goo blog サービス終了のお知らせ 

虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

筑摩書房のノンフィクション全集

2009-12-12 | 読書
筑摩書房のノンフィクション全集は、いい全集だが、変だ。

良い、というのは、その内容だ。世界のノンフィクションの名著が翻訳されている。あのヴェーラ・フィグネルの回想記(ロシアの夜)もあれば、クロポトキンの自伝もある。アラビアのロレンスから李秀成の「太平天国」、バウンテイ号のブライ艦長の手記もある。漂流者重吉の「船長日記」もあれば、間宮林蔵の手記もある。ロシア革命、フランス革命なんて当然。今ではちょっと読めないような貴重な記録ばかりだ。しかも、1冊に3つも4つも翻訳されているので、1冊で3、4冊分楽しめることになる。ただ、難をいえば抄訳、縮約で、完全訳ではないことだ。まあ、これはしかたがない。

変なのはこれが4種類くらいあるのだ。

たぶん、最初に出たのは、黄色い函で出た世界ノンフィクション全集だろう。昭和35年から38年の出版で、これは全50巻ある。中江兆民奇行談や木戸孝允日記などもある。

この次、昭和43年に、今度は函のスタイルも変え、中身の組み合わせも変えた「世界ノンフィクション全集」を出している。全30巻。前に出したノンフィクション全集の内容と同じものもあれば、新しく入ったものもある。

同時に、1966年から「現代世界ノンフィクション全集」も出している。これも函、本の装幀、組み合わせ内容を変えて出している。現代と銘うっているので、フランス革命やバウンテイ号の反乱など、20世紀以前のものは除外している。でも、それまでのノンフィクション全集に入っていたものもかなりある。

なんと、1974年ころ、「世界」の文字をとった「ノンフィクション全集」24巻を出している。これも、以前のノンフィクション全集にある作品もあれば、新しく入った作品もある。

筑摩書房はノンフィクション全集に力を入れているのはわかるし、よい出版だと思うのだが、なぜ、このように毎回、函や装幀を変更し、中身の組み替えをしながら、続けて出したのだろう。これが謎だ。函や装幀が気に入らなかったのだろうか。筑摩書房の関係者に聞いてみたいところだ。

昔は、最初の黄色い函の世界ノンフィクション全集がどこの図書館にも棚に並べあったが、最近はリクエストして倉庫から持って来てもらわないとお目にかかれない。

なお、古本うしおに堂では、「現代世界ノンフィクション全集」は出品ずみ、これから、全30巻の「世界ノンフィクション全集」を出品する予定。

最低価格は500円。内容がいいので、他でもっと安く売っていようが、それ以下でわたしは売りたくない。それほどいい本だとわたしは思う。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。