古希からの田舎暮らし

古希近くなってから都市近郊に小さな家を建てて移り住む。田舎にとけこんでゆく日々の暮らしぶりをお伝えします。

『ノモンハンの夏』を読みなおしました。

2020年07月26日 14時41分26秒 | 古希からの田舎暮らし
 先日から読みはじめた『ノモンハンの夏』(半藤一利著 文春文庫)を読みおわりました。470ページあり、歴史の本で、ノツノツ読みましたが、それでもノモンハン事件の推移を忘れているところがあり、「次はどうなるんだったか」と推理小説をたどるような気分で読み返しました。
 日本陸軍の参謀本部/満州の関東軍参謀部/上級将校/のおろかさによって、数万の日本軍兵士が戦死/戦傷/したソ連との戦争を、ぼくのこころの中では、これでふたをします。80年前の戦争を、いまさら、ほざいても、ぼやいても、どうしようもありませんから。

 ただ、この本の主役ともいうべき辻政信について。
 辻政信が書いた本は今ごろまた出版されて、新聞広告にも載っています。彼は明治生まれの軍人ですから、もちろん亡くなっています。それなのに彼の本が出版され、売れる。
 売れるから出版する。それでいいのか。
 ぼくは高校生の頃(昭和30年前後)父の書棚にあった本を読みました。『潜行三千里』とか『十五対一』という辻政信の本を。当時のベストセラーだったから、父も買って本棚に置いていたのでしょう。たしかに読みやすく、興味もありました。
 しかし彼はノモンハンの戦争を起こした張本人です。敵・味方の数万の兵士が戦死し、戦傷で倒れました。彼を作戦の神さま扱いしたり、銅像を建てたりしていますが、「人気があるのだから、本を再版してもいいじゃないか」ですませてはいけない。
 当時読んで、彼の本は面白かったです。しかし彼は、人の命を何と思っていたのか。上級将校には兵士の命を屁とも思わない将官がいました。飛行機の特攻隊に若い兵士を追い立てた富永恭次という卑劣な中将もいました。その日本の上級軍人同士の「なれあい体質」が問題です。あいまいな、どっちでもいいような、無責任な体質が、いまも政府や官庁にはある。それを国民は許している。それが問題です。
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