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(1) 総論■中島ゼミ展ファイナル×中島ゼミOB・OG展 版と型をめぐって (2018年12月5~9日、札幌)

2018年12月16日 20時17分12秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 道内版画・染色界に多くの作家を輩出し、新風を吹き込んできた星槎道都大の中島ゼミ。
 札幌市民ギャラリーなどを会場にゼミ展を開いてきましたが、中島義博教授が来春、定年を迎えるのを機に、これまでの集大成ともいえるような大がかりな展覧会を開きました。
 中島教授、在校生はもちろん、卒業生らを含め100人余りの約千点という規模に、多くの来場者が圧倒されていたようです。
 筆者も1度で見終わることができず、2日間にわたって計4時間近くかけて見ました。たくさん写真を撮ったのはいいのですが、枚数が多すぎて、整理に頭を抱えています。

 これまでも何度か書いてきたことですが、あらためて、ここが中島ゼミの特徴だと筆者が感じる部分を、まとめておきます。
 まず、発表の多さ。「版と型をめぐって」と題したゼミ展は市民ギャラリーの半分以上を使ったもので、意欲ある学生は個展形式で作品を発表します。さらに「ナカジテクス」「ナカジプリンツ」という、販売に重点を置いた小品展も、前者はさいとうギャラリー、後者はギャラリー犬養で毎年開催しています。
 さらに学生の個展も、年に何度も開かれているのです。
 星槎道都大の他のゼミも、また他の大学も、卒業制作展などは毎年開いていますが、それ以外の展覧会をこれほど精力的に開催しているところはありません。

 第2は「ふところの広さ」です。
 「シルクスクリーンの版画と染色」がゼミの主な内容ですが、会場を見ても分かるとおり、銅版画、日本画、洋画、切り絵、CGなど、関係ない分野の学生・卒業生が大勢います。
 ナカジテクス、ナカジプリンツにいたっては、大学となんの関係もない作家も少なからず一緒に参加しており、「来るものは拒ま」ない中島先生とゼミのおおらかな姿勢は際立っています。

 第3は「作風の幅広さ」です。
 中島ゼミらしい傾向というのが、ないわけではありません。キャラクター的な画像の導入は、大きな特色といえます。
 だが、全体をみると、どの作家も作風がみごとに異なっています。
 手取り足取り指導する教育機関や先生の場合、生徒や弟子たちの画風が似通ってくることがしばしばありますが、そういう画一性からは、中島ゼミは無縁でした。

 ただ、こうしたゼミの特質も一朝一夕にできたものではないでしょう。
 予算の制約もあってゼミ室の機材は、中島教授が赴任当時に自作したものがかなりあるそうです。
 また、紋別時代(道都大は北広島に移転する前は紋別にキャンパスがあった)、学生が寄りつかず、中島先生がどこからかソファを拾ってきて「まず居場所をつくった」と回顧しておられました。

 欲を言えば、ユニークなビジュアルだけでなく、コンセプチュアルな作品の作り手がもう少しいても良さそうだとは思いますが、なにせ自由さが身上の人々ですので、これからどんな作家が出てくるかはわかりません。

 まあ、理屈っぽい話はこれくらいにして、あと9回か10回の記事にわけて、展示会場で撮った写真を紹介したいと思います。



2018年12月5日(水)~9日(日)午前10時~午後7時(最終日午後6時)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)

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