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森山大道「北海道」(8)

2009年08月02日 23時34分20秒 | つれづれ読書録
承前)

 森山大道写真集「北海道」のつづき。

 何度か書いていることだが、この写真集にはキャプションが一切ない。
 こうやって、撮影地などを明かしていくことが、作者の意図にかなうかどうか、はなはだ心もとない。
 ネタバレがイヤな方は読まないでください。
 付随するデータがわかったところで、写真そのものの魅力はいささかも変わらない。


75
 非常に情報量の多い写真。
 夕張の本町商店街であることは、ひとめでわかる。
 いまは、店も減り、映画の看板によるまちおこしがやたらと目立つかいわいになっているが。
 左側から目に入る文字(看板など)を順番にあげていくと…
こぼれる笑顔・ストライク 夕張セントラルボウル 夕張市役所前
夕張露頭炭層と模擬坑
スケート 用品 白光堂
お買物駐車場
夕張信用金庫 本町2丁目
●●センター
日糧パン
第一ゴム
 右側は
●田忠久堂
イデオロギーぬきで頑張る男 石川十四夫 後援会事務所
●●たちを交通事故から守ろう
 つきあたりに踏切が見える。
 いまはホテルシューパロの前で行き止まりになっている鉄路は、以前は、いまの「石炭の歴史村」のほうまでのびていたのだ。
 横断歩道には、おそらく新入生などが持って渡るための旗が備えられている。毎年のように交通事故死全国ワーストワンを記録していた北海道の春らしい風景である。
 なお、石川氏は1971年、道議会議員に当選。夕張商工会議所会頭なども歴任し、炭労=社会党系の力の強い夕張で、保守系の議席を4期連続で守った。石川氏のあとは、道議会の夕張選挙区は空知管内選挙区に併合される。初当選当時は夕張選挙区は定数2であったことを思うと、この間の人口減がいかに激しかったかがうかがえる。


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 「ストア青果部」と書かれた看板のある平屋の建物の前にバス停があり、そこにならぶ十数人の人をとらえた1枚。
 そのストアは、玄関に「本マグロ 五百円」「刺身」などと、およそ青果部らしくない張り紙をしているが、玄関にはカーテンがあり、営業中ではないようだ。
 十数人は、オバサンも子どもも、ちょっとワルそうな青年もいて、地方の町の雰囲気がよく出ている。
 ガードレールのような鉄柵に腰掛けている青年たちの後ろに「カラープリント DPE」という看板が置かれているが、そのとなりのシャッターはやはり閉ざされている。その右に小さく「美唄ストア」と書かれているのが見える。


77左
 駅舎に典型的な柱。列車の車窓から撮ったものか。


(この項続く)


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2 コメント

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こんばんは (ひなた)
2009-08-03 21:31:46
私が通っている写真講座の先生が 森山大道氏の大ファンで よくお話しを聞きます。
私は一度も見たことがないので 興味深く読ませていただきました。

「美唄ストア」~とても懐かしいです・・・。
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ひなたさん、こんばんは (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2009-08-03 23:49:56
なるほどー。
ひなたさんのステキな写真の先生は、森山大道ファンなのですねー。

大道さんの写真集はたくさん出ていますので、いちど手にとってごらんになってください。
いま、宮の森美術館でもてんらんかいがひらかれています。
好き嫌いあるとは思いますが(わたしは好きです)。

美唄ストア、マチの中心部にあったのでしょうか?
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