ゴッキーくんは、ともだちのムカちゃんにききました。
「ムカちゃんの足はずいぶんたくさんあるけど、いったいなん本あるの」
ムカちゃんは、ほそい体をクネクネさせながら、
「足がなん本あるかなんて、たくさんありすぎて数えたことないわ。ゴッキーくんは六本しかないから、数えやすいわね、ホホホ」
と答えました。
笑われたゴッキーくんは、
「ぼくの足はムカちゃんのより長いから、頭のうしろをかいたりもできるんだよ」
と、前足二本で頭のうしろをポリポリかいて見せました。
「あら、わたしなんか、どの足でも頭をかけるのよ、ホホホ」
ムカちゃんは、一ばん前の足から一ばん後ろの足までつかって、ツリリリリーと頭のうしろをかいて見せました。
「ふんっだっ! じゃあさ、ムカちゃんはどうやって歩くのか、口でいいながら歩いて見せてよ」
そういわれたムカちゃんは、ちょっと考えてからいいました。
「まず、一ばん前の右足を出すでしょ、それから左を……そのつぎに後ろの右足を……あれ、どうしたのかしら」
ムカちゃんはしゃべりだしたのに、足がこんがらがって、いつのまにか歩けなくなってしまいました。
「アハハハハ、ぼくなんか空だって飛べるんだよ、ほらね、アハハハハ」
ゴッキーくんは羽をひろげて飛び立ち、くやしがっているムカちゃんを空の上から笑いました。
と、そのときでした。
「うすのろやろう、どいたどいた、カブトさまのお通りだい」
バシッ
だれかが、ものすごい早さでゴッキーくんにぶつかってきたのです。
「うーん、いたたた。羽をけがして、うごけない」
ゴッキーくんはクルクル飛ばされ、木のえだにはってあるクモの巣にひっかかってしまったのです。
「たいへん、ゴッキーくんがあぶない! でも歩き方を忘れてしまったし、どうしよう」
ムカちゃんが歩けなくてこまっていると、クモが白い糸をはきながらゴッキーくんに近づいて行くではありませんか。
それを見たムカちゃんは、いつのまにかクモの巣に向かって走りだしていました。
「ゴッキーくん、すぐにたすけてあげるからね、もうちょっとのがまんよ」
木をシュリシュリのぼってクモの巣につくと、ムカちゃんはたくさんの足をつかって糸の上を歩きはじめました。
「こら、オレさまの巣を土足で歩くんじゃねー!」
おこったクモがムカちゃんにむかってきましたが、たくさんある足を見て目を回してしまいました。
そのすきにゴッキーくんをたすけだし、ムカちゃんは木からスルルとじめんにおりました。
「ありがとう、ムカちゃんのおかげでたすかったよ」
ゴッキーくんはムカちゃんのたくさんある足をとり、一本ずつあくしゅをしようとしました。
「なにやってんの、あくしゅは足が一本あればいいのよ」
いわれたゴッキーくんが、頭をかきながら前足を一本だけさしだすと、ムカちゃんも前足を一本だけのばし、ふたりはいつまでもあくしゅをしました。
おわり
いくら擬人化したって、やっぱこいつら大嫌いだっ!
「ムカちゃんの足はずいぶんたくさんあるけど、いったいなん本あるの」
ムカちゃんは、ほそい体をクネクネさせながら、
「足がなん本あるかなんて、たくさんありすぎて数えたことないわ。ゴッキーくんは六本しかないから、数えやすいわね、ホホホ」
と答えました。
笑われたゴッキーくんは、
「ぼくの足はムカちゃんのより長いから、頭のうしろをかいたりもできるんだよ」
と、前足二本で頭のうしろをポリポリかいて見せました。
「あら、わたしなんか、どの足でも頭をかけるのよ、ホホホ」
ムカちゃんは、一ばん前の足から一ばん後ろの足までつかって、ツリリリリーと頭のうしろをかいて見せました。
「ふんっだっ! じゃあさ、ムカちゃんはどうやって歩くのか、口でいいながら歩いて見せてよ」
そういわれたムカちゃんは、ちょっと考えてからいいました。
「まず、一ばん前の右足を出すでしょ、それから左を……そのつぎに後ろの右足を……あれ、どうしたのかしら」
ムカちゃんはしゃべりだしたのに、足がこんがらがって、いつのまにか歩けなくなってしまいました。
「アハハハハ、ぼくなんか空だって飛べるんだよ、ほらね、アハハハハ」
ゴッキーくんは羽をひろげて飛び立ち、くやしがっているムカちゃんを空の上から笑いました。
と、そのときでした。
「うすのろやろう、どいたどいた、カブトさまのお通りだい」
バシッ
だれかが、ものすごい早さでゴッキーくんにぶつかってきたのです。
「うーん、いたたた。羽をけがして、うごけない」
ゴッキーくんはクルクル飛ばされ、木のえだにはってあるクモの巣にひっかかってしまったのです。
「たいへん、ゴッキーくんがあぶない! でも歩き方を忘れてしまったし、どうしよう」
ムカちゃんが歩けなくてこまっていると、クモが白い糸をはきながらゴッキーくんに近づいて行くではありませんか。
それを見たムカちゃんは、いつのまにかクモの巣に向かって走りだしていました。
「ゴッキーくん、すぐにたすけてあげるからね、もうちょっとのがまんよ」
木をシュリシュリのぼってクモの巣につくと、ムカちゃんはたくさんの足をつかって糸の上を歩きはじめました。
「こら、オレさまの巣を土足で歩くんじゃねー!」
おこったクモがムカちゃんにむかってきましたが、たくさんある足を見て目を回してしまいました。
そのすきにゴッキーくんをたすけだし、ムカちゃんは木からスルルとじめんにおりました。
「ありがとう、ムカちゃんのおかげでたすかったよ」
ゴッキーくんはムカちゃんのたくさんある足をとり、一本ずつあくしゅをしようとしました。
「なにやってんの、あくしゅは足が一本あればいいのよ」
いわれたゴッキーくんが、頭をかきながら前足を一本だけさしだすと、ムカちゃんも前足を一本だけのばし、ふたりはいつまでもあくしゅをしました。
おわり
いくら擬人化したって、やっぱこいつら大嫌いだっ!