虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

佐々木京一の三閉伊一揆四部作

2009-07-04 | 一揆
昨日、佐々木京一さんは、昨年の11月9日に逝去されたことを知った(ネットで)。今まで知らなかった。77歳という。遅くなったけど、謹んで哀悼の意を表したい。

佐々木さんを知ったのは10年ほど前だ。図書館で借りた「南部盛岡藩の権力闘争ー三閉伊一揆の底流」という本を読んで、「おもしろかった」というハガキを出した。著者に直接ハガキを出すなんて初めてだった。とても喜んでくれてお返事をいただいた。その後、年賀状などもいただき、最後の著作となった「一揆の奔騰」は贈っていただいた。しっかり読んで読後感を書こうと思いつつ、それは果たせず、(こちらは浮気者であちこち興味が飛び、一揆から関心が離れることもびたび)、連絡することもなくなっていた。自分の冷たさにはほとほとあきれる。三陸海岸の岩泉にきてくれたら案内してあげる、と言ってくれていたのに。

最後の「一揆の奔騰」は自費出版で、病気で倒れた不自由な体での執筆だと聞いた。あれから約10年。そうか、お亡くなりになったのか。とても残念だ。直接お会いしてお話を聞きたかった。

わたしは、佐々木京一氏の著作で、一揆の頭領切牛の万六を執拗に探索しついに捕えた隠密同心工藤乙之助が石川啄木の曾祖父だったことを知った。

佐々木京一氏は、一揆の地元で高校教師をしながら生涯、三閉伊一揆を足で探索し発掘した人だ。探索の過程で、佐々木氏の先祖も一揆の仕掛け人の一人だったとわかる。

一揆の本は、大学の歴史学者の書いたものと、民間の郷土史家の書いたものに分かれるが、わたしは、民間の郷土史家のもののほうが好きだ。一揆への情熱や一揆に参加した人への愛情をより強く感じる。

佐々木氏のこの四著作は一揆で倒れた人々と残されたわれわれへの貴重な贈り物となった。三閉伊一揆に関しては必読の本だろう。

しかし、この本もいまや入手困難。「日本の古本屋」でも「スーパー源氏」でも検索してみたが、出てこない。ゼロ。アマゾンでかろうじてたった5作品のみあがっていた。

良い本が埋もれ、人々の目にふれない。一揆も一揆の本も消えていく。