新見さんは札幌在住の若手。たしかなデッサン力に基づいた、色づかいは独特の、街角の風景画で、毎年道展に入選しているので、ご存知の方も多いことでしょう。
出身は後志管内蘭越町。岩内高校から道教大に進学しました。
ご本人は
「その場の臨場感をたいせつにした絵を描きたい。そういう思いでふりかえると、そういえばわたし、年に2回ぐらいは駅を描いてるんじゃないか、って。べつに鉄道マニアとかじゃないんですけどね」。
市場とか喫茶店の前などもモティーフにしており、駅や鉄道ばかり対象にしているわけではありません。
また、めずらしい機関車とか駅舎がどうこうという、鉄道ファン的な目線ではなく、ざわざわした人いきれや雑踏の感じがつたわってくる絵なのです。
ふつうなら、目障りとして排除したくなる電線や架線などもきっちりと描き込んで絵の構成要素にしているのも、そういった現場の感じを出したいためなのかもしれません。
「家路」
筆者も一瞬勘違いしたのですが、高架下の雰囲気が新橋あたりの東京を思わせます。
「何度も、会場にいらした方から、上野ですかなどと聞かれました」
正解は新札幌の近くです。となりに展示してある「風景-高架下-」の、すぐ近くをモティーフにしました。
緑やオレンジに塗られた空が、なんともいえないあたたかみをかもし出しています。このあたたかみは、夕方の光のなつかしい感じに通底していると、筆者は思います。1日の終わり、だんらんが待っている…。そんななつかしさでもあります。そういう日常的な感じは、名所旧跡や大自然ではなく、ごくありふれた風景を描いてこそ、じわーっとわいてくるのではないでしょうか。
最新作「駅-出発前-」。
札幌の隣にある苗穂。ここは、JRの工場や車庫があり、車輛が出発のときを待っています。
右奥にとまっている3輛編成は「ファイターズ列車」で、左の単行ディーゼルカーの奥には蒸気機関車時代からある扇形車庫も見えます。
出品作は、次の通り。
駅で 60.6×72.7
風景-道- 194.0×162.0
出発 194.0×162.0
風景-市電通り- 72.7×91.0
駅 65.2×53.0
駅-出発前- 162.0×194.0
えき 162.0×194.0
家路 162.0×162.0
風景-高架下- 194.0×162.0
風景-平岸駅から- 72.7×91.0
駅-待つ- 45.5×53.0
9月には、木田金次郎美術館に巡回します。
2009年8月17日(月)-22日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A)
●9月20日(日)-27日(日)10:00-18:00(入館-17:30)、月曜休み
木田金次郎美術館(後志管内岩内町万代51-3)
■岩内出身若手画家 三人展 (2007年、画像なし)
■水戸麻記子 新見亜矢子 二人展(2002年)