虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

すれちがった人たち③

2010-10-05 | 日記
大学6年の夏、体育(柔道)の合宿があった。だいたい、一般教養の体育を6年でうける、というヤツも珍しい。この合宿(1泊2日)さえ参加すれば単位をもらえるので、のこのこ出かける。(実際は単位をもらえなかったが)。

信州での合宿だった。わたしは、この時、初めて信州に来た。
合宿場の宿の大部屋に7,8人泊まるのだが、ここで、友人ができた。

わたしは学校にいかないヤツなので、実は学校に知り合いも友人もいない(クラブもサークルも授業にも出ないので、友人ができるはずがない)。

だいたい、友人というのは、一瞬で、一目でわかるものだ(そうでない場合もあるが)。
磊落、快活な雰囲気を持つが、本をよく読んでいて、司馬遼太郎が好き、ゲーテが好き、ゲーテの生命観は仏教の生命観と似ている、仏教も好き、といっていた。
隣に寝ていたので、話がもりあがった。

酒を買いにいこうと、宿を抜けて、二人で酒屋さんに酒を買いに行った。

法学部の学生だった。こんな人だから、友達はたくさんいるのだろうな、と思ったが、いつも大学の図書館にいる、といっていた。司法試験でも受けるの、と聞くと、いいや、故郷に帰って教師にでもなる、といっていた。4年か5年だったかもしれない。

帰りの電車の中で、また会おうと約束した。会う場所と日にちも決めた。

下界に降りると、わたしには、赤ん坊とヨメさんが待っている。生活で忙しく、友達となにかするという心の余裕はなかった。会うことを忘れていた。

その友達からハガキがきた。忘れていたことに気がついた。
大学で会うことにした。

友達は「おれの下宿に来るか」といっってくれたが、「いや、やめとく」と答えた。
当時のわたしには、きっと積極的に人間関係を広げていく余裕とエネルギーがなかったのだろう。
その友達もそのへんがわかったのか、残念そうな顔をしていたが、それ以上、誘わなかった。
それきりで通りすぎてしまった。

いい男だったが、今、どこで何をしているか。
本好きだったから、ひょっとして古本うしおに堂に注文していたりして(笑)

なお、不完全禁煙、危険水域に入った。

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