らんかみち

童話から老話まで

刺身に味の素を振りかける店を許せますか

2013年09月17日 | 酒、食
 先日のウェルカムパーティーで提供したアーティチョークのオイル漬けは、そのとき自分も初めて食べ、あぁ酸味と塩味が強すぎたな、とがっかりした。でも皆さん「お世辞じゃなく美味しい」と慰めて下さった。ありがたいけど、アーティチョークの繊細な味わいがスポイルされていたのは疑うまでもなかった。

 手作り餃子も何種類か提供したけど「あれ? 普通に美味しい」と微妙な評価が下された。大阪王将の餃子を目標にして奮闘してきたわけだけど、味が近付くにつれて、真似る必要はないんじゃないかと思うようになった。

 あそこの餃子はたしかに美味しいけど、化学調味料とか、自分がやり過ぎたからこそ見えてきた問題もある。餃子って、家族や自分のためを思って真摯に作るなら、酒と醤油だけで味付けても市販の冷凍餃子を凌ぐことは容易いといえる。

「通風の症状じゃないでしょうか」という相談をされた。通風の先駆者であるぼくに聞いたのは賢明だろう。なんといっても自分の体を張って実験しているんだから。しかし相手は酒を飲まないおばちゃん(といっても40台)なので不可解。女性は10パーセント程度の罹患率というから。

「ぼくの経験では、通風で最も気をつけるべき食品は鰹節です」といったら、鰹節が大好きだという答えが返ってきた。鰹節は身近な食品の中でも、とりわけプリン体を多く含むので、通風持ちにとって蕎麦つゆを飲み干すなんてのは自虐行為であるといえるだろう。

 直ちに血液検査をして高尿酸血症かどうかの診断を仰ぐよう勧めたけど、「死んでも病院には行きません」というほどの病院アレルギーなんだそうな。
 死ぬのが恐くて病院にかかるというのは普通だけど、病院にかかるくらいなら死んだ方がマシだ、という人を説得できるはずもない。もしかして、病院に行ったら殺されると思っているんだろうか。そりゃあ、死ぬのと殺されるのは違うわな。

 それはともかく、現代の日本人全てが痛風に罹患する危機を迎えているといって過言ではないと思う。贅沢病とかって揶揄されていた時代を通り越し、むしろ貧者の病となりつつあるんじゃないだろうか。
 美味しいものを食べるのは金がかかる。だったら安い食材を美味しくしたらいい、という発想が化学調味料の大量消費を促した。日本人は化学調味料漬けになっているんじゃないだろうか。

 海外旅行して日本ブランドのビールを飲んだことのある人は気が付いたかも知れないけど、日本で飲むより不味いと思ったはずだ。赤道を越えて運ばれたから仕方ない、という同情も分からないではないが、何かが違っている。日本で売られているビールには、日本独特の味付けがされているんじゃないかって勘ぐってしまう。

 もう何が何だかさっぱり分からない。全てを受け入れてなるしかないと諦観するか、全てを疑って自分の身は自分で守ろうと料理は自分で作るべきか。だが一部の醤油には化学調味料が使われているんだ。
 このままだと数年後の日本で風患者が爆発的に増加すると思う。日本食は危険だといわれるようになるかも知れない。魚の刺身に味の素を振りかけているようなデタラメな店(かなりあると思う)を、許せるのか!