
道子さんが玄関先に植えた〈モッコウバラ〉が満開です。

画面の右端に電柱が見えます。道子さんは20メートル先のあの電柱までこのバラを誘引する〈心づもり〉で世話をしています。世話する花花がつぎつぎと咲いて、寄る年波の道子さんはしあわせですね。ぼくは「おー、咲いたか」と花を見るだけですけど。
古い話になりますが、87歳のぼくが42歳のころ。つまり45年くらい前のことです。『小さな恋のメロディー』というイギリス映画がヒットしました。小学生の男の子と女の子が「〈恋ごっこ〉遊び」をするような他愛ない映画ですが、 映画の音楽が大ヒットしました。2曲あって、一曲は「メロディー・フェア」で映画の冒頭に出てきます。2曲目は日本語の題名では「若葉のころ」となっていますが、英語の元題は「FIRST OF MAY」です。つまり「5月1日」という題です。それを「若葉のころ」という題名にした〈思いつき〉が実にいい。英語の授業でもこの二つの歌を生徒たちに聞かせました。彼らのこころにも残っているでしょう。
話がとびますが、オルコットという女流作家の小説「Little Women」(小さな女たち)を日本語に翻訳した人は「若草物語」という題にしました。英語の題名から離れますが、これが実にいい。題名だけで、ふわっとした大人になりかけた少女たちの世界がひろがります。
今日は5月1日。まさに〈若葉のころ〉です。

玄関先の竹は枯れて白くなっていますが、樹木が芽吹いています。頭の中であの音楽が鳴ります。