハ(ナミアゲハ)

畑のレモンの木はアゲハがよく訪れる木です。もちろん産卵に。お蔭で,これまで度々観察の機会が得られ,わたしには魅力的な観察木になっています。

この間なんか,まったくびっくりする光景を目にしました。なんと,あちこちの枝に産付された卵がいっぱい。1個の枝も複数個の枝も。その枝は真新しく伸びたもので,柔らかい葉が数枚付いています。それを見つけて産卵しているのです。


中には,10個も卵が産み付けられている例も。その枝で,すでに孵ったばかりで殻の脇にいる幼虫を発見。そのすぐ隣りに,それこそ間もなく孵化しそうな卵がありました(下写真の矢印)。中が透き通って幼虫が見えるのです。ほかの卵はまだ白いまま。つまり,産卵時期にズレがあるということです。


さて,雨が降り出したので,孵化しそうな卵を撮影しようと思い,持ち帰ることにしました。幼虫が二匹,隣り合うというのは珍しいことです。これを画像に残しておこうと思ったのです。

水を入れたコップに枝を挿して,変化を見ていました。先に孵った幼虫が殻を食べかけた頃,間もなく孵ろうとするもう一つの幼虫が殻を食い破り始めました。


しばらくすると,頭を出して,そしてゆっくり出てきました。


隣りにいる幼虫の体色を比べると,いかにも初々しい感じが伝わってきます。

出終わると,そうすることが決められていたように殻を食べ始めました。


時間をおいて,別の卵も孵化。


この分だと,孵化がたっぷり観察できそうです。もちろん撮影もできます。感謝,感謝。

 


モンキチョウの寄生バチ(後)

2015-07-20 | 昆虫

容器に入れてから,はじめは毎日,変化はないか確認していました。しかし,その兆候は見られませんでした。

ところが,7日後のこと。容器を見ると,ハチが一匹死んで横たわっていたのです。体長は10mm程度。繭を確かめると,下の方にちゃんと穴が開いていました。


うっかりしていました。日が経つうちに,「この分だと,羽化はまだ先だろう」と勝手な思い込みをしてしまっていたのです。それで,4,5日過ぎるあたりから観察をしていませんでした。

結果,羽化したにもかかわらず気づかなかったわけです。惜しいことをしました。ハチには申し訳ないことになりました。

しかし,生態についてはかなりわかってきました。

ホウネンタワラチビアメバチという長い名の持ち主だということ。チョウやガの幼虫に寄生するハチだということ。イネの害虫フタオビコヤガの幼虫(イネアオムシ)に寄生する益虫であるということ。宙ぶらりんになった繭を作るのが,この昆虫の特徴であるということ。

ということは,関心を持っていれば稲作地域ならかなりの確率で見かける可能性があるということです。今後をたのしみにしておきましょう。

 


モンキチョウの寄生バチ(中)

2015-07-19 | 昆虫

ほんのしばらくしてから見ると,葉から糸を垂らして釣り下がっている状態でした。そうしながら,盛んに体を動かしているのです。「このまま地表に降りて蛹化するのかな。その前に写真に収めておかなくちゃ」と思い,急いで撮影しました。


ところが,動きを見ていると,それ以上下に降りようとしません。その位置のまま,口を盛んに動かしているのです。動かしながら糸を吐き続けました。


「そうか,繭を作っているのか」と気づくまでにはしばらく時間がかかりました。

時間が経つにつれて,繭の厚みが増していきます。葉からぶら下がった繭なので,全体の厚みを均一に整えていくために,時折からだの向きを上下入れ替えました。それがまた,なんとも巧みに!


そのうちに,次第に中が見えなくなっていきました。


時間をおいて見ると,表面には黒い紋様ができていました。


そのでき方については観察していないので,なんともいえません。じつに規則正しい紋様です。完成後の姿は,長さ5mmの整ったカプセルといった様子です。

このようなものを自然界で見かけたことがないので,ふしぎな気持ちになりました。「こんな繭をこんな場所に作る昆虫がいるのだろうか」「もしかすると,地表で作るのが,たまたまこんなところになってしまったのかも」「いったい,どんなハチが出てくるのだろうか」。そんな疑問です。

それで,成虫を確認しようと思い,葉ごと採集して観察用プラスチック容器に入れておくことにしました。

 


クマゼミの羽化

2015-07-18 | 日記

7月18日(土)。雨のち曇り。昨日台風が通り過ぎました。大きな被害が出なくてホッ。翌日の今日は晴れるかなと思ったのですが,一日雲が空を覆っていました。

昼前,ガレージ脇にあるツゲの生垣に,羽化して間もないセミを発見。偶然のことです。「ラッキー!」という気持ちでした。これまでセミの話題は取り上げてきませんでした。ありふれた話題に終始するだけなので,とくに魅力を感じていないからです。小さい頃から,羽化する場面はヤマと見てきたものですから,あまりにも平凡過ぎるという感じがあったように思います。

それでも,偶然見たセミの姿はりっぱなものでした。大きさも色も,風格が感じられました。


よく見ると,クマゼミでした。この分だと夕方までは飛べないなと思いました。我が家でクマゼミが羽化するのは初めてです。この辺りには昔からクマゼミが棲みついていますが,どっさりいてうるさいほど鳴くといった風景はまったくありません。棲息数が少ないので,我が家で羽化するというのはやはり珍しいといえます。

夕方6時。しごとから帰って確認。思ったとおり,ツゲの枝でじっとしていました。色からすると,今にも飛べそうです。しかし手を出しても,ほんのすこし動くだけで,飛ぶ気配はまるでなし。


それで,写真を撮りました。頭部の前の方から。


眼の辺りをアップ気味に。


セミの王様といった風格が伝わってきます。 じつは今夏,このクマゼミが木の幹で鳴いている姿を虫の目レンズでとらえようと,そのチャンスを窺っているところです。

 


モンキチョウの寄生バチ(前)

2015-07-17 | 昆虫

シロツメクサの葉に,モンキチョウの幼虫がいました。それを持ち帰って,植木鉢に植えたシロツメクサにのせ,以降時折写真で記録していました。

その矢先の出来事です。

ある日見ると,幼虫の色がどうも気になるのでした。ふつうなら緑っぽいのですが,どうも黄色みを帯び,なんらかの変化を間近にしているようなのです。てっきり脱皮かなと思ったほどです。

ほんとうに偶然の目撃。結果,大変化が起こる瞬間を見届けることになりました。それも,一部始終です。激しい変化だったので,目が離せなくなったという方がぴったりかもしれません。正体はホウネンタワラチビアメバチの仕業だとわかったのですが,その生態がまたユニークなのです。本記事ではその話題を取り上げます。

7月のある日,早朝。「どうも変化の予兆のようだ」と思わせるような感じです。急いで撮影をしました。

 


35分後,はっきり表皮に異常が現れてきました。 


43分後。尾部に大変化が! ぺしゃんこになったのです。

 
45分後。突然,幼虫とは別個体が一つ現れてきました。ドキッとしました。 


57分後。からだをすっかり現しました。大きな幼虫です。 


1時間2分後。幼虫は盛んにからだを動かしています。 


なんだか異様な光景に見えます。幼虫はいったい何者なのでしょう。このあと,どんな経過をたどって成虫になっていくのでしょう。ふしぎが,わたしの頭を駆け巡ります。目が離せなくなりました。

 


ジャガイモ栽培物語《タネイモ編》(22)

2015-07-16 | ジャガイモ

夏を迎える前に種子をつくって枯れる植物は,夏の暑さを乗り越える戦略として種子をつくります。暑さが苦手だからです。逆に冬を迎える前に種子をつくる植物は,寒さを凌ぐ策として種子をつくります。寒さが苦手だからです。

暑さに強い植物は夏生き生きと成長を続けます。寒さに耐えられる植物は冬,それぞれの戦略で生き延びます。

ジャガイモはどうかといえば,原産地のアンデスの気候を思い浮かべると理解しやすいでしょう。冷涼な気候が好きで,暑さには弱いという性質をもっています。したがって,我が国の気候では,夏は出芽・発芽しません。

夏に出芽・発芽しない植物は一般的には休眠状態に入っているといえます。つまり,夏眠しているわけです。夏眠している種イモや種子は,夏の暑さが去り涼しくなることで季節の推移を感知します。同時に,イモ・種子の中でなにがしかの目覚めが始まります。まるで,薄っすらと目が覚めるごとく。ぼんやり,ほのかに目覚めるように。

しかし,もっと本格的な目覚めは,厳寒期を経て寒さが緩み,春の暖かさを感じかけたときに始まります。厳しい寒さこそが,完全覚醒の条件になります。体内時計のメカニズムによるものだといえば簡単に片づけられそうですが,そのメカニズムの巧妙さには驚き入ります。

これからわたしが試みたい観察実験は次の内容のものです。

真夏の今,種子を冷蔵庫に一定期間入れておき,それを蒔くのです。一気に低温を体験させることから,これを仮に“擬似冬季体験”と呼んでおきます。 一定期間としては最低10日間辺りを考えています。併せて,これとの発芽比較をするために,実験対照群として寒さ体験をさせない種子を蒔きます。そして,両者の発芽のしかたを比べるというものです。


わたしは,寒さ体験の期間が長いほど目覚める確率が高いと予想しています。それで,期間を10日,20日,30日,の3例で検証してみようと思います。

じつは,ここまで種子の発芽にこだわる理由は,北海道農業試験場からご教示をいただいた結果,低温経験をした種子,しなかった種子の両者を比較しないことには,発芽と低温体験の因果関係について論じることはできないとわかったからです。昨夏は,冷蔵庫に入れた種子を蒔いただけで,低温の効果があったように思い込んでいた節があります。その体験にもとづいて先頃,ジャガイモの種子の発芽について誌上で公表したのですが,今も気になる点が残り続けています。なんとか,これをすっきりさせておきたいという気持ちが強くあります。

この反省をふまえて,実験条件を整え再び発芽実験に挑むのです。

7月14日(火)。さあ,実験開始です。今夏取り出して乾燥させた種子の一部を紙袋に入れ,冷蔵庫の中に置きました。残った種子については,室内に置いています。 

 


昼間のアブラコウモリ

2015-07-15 | 生物

コウモリは,いうまでもなく夜行性の生きものです。わたしが日常的に見かけるコウモリはアブラコウモリです。このコウモリは別名イエコウモリの名で呼ばれているもので,人工構造物に適応して生きています。家にも,橋にも,ビルにも棲みかを作って棲んでいます。ほんのわずかな隙間があれば,それも1cm程度の隙間でも,出入りするといいます。

人間と生活エリアが重なっているコウモリであることがわかります。身近な生きものの類にはいるでしょう。

このアブラコウモリは,日没近くになると,家並みや水田の上を飛び交います。たくさんのコウモリが突如として現れるので,驚くほどです。

さて,このアブラコウモリを明るい時間帯に見かけました。場所は職場の玄関先。子らが「コウモリや!」と騒いでいるので,行ってみると,小さなこのコウモリがタイルの上にいました。弱っているようで,跳ねるようにして逃げようとしますが,飛べないのでそれ以上どうしようもありません。


どうしてそこにいたのか,謎です。

敢えて推測すれば,建物の隙間に棲んでいたものがなんらかの理由で落下したのかもしれません。落下して飛べなくなるというのは変ですが,飛べないからだゆえに落下したのかもしれません。いずれにしても,警戒してじっとしているか,逃げようとするか,のいずれかの行動をとりました。


見つけた子どもたちは,怖がって触ることができませんでした。不気味に感じるようです。「噛まへんの?」といって,おどおどしていましたから。

結局,そのまま芝生の上に置いておきました。元気を回復して飛び去ったかどうか。 

 


ジャガイモ栽培物語《タネイモ編》(21)

2015-07-14 | ジャガイモ

ジャガイモの実がたくさん集まりました。いっぱい,いっぱい!


柔らかくなった実を持って,指で押さえ,中の種子を絞り出しました。すると,果肉といっしょに種子がたくさん飛び出してきました。まるで飛び散るように。それを篩で受けて,水洗い。できるだけきれいに洗います。とはいっても,果肉部分を取り去ることは無理なので,程々にとどめておきましたが。


こうして集まった種子はとにかくどっさり。


ジャガイモは他家受粉によって結実する植物ですから,これらの種子はいうまでもなく,親イモであるホッカイコガネの形質を100%引き継いでいるわけではありません。ホッカイコガネの遺伝子を一方の親として受け継ぎつつ,もう一方の親を他品種にして新しく誕生した種子なのです。

つまり,播種して育つ株はホッカイコガネそのものではなく,一つひとつが「ホッカイコガネと他品種が交配してできた新品種」というわけです。いわゆる“交配種”で,一株一株は異なった品種になります。

次は,これを新聞紙の上で乾かします。乾燥後,種子を集めます。これで採種作業は終わりです。


集まった種子の一部を,引き続き栽培実験に使う予定にしています。この続き話は次回に。 

 


ジャガイモ栽培物語《タネイモ編》(20)

2015-07-13 | ジャガイモ

ホッカイコガネを収穫するときがやって来ました。収穫日は今日7月13日(月)。

イモを掘りながら,地面に落ちた果実,まだ茎に付いた果実を,丹念に集めていきました。併せて,まだ茎に付いた実とイモとを入れて写真に収めていきました。


掘り上げた株数は63。イモの入り具合はまあいい方かと思います。知人が近くの田で黒豆の補植作業をされていたので,プレゼントしました。人に差し上げる程度にイモができたのはうれしい限り。


収穫量からみて強く思ったのは,ジャガイモに花が咲いたとき摘み取る必要はまったくないという点です。ずっと以前にも触れた話なので恐縮なのですが,花が付いたままにしておくとイモが太りにくいという理由で必ず花を摘む方があります。年配の方に多いようです。これは,そうした見方を刷り込まれて育って来られたからでしょう。わたしもまた,小さな頃からその種の話を繰り返し聞いて育ちました。

『ジャガイモ畑の1年間 』(おくやまひさし著)に,研究者の次のことばが出ています。役立つ話題なので,引用しておきます。

「花をつむことは意味ないですよ。テストの結果からいうと,イモの収量には,ほとんどといっていいくらいひびきませんよ」

今回の栽培では,花を“摘む”“摘まない”の比較栽培をしたわけではありません。しかし,花後,果実が生るがままにしていたにもかかわらず,十分満足できる収量が得られたのです。研究者のことばどおりに。


ついでに。作業中,土の中からケラが現れました。ケラが棲める環境は,まだ自然度が高いことを示しています。ありがたいことです。