勘三郎の追悼番組を見ました。手術に向かう数日前から、その姿が映像で残されたものです。
最期のインタビュー17分には死という見えぬ世界に向かう興味心を話したり、破天荒な役者魂を感じる一面、孫を可愛がる御爺ちゃんの姿になったり、最愛の残されていく家族への言い知れぬ想いが画面を通して伝わってきます。
一人の偉大な歌舞伎役者としての57年の尊い人生の振り返りでした。
座右の銘として無着成恭がラジオ相談室で語った「型破り」の話は歌舞伎界の先人が伝えてきた伝統を重んじてしっかり学び体得して、その後にその型を破るから型破りというのだと言い、それが出来てなければ「形無し」とい言うのだと言葉は印象に残るものでした。
歌舞伎界の伝統を守り、その学びを子供に伝える、その子供はいつの間にか受け継いだ学びを同じ舞台で表現できるようになる、その姿を自分のことのように悦んでいる姿が映し出されていました。
松本でのサプライズ出演が最期の舞台になるとは思わなかったことでしょう。
歌舞伎の世界を格式の世界から多くの人々に愛される「喜びを伝える歌舞伎」へと普及された偉大な存在の生涯でした、舞台を成功させる為にかかわるすべての人を大切にする最期の花道を見せていただきました。
日本の偉大な存在がまた一人光の世界に還って行きました。ご冥福を祈ります。