古希からの田舎暮らし

古希近くなってから都市近郊に小さな家を建てて移り住む。田舎にとけこんでゆく日々の暮らしぶりをお伝えします。

『辻井伸行 奇跡の音色』を読みました。

2013年11月27日 03時43分13秒 | 古希からの田舎暮らし 80歳から
                   
 田舎に暮らすようになって残念に思うことがあります。写真の右の小山はうちの村の山(=我が家の裏山)で、左の少し高い山がとなり村の山です。どちらの山にも名前はついていません。どちらの山も竹がはびこり、山に登ってみると竹薮の中を歩いている感じになります。
 しかし外からみるとクヌギ・コナラが竹より高く伸びて山をおおい、晩秋の日を浴びています。残念なのはその《晩秋の色合い》を写真に撮れないことです。晴れの日も曇りの日もこころをやわらかく包んでくれる、地味だけれど深い色合いです。それが写らない。写真に撮ると平凡な田舎の景色になってしまう。山すその道を散歩する、しっとりした情緒が伝えられない。
 嘆声をあげるような鮮やかな紅葉ではありませんが、枯葉がはらはら落ちる秋の山すそを散歩するのが一番のしあわせです。ついでにいうと2番目のしあわせは若葉の小径を散歩することです。
『辻井伸行 奇跡の音色』(神原一光 著・ 2011年刊・アスコム出版)という本を読みました。NHKの職員の方(神原さん)が取材して書いたものでぼくには「いい本」でした。中味は辻井さんのピアノを「小学校1年生から高校卒業までの12年間教えた川上昌裕さん」の〈苦労と試み〉です。
 まず感じたのは「出会い」です。ピアニストであり東京音大の先生である川上さんが、なぜか小学一年生の子どもにピアノを教えることに打ち込むようになる。その子がハンディを乗り越えてぐんぐん成長する。世界で活躍するピアニストになる。
 川上昌裕さんが一流のピアニストで、ほんとに精魂込めたから、辻井さんがここまで成長できたのです。この出会いがなかったら〈ピアニスト・辻井伸行〉はなかった。それが実によくわかりました。そんな「出会い」があるんですね。不思議な気がします。
 次に辻井さんのエネルギーです。好運なことにチケットがとれて、今年4月西宮芸文センターで辻井さんのラフマニノフ・ピアノ協奏曲2番を聴きました。彼は次の日はフェスティバル・ホールでやはりラフマニノフを、そして翌日にはチャイコフスキーのピアノ協奏曲を演奏するスケジュールになっていした。連日指揮をする佐渡裕もすごいけど、辻井さんの底知れぬエネルギーを感じました。
 平凡なわれわれには想像もつかないエネルギーが、どこかからふりそそいでいるのでしょう。
コメント
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