もう十年以上も前になりますが、福祉施設の新人研修を受けたことがあります。
その研修は障害者施設や老人福祉施設などの介護に携わる職員向けの研修でしたが、直接の介護方法などの研修ではなく、接遇やマナーなど社会人としての研修だったと記憶しています。
おかげさまで世間知らずな僕は、随分と勉強になったと感謝しています。研修に参加させてくださった当時の職場の上司にも感謝の気持ちでいっぱいです。
さて、その研修でとても心に残っている問いかけがありました。
『あなたの施設で一番偉い人は誰ですか?』
グループで話し合いをしたのですが、意見は大まかに2つに分かれました。1つは施設長や理事長などの経営に関する人、もう1つは現場で一番利用者に接して施設そのものを支えている介護職員といった具合です。でも実は少数意見で「利用者」と答えた人がいました。
どの意見も正しいのかもしれません。でもその研修に参加していた僕は、その「利用者」という意見を聞いた瞬間に我に返り、「誰のために、何のために、施設で働いているのか」を考えさせられました。
それ以来、何かあるたびに「一番偉い人は誰?」と自問自答することにしています。