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■その他、東川賞歴代受賞作家写真展「写真と冒険」など (2019年7月20日〜8月28日、上川管内東川町)

2019年09月02日 08時33分56秒 | 展覧会の紹介-写真
(承前)

 あと、この時期に東川で見た写真をいくつかまとめて紹介。

 「写真と冒険」の野外展の作家が2人残っている。
 べつに女性だから簡単に済ませようとか、そういうつもりではありません。


 まず、町郷土館の前に展示してあったのが、第33回新人作家賞の野村佐紀子。



 東川の写真フェスティバルに行ったことのある人なら記憶にあるだろうが、昔の役場を、郷土資料の展示に用いている。すてきな建物で、フェスティバルの会期中は、写真甲子園のOB・OGたちが、肖像写真を撮る会場になっている。 
 野村さんの作品は、郷土館の門柱を取り囲むように設置されていた。

 彼女の作品はモノクロで、花や人物をどこかなまめかしく、あるいは突き放した目線でとらえている。
 ただ、2019年のいま、彼女の作品をどう評価するかについては、正直にいって、筆者の手に余る。
 というのは、東川賞を受けた当時、彼女をめぐって多く交わされた言説は「荒木経惟(アラーキー)の弟子」であったからだ。
 ご存じの通り、アラーキーの評価は「#me too」の波の中で、その後は微妙なものになっている。
 彼女が、アラーキー的な磁場からどれだけ自由になっているか、それについてここで何か言うには、あまりにも材料が少ない。だから、これ以上は黙ることにしたい。




 「写真と冒険」の最後は、第34回新人作家賞の吉野英理香。

 彼女についてはお恥ずかしいことに全く知識がなかったので、検索してみると「ストリート・フォトグラファー」という語が盛んに出てくる。

 東川の「道の駅」に近く、「せんとぴゅあ II」の斜め向かいにある建物の壁に、この作品は貼ってあった。
 住所で言うと、東川町南町1丁目。

 どこか陰のある、関東地方のストリートと、どこまでも明るく広々とした北海道の真夏のマチ。
 この対照が、見ている側としてはおもしろい。


 こちらは、元のバス停待合所。
 停留所の移設とともに使われなくなった待合スペースの壁を、展示に利用しているという、ユニークな事例だ。

 さまざまなイメージが脈絡なく、そのまま呈示されている。


 さて、実は筆者が「せんとぴゅあ II」の角でタクシーを降りて、いちばん最初に、岡田敦さんの作品よりも先に目に飛び込んだのは、これらの写真であった。

 これは「GAKKOTEN〜大学・専門学校屋外写真展〜」。

 日本大学芸術学部写真学科
 大阪芸術大学芸術学部写真学科
 日本写真芸術専門学校
 東京工芸大学芸術学部写真学科

の4校の生徒さんが参加している。
 日本人ではない学生も多く、自らのアイデンティティを問う作品もあり、夏の芝生の上でのんきに見るのがどうもきまりが悪く感じられてくるほど、力が入っている。


 あと、東川町のサイトにも、パンフレット類にも見当たらないのだが、東川町の役場庁舎1階自動販売機コーナー周辺にも、写真甲子園のOB・OGの、若手2人が展示されていた。

 画像は雨水光さんの作品で、モノクロがなかなか渋い陰影を人物や飛行機に与えている。
 小野澤志穂さんのカラーも4点あった。



 さて、東川に関しては、ことしの東川賞受賞作家展などがまだ残っている。
 これは、書くのにいまから苦労が予想されるのだ。


2019年7月20日(土)〜8月28日(水)
上川管内東川町

(この項続く) 


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