Ｗ杯の日本代表は、ブラジル戦の1対4という結果を以って、大会を去ることになりました。日本でサッカーに携わる者として、残念ですし、悔しいです。甘い結果を期待していたわけではありませんが、現実として1勝も出来ないというのはショックでもあります。
そんな中で、誇らしかったのは中田英寿選手の姿であり、川口選手の姿でした。彼らは間違いなくプロフェッショナルな選手の姿を見せてくれました。その言動には批判を受けるものもあるし、誤解を招くものもありますが、今大会で本気で勝ちを求めた選手はこの二人のように感じました。
中田選手は、オーストラリア戦後に記者から「残り2試合で勝ち点4が取れますか？」と質問され、「なんで勝ち点4なんですか？6取りますよ。」と答えたといいます。そして、明らかにパフォーマンスの落ちる中村俊輔選手や福西選手とは対照的に、全試合で全力を出していたように思います。
川口選手はクロアチア戦のＰＫセーブやその他の試合のファインセーブが大きく取上げられていますが、彼は自分の長所と短所をとても理解していて、その結果としてあのプレーがあったのだと思います。
この結果が出る前に、日本代表の選手やそれを取り囲むスタッフ、マスコミ、サポーターのなかで、どれだけの人が中田英寿選手の発言を正確に捉えていたのでしょうか。「あんなに偉そうに言って！何様だよ！」とか、「今まで結果を出してきたんだから、日本のサッカーをすれば大丈夫だよ。」とか、とかく中田発言を批判的に感じてきた人が多かったのではないでしょうか。
でも日本中で誰よりも世界のサッカーを体験してきた彼は知っていたのでしょう。世界は甘くないと。日本はいつだって挑戦者であることを。
結果が出た今こそ、中田発言を正しく理解できている人が多いのではないでしょうか。特に代表選手には伝わっているのではないでしょうか。いや、そうであって欲しいと思います。
まだしばらくは、日本サッカー界に必要な選手だと実感したＷ杯前半戦でした。
実際インタビュアーの質問にも、その質問内容が中途半端であったなら容赦なく冷たい態度を取ります。なぜなら、質問者も質問のプロであるならプロらしい質問をしろ、それがプロ選手に対する姿勢だろうという考え方だからです。
でもそれを映し出すTVカメラのこちらには、ヒデの考え方を知らない人もたくさん見ている。そういう態度が彼らにどう受け取られるだろうかということをヒデがどれぐらい意識しているのかわかりませんが、その辺が彼のある種、限界でもあるように思います。
すごく損をしていると思いますが、本人はわかる人だけわかればいい、ピッチで結果を出せればいいと思っているようです。
今回の彼の闘う姿、ピッチで倒れこんだ姿は多くの人に強烈に訴えるものがあったのではないでしょうか。
また、代表は仲良しクラブではいけない、もっと意識を変えなければ勝ち抜けない、それはどんなに周りが口を酸っぱくして言っても、本人が気がつかないことにはどうしようもないと言っています。
内情はわかりませんが、前回に続き、またもやチーム内にぬるい雰囲気が漂っていたのでしょう。
僕は個人的には、中田英寿選手の他の選手やマスコミに対するコミュニケーション方法は問題があると思っています。もちろんマスコミは凄く失礼な態度だったりするし、質問のプロらしくない質問をする人もいます。
それは良く分かります。
でもやはりプロサッカー選手はグラウンドでプレーすること以外にもすることがあるはずですからね。
さて、だから僕が中田英寿選手を評価していないかというとそうではありません。
やはり現段階で、彼が日本でナンバーワンのプレーヤーであり、深い洞察力を持っていることに疑いはありません。
彼がもっと上手に自分の考えを伝えることの出来る人間だったら良いのになぁと考えてしまいます。
でも間違いなく、今後も彼の力は必要ですよ。
ですよねぇ。。。
中田選手は現在の日本の実力に満足していないんですよね。
常にもう一段上の力をつけて欲しいと願っている選手だと思います。常に向上心を持っているんですよね。
今回、選ばれた日本の選手の多くは、「自分たちの今の力を出すこと」を目的としていたように思います。
そこが大きな壁となったのでしょう。
日本人らしくない言動が日本人に受け入れられないのは仕方ないのかもしれません。
でも今回のことで変わる可能性もありますからね。期待しています。