らんかみち

童話から老話まで

ツバメの雛殺し、それとも巣立ち?

2009年05月08日 | 暮らしの落とし穴
 兄が変な人を連れてきて二人で三日三晩騒いだせいか、母が体調不良を訴えたので病院に連れて行って点滴をしてもらいました。体調不良だけならまだしも、認知症も急に進行したのか、残飯を冷凍庫に入れてる! ついうっかりなら誰にでもあるとはいうものの、残飯を冷凍するなんてこと、ありえない。
 
 ボケ症状は今に始まったことじゃないし、来客があって緊張したせいというより、他のことに心痛を感じたんじゃないかと察します。実は倉庫に巣を構えていたツバメたちが忽然と姿をくらましたんです。ぼくが写真など撮ったせいで怯えたのかもしれません。雛の育った姿を見たこともないんだから、もう巣立ったなんて考えられないけど、巣に雛の死骸すら見当たらないのはどうしたことでしょう。それを気に病んで母の認知症が進んだ?
 
 陶芸クラブで中皿の高台を削っていたら、先生に「焼くに値しない作品だから、壊しなさい」と忠言をいただきました。某という人間国宝の陶芸家は、高台を削り終えて気に入らなかったらすぐ没にするのだとか。だからぼくも家に持って帰り、ためつすがめつした後は土に戻せと。
 言われてみたらこの中皿は、50cm径の大皿になるはずだったのが、出来損なって40cmなってしまったもの。しかも禁断の内側削りした、いわば整形美人。他人はだませても、自分自身を偽ることはできんぞ、ということでしょう。
 
 先生はロクロを挽けない人ですが、長らく口で食ってきた御方(元教員)なので、忠言は従うに値するというもの。しかし不肖の娘だからといって、自分で産み落とした作品をたちまち葬るのは忍びない。せめて写真を撮影してから、というわけです。

 もしかしたらツバメもぼくの陶芸作品みたいに、この巣で育てるのは無理と判断して雛を殺したんでしょうか。それだったら10日ほど前に巣から落ちて死んでいた幼鳥の説明がつきません。落ちて死んだのか、死んだから落としたのか、いずれにしても親鳥が雛をくわえて空を飛べるなら、そういうのもきれいに片付けるはず。だから「きっと巣立ったんだよ」と、母を丸め込もうと思ってます。