らんかみち

童話から老話まで

北が飼っている犬

2006年10月25日 | 社会
 核実験を強行して「誇りに思う」と、北朝鮮籍の人は言っているらしいが、それって猛犬のドーベルマンを、友だちにけしかけるいじめられっ子に似てないか? だれもお前をいじめてないだろうが。
 そう書いておきながら気がついたのは、かつて軍用犬や番犬として重宝された獰猛なドーベルマンだったが、今は介助犬として活躍するまでに品種改良が進んだらしい。すると北朝鮮は闘犬に使われる土佐犬を飼って喜んでいるみたいなものか。
 
 獰猛なといえば、場末の飲み屋に集う連中も危険な連中が多い。現役のやくざもいれば元やくざもいる。不思議なのは、そういった人たちは案外紳士的な飲み方をして、面倒を起こすのはたいてい素人というところだ。
 面倒な連中と飲むくらいなら元やくざと飲んでいるほうがずっと安心なので、二人だけでフグのコースを食べた。といっても一流料亭のフグなんて食べたことが無いので、カワハギを食わされていてもぼくは気がつかないし、酒代込みで一万五千円が安いのか高いのかも良く分からなかった。
 
 なんで元やくざと二人でテッチリをつつくことになったかといえば、場末のマスターがトランペッターなので、ぼくが持っていたアルトサックスを譲ったのだが、マスターは一向に練習しないばかりか、博打に呆けて半年間くらい店の片隅に放置した。
  猫に小判をやっても仕方ないので、元やくざに「あんたが一万円に換金してきたらマスターと三人で飲もう」と提案したら、本当に一万円に換えてきた。それでマスターと三人で飲むはずだったが、マスターがぼくに不義理を働いたので今回は遠慮してもらった。
  
 元やくざがアルトサックスを本当はいくらの金に換えたか知らないし、聞く気にもならない。あの楽器を一万円に換えたなら立派なもんだ。ネットなんかで調べても今は中国製の安価なものが売られているし、二十年以上も前につぶれた会社の製品には質屋でも値は付けないと思う。それを金に換えられないぼくがトロイのだ。
 一万円以上の金に換えた元やくざの才覚に嫉妬しながら飲んでいたら、問わず語りに本当に一万円で売ったと言った。どうせ二千円や三千円は抜いているに違いないと勘ぐっていた自分が恥ずかしい。
 
 北朝鮮は国際社会からの援助でながらえている国家だというのに、なんで近隣諸国を信用しないのか、あるいは勘ぐって敵視するのか。女子高校生の援助交際だって信頼が前提にあるというのに。