虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

孫文伝

2007-12-07 | 読書
鈴江言一「孫文伝」(岩波書店、昭和25年)を図書館で借りた。この本は、1931年に鈴江言一が王枢之という中国名で出版したものだ(偉人伝全集、改造社)。

1931年といえば、昭和6年、わたしの親父がまだ4歳。満州事変が始まった年だ。
もう70年以上も前の孫文伝だ。その後、孫文や中国革命の研究は進んでるはずだから、史実や解釈もかなり古びているのかもしれない。
しかし、中国学者の竹内好は、これを名著だ、といっている。

竹内好は、中国革命の三部作として、宮崎滔天の「三十三年の夢」、北一輝の「支那革命外史」、鈴江言一の「孫文伝」をあげている。3人とも、中国革命に身を投じた者だ。書斎の研究者ではなく、全身を中国革命に投じた者のみが書きうるパッションがあるのだろう。

滔天は好きだ。小田実ではないけど、日本人ばなれしたヌーボーとした風貌が魅力の一つだ。「三十三年の夢」は読んだ。おもしろい。孫文を全力で支援した日本人として有名だ。
北一輝は読んでいない。かれの著作は226事件の青年将校のバイブルなったそうだが、その顔を見ても、滔天とはまったくスタイルが違う男に思えてまだ近づいていない。かれは、辛亥革命後、袁世凱によって暗殺された国民党の領袖宋教仁と交わりがあったようだ。
鈴江言一は、中国共産党の立場に立つ。中国革命は中国共産党が最後に勝利をおさめると確信していたそうだ。

借りてきただけで、読めるかどうかはわからない。読まなきゃいけない義理も義務もないんだから。

しかし、このごろ、読んでる本、読みたい本が古本ばかりなのはなぜだろう。
現代社会についていけなくなった証拠?